2016年の重要日程はほぼ一巡しました。年始年末は売買代金の縮小が予想されるうえ、ここ最近は年初に株価が下がる傾向もあり、当面は注意して市場に参加する必要がありそうです。
こうした中、「225の『ココがPOINT!』」では2017年の日経平均株価を占ってみました。予想は以下の通りです。
●安値・・・・17,500円前後(4〜6月頃)?
○高値・・・・22,000円前後(7〜9月頃)?
2017年の日経平均株価が22,000円まで上昇すると予想される場合、その理由は何でしょうか。また、逆に日経平均株価が17,500円まで下げる場面があると予想するならば、リスク要因は何でしょうか。
株式市場は「冬休み」の様相 |
日経平均株価は10月以降、上昇基調を維持してきました。月間騰落率でみると、10月は+5.9%、11月は+5.1%で、12月は26日(月)現在で+5.9%になっています。10〜12月の累計上昇率(26日現在)は17.9%に達しました。
こうした中、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果が日本時間12/15(木)未明に発表され、FRB(米連邦準備制度理事会)が約1年ぶりとなる政策金利の引き上げ(上限金利0.5%→0.75%)を発表しました。2017年の利上げ回数見通しが2回から3回に「上方修正」されたものの、利上げ自体は市場に「織り込み済み」であったと考えられます。
図3にもあるように、米10年国債利回りはFOMCの結果発表の直後となる12/15(木)に付けた2.641%が当面の高利回り水準に、ドルの対円相場も同じ日の1ドル118円66銭が高値になっています。日経平均株価上昇につながってきた米金利上昇および円安・ドル高の流れがFOMCの通過後に一巡した形となり、日経平均株価の上昇にもブレーキがかかり始めました。米FOMCの結果が発表される直前の日本時間12/14(水)に日経平均株価終値は19,253円61銭で、その後12/21(水)に一時19,592円90銭まで上昇していましたが、連休をはさみ12/26(月)の終値は19,396円64銭となりました。
週次の投資部門別売買動向(東証)をみると、海外投資家は米大統領選挙の週(11/7〜11/11)から数千億円単位の大幅買い越しに転じ、12月第2週(12/5〜12/9)まで計2兆1,711億円の日本株を買い越しました。続く第3週(12/12〜12/16)も買い越しとなりましたが、その金額は822億円と急減しました。12/20(火)には日銀金融政策決定会合が予想通り、金融政策の現状維持を決めましたが、これをもって株式市場の年内の重要スケジュールは一巡した格好です。東証一部の売買代金は連休明けの12/26(月)・12/27(火)ともに2兆円を大きく割り込んでおり、株式市場には「冬休み」ムードが広がっています。今後の年末・年始相場でも、売買代金面で薄商いの状態が続きそうです。
図1:日経平均株価(日足)〜米FOMCで利上げ発表(日本時間12/15)後は揉み合いに
- ※当社チャートツールもとにSBI証券が作成。データは2016/12/27現在。
図2:ドル・円相場(日足)・過去3ヵ月
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2016/12/27現在。
図3:米10年国債利回り(日足)・過去3ヵ月
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2016/12/23現在。
当面のタイムスケジュール〜年明けの波乱に要注意 |
12/20(火)の日銀金融政策決定会合の結果発表をもって、2016年・年内の重要スケジュールは一巡したとみて良さそうです。米国の消費者信頼感指数や中古住宅販売仮契約指数が同国市場で材料視される可能性は残りますが、株式市場の方向性に大きな影響を与えることはおそらくないと考えられます。
ただ、年明け以降は一気に緊張感が高まりそうです。1/6(金)に12月の米雇用統計が発表されるためです。それに先立ち1/3(火)のISM製造業景況指数や1/4(水)のFOMC(12/13〜14)議事録、1/5(木)のADP雇用統計も目を離せません。
過去10年間の統計を見る限り、年初5営業日のパフォーマンスは冴えない傾向があります。年初5営業日の累計騰落率は平均で-1.3%であり、勝敗にすると「3勝7敗」です。特に2014〜16年の直近3年間は3連敗で2016年の年初などは7.0%も下落しています。米国では2017年にトランプ政権で減税が実施されることを当て込んで、2016年・年内の株式売却(益出し)を我慢していた投資家も少なくないようで、2017年の年初は海外投資家の利益確定売りが先行する可能性もあります。もともと日経平均株価の月次騰落率は過去10年間では、1月がワースト2(-2.7%)という統計もあります。年明けはじっくりと押し目買い戦略をとることが有効かもしれません。
表1:当面の重要なタイムスケジュール〜年明けは一気に緊張感が高まりそう
月日(曜日) |
国・地域 |
予定内容 |
ポイント |
---|---|---|---|
12/27(火) | 日本 | 11月失業率・有効求人倍率 | 10月は失業率3.0%、有効求人倍率1.4倍 |
日本 | 11月全国(12月東京都区部)消費者物価指数 | 10月の全国指数(除く生鮮食品)は前年同月比-0.4% | |
米国 | 10月S&PコアロジックCS住宅価格指数 | 市場コンセンサスは前月比+1.4%前年同月比+5.0% | |
米国 | 12月カンファレンスボード消費者信頼感指数 | ||
12/28(水) | 日本 | 11月鉱工業生産 | 市場コンセンサスは前月比+1.7% |
米国 | 11月中古住宅販売仮契約指数 | 市場コンセンサスは前月比-0.3% | |
12/29(木) | 日本 | 日銀金融政策決定会合「おもな意見」 | 12/20(火)結果発表の会合について |
12/30(金) | 日本 | 東証大納会 | 2015年末の日経平均株価は19,023円 |
1/1(日) | 日本 | 1秒のうるう秒 | 日本時間では午前8時59分60秒が挿入されることに |
日本 | 改正育児・介護休業法の施行 | 介護休業(年間93日)の分割取得他 | |
中国 | 12月製造業PMI | 市場コンセンサスは51.6 | |
1/3(火) | 米国 | ISM製造業景況指数 | 市場コンセンサスは53.5 |
1/4(水) | 日本 | 東証大発会 | 2016年まで「大発会」は3連敗中。 |
米国 | FOMC(12/13〜14)議事録 | 政策金利を引き上げた注目の会合 | |
1/5(木) | 米国 | 12月ADP雇用統計 | 市場コンセンサスは170千人増(前月は216千人増) |
米国 | ISM非製造業指数 | 雇用、新規受注等の指標にも注目 | |
1/6(金) | 米国 | 12月雇用統計 | 市場コンセンサスは175千人増(前月は178千人増) |
表2:日米欧中央銀行会議の結果発表予定日(2017年以降)
2017年 | |
---|---|
日銀金融政策決定会合 | 1/31(火)、3/16(木)、4/27(木)、6/16(金)、7/20(木)、9/21(木)、10/31(火)、12/21(木) |
FOMC(米連邦公開市場委員会) | 2/1(水)、3/15(水)、5/3(水)、6/14(水)、7/26(水)、9/20(水)、11/1(水)、12/13(水) |
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 | 1/19(木)、3/9(木)、4/27(木)、6/8(木)、7/20(木)、9/7(木)、10/26(木)、12/14(木) |
※各種報道、日米欧中銀Webサイト等をもとにSBI証券が作成。「予想」は市場コンセンサス。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合がありますので、あくまでもデータ作成段階のものです。なお、ECB理事会は金融政策の議論・決定を行う会合の日程のみ掲載しました。
【ココがPOINT!】2017年の日経平均株価を占う |
2017年の日経平均株価は高値、安値でそれぞれどの程度になるでしょうか。
図4は日経平均株価(月足)と予想PER13倍相当ライン、同17倍相当ラインを1枚のグラフにしたものです。日経平均株価は2011年以降、おおむねその範囲内で推移していることがご理解頂けるかと思います。一時的に予想PER17倍を超えている場面もありますが、予想EPSの対象決算期が増益見込みの年度に替わる直前の一時的な期間にとどまっています。
2016年(12/26現在)は月足ベースでみると予想PERの最高が16.47倍、最低が13.01倍でした。矢印(3)で示されているように、円高を背景に予想EPSが下向き(下方修正が優勢)であり、このような局面では予想PERも低下圧力を受けやすいようです。同様の局面は矢印(1)で示された2011年に出現し、予想PERの上限は16.18倍、下限は13.06倍でした。
外為市場が円安・ドル高の方向に転じたため、それが継続すると仮定すると2017年は企業業績の好転、予想EPSの上方修正が予想されます。12/26(月)現在のデータでは日経平均採用銘柄の予想EPS(市場コンセンサス・加重平均)は今期から来期にかけて10%程度増加する見通しになっています。12/26現在の日経平均予想EPSは1,177円70銭ですが、これが来年の5月末(本決算発表が終了した直後の時期)には1,295円前後まで増える可能性(※)がありそうです。
また、2017年の予想PERは増益が期待される年度に絡んでくるため上昇しても不思議ではないと思います。このため、仮に最低で13.5倍、最高で17倍と仮定すると日経平均株価の安値・高値は以下のように予想されます。
●安値・・・・1,295円(予想EPS)×13.5倍(予層PER)=17,482円(約17,500円)
○高値・・・・1,295円(予想EPS)×17.0倍(予層PER)=22,015円(約22,000円)
予想される日経平均株価の高値示現の時期は4〜6月頃と予想されます。日経平均の予想EPSの対象決算期の中心が17/3期から18/3期に替わるタイミングで好材料が出尽くしになりやすいためです。年後半は欧州で選挙が増えることから波乱が起きやすい上、トランプ新政権の経済政策の「負」の部分が表面化してくる可能性があります。安値はドイツの総選挙が9月頃と想定されるため、7〜9月頃になるかもしれません。
※2017/5末時点での予想EPSは会社予想ベースでは保守的な予想を背景に、これよりも低い数字になる可能性があります。また、為替相場その他の条件が変化して予想EPSの水準が大きく異なっている可能性もあります。
図4:日経平均株価(月足)と予想PER13倍相当ライン・同17倍相当ライン
※日経平均株価データ、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
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