日経平均株価が歴史的な連騰記録を更新しています。これまでは、14営業日連続高(1960/12/21〜1961/01/11)が最高でしたが、総選挙での与党大勝を受け、10/23(月)には日経平均株価が大幅高となり、15営業日連続高の記録を樹立しました。
今後はどうなるのでしょうか。投資家にとって心配なのは、記録的な連騰の後だけに、反動安となって大きく下げないかどうかであると思われます。今回の「225の『ココがPOINT!』」では、日経平均株価の連騰が意味する所を再吟味し、今後の株価の方向感を占ってみたいと思います。
16連騰。過去最長の連騰記録を更新中 |
10/23(月)に日経平均株価は前日比239円01銭高と大幅高になりました。前日に投開票が行われた衆議院選挙で与党が大勝したことが好感されたこと、前週末のNYダウが大幅高したこと、外為市場で円安・ドル高が進んだこと等が背景とみられます。これで日経平均株価の連騰記録は15営業日まで伸び、過去最長となりました。続く10/24(火)は前日のNYダウが下げたこともあり、売り先行となりましたが、売り一巡後は切り返す展開となりました。結局、日経平均株価は上昇して終わり、連騰記録は16まで伸びました。
何が連騰につながったのでしょうか。一時に比べ北朝鮮リスクが後退したこと、この間に米国株の堅調が続いたこと、外為市場で円安・ドル高基調が続いたこと等がプラス材料になったと思われます。これらを背景に、投資家のリスク許容度が高まり、我が国の好調な企業業績を素直に評価できる環境が整ったとみられます。
日経平均株価の予想EPS(一株利益)は前月末に1,414円でしたが、10/23(月)には1,434円まで増加しました。予想EPSの上昇は企業の業績見通しが上方修正されていることを示しています。10/23(月)には安川電機(6506)が決算発表を行い、通期予想を上方修正しましたが、同社の発表を機に、2017年7〜9月期の決算発表が本格化し、業績予想の上方修正を行う企業が増えてくることが見込まれます。日経平均株価の予想EPSは更に上昇し、それが更なる株高につながることが期待されます。
米国経済が拡大を続けながらも、低インフレを維持しているため、FRB(米連邦準備制度理事会)による利上げが緩やかなペースにとどまり、株式市場からの資金流出を最小限に抑えているとみられることも大きな要因とみられます。世界経済をけん引する米国の中央銀行による利上げは、新興国や株式市場からの資金流出につながりやすいものですが、それが避けられていることで、世界株高につながり、日本の株価上昇にも寄与していると考えられます。図1にもある通り、NYダウもたびたび連騰となっており、上昇基調が継続しています。
図1:日経平均株価(日足)〜過去最長の連騰記録を樹立
- ※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。データは2017/10/24取引時間中
図2:NYダウ(日足)
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは米国時間2017/10/23現在
図3:ドル・円相場(日足)
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2017/10/24取引時間中
当面のタイムスケジュール〜我が国の決算発表シーズンが開始 |
前項でもご説明したように、10/23(月)に安川電機(6506)が決算発表を行いました。同社の決算発表は、決算発表シーズンの本格的なスタートを示す「号砲」でもあります。表1にも示した通り、今週も多くの主力企業が決算発表を行う予定になっています。なお、10/26(木)には米国で、アルファベットやアマゾンなどの主力IT企業が決算発表を予定しています。我が国よりも早めに決算発表が始まった米国では、すでに発表が佳境を迎えていることになります。
表1:当面の重要なタイムスケジュール〜米国では10/26(木)に多くの主力企業が決算発表を予定
月日(曜日) |
国・地域 |
予定内容 |
ポイント |
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10/24(火) | 日本 | ★決算発表〜キヤノン、日本電産 | |
10/25(水) | 日本 | ★決算発表〜日立化成、ファナック他 | |
米国 | 9月耐久財受注 | 民間設備投資の先行指標 | |
米国 | 9月新築住宅販売件数 | ||
独 | 10月IFO景況指数 | ||
10/26(木) | 日本 | ★決算発表〜日立、富士通、NTTドコモ | |
欧州 | ECB理事会 | 量的緩和プログラムを縮小へ | |
米国 | ☆決算発表〜アルファベット、アマゾン、マイクロソフト | ||
10/27(金) | 日本 | 9月全国消費者物価 | 8月(生鮮食品を除く)は前年同月比+0.7% |
日本 | ★決算発表〜信越化、新日鉄住、コマツ他 | 発表社数は155社 | |
日本 | アップルが「iPhone]」予約開始 | ||
米国 | 7〜9月GDP | コンセンサスは前期比(年率)+2.5% | |
10/30(月) | 日本 | ★決算発表〜任天堂、オリエンタルランド他 | |
米国 | 9月個消物価デフレータ(前年比) | 8月のコア指数は前年同月比+1.3% | |
10/31(火) | 日本 | 9月鉱工業生産 | 8月は前月比+2% |
日本 | 9月有効求人倍率/失業率 | 8月は有効求人倍率1.52倍、失業率2.8% | |
日本 | 日銀金融政策決定会合結果発表 | 展望レポートも公表 | |
日本 | ★決算発表〜ソニー、パナソニック、村田製他 | 発表社数は363社。前半のヤマ場 | |
中国 | 10月製造業PMI | ||
米国 | 10月コンファレンスボード消費者信頼感指数 | ||
米国 | 8月S&P/ケースシラー住宅価格指数 | 7月は前年同月比+5.81% | |
11/1(水) | 日本 | 特別国会召集(調整中) | 首班指名 |
日本 | ★決算発表〜ホンダ、武田薬、KDDI他 | ||
米国 | 10月ISM製造業景況指数 | 米国の企業マインドを反映。株価にも影響? | |
米国 | 10月ADP雇用統計 | 雇用統計(労働省発表)の前哨戦 | |
米国 | 10月自動車販売台数 | 9月は年換算1,847万台 | |
米国 | FOMC結果発表 | メインシナリオは12月に再利上げ | |
米国 | ☆決算発表〜フェイスブック、テスラ | ||
11/2(木) | 日本 | ★決算発表〜伊藤忠、三井物産、マツダ他 | |
米国 | ☆決算発表〜アップル | ||
11/3(金) | 日本 | ◎東京市場は休場(文化の日) | |
日本 | アップルが「iPhone]」販売開始 | ||
米国 | 10月雇用統計 | 比農業部門雇用者数の市場コンセンサスは30.8万人増 | |
11/5(日) | 日本 | 米トランプ大統領が初来日 |
表2:日米欧中央銀行会議の結果発表予定日
2017年 | 2018年 | |
---|---|---|
日銀金融政策決定会合 | 10/31(火)、12/21(木) | 1/23(火)、3/9(金)、4/27(金)、6/15(金)、7/31(火) |
FOMC(米連邦公開市場委員会) | 11/1(水)、12/13(水) | 1/31(水)、3/21(水)、5/2(水)、6/13(水)、8/1(水) |
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 | 10/26(木)、12/14(木) | 1/25(木)、3/8(木)、4/26(木)、6/14(木)、7/26(木) |
※各種報道、日米欧中銀Webサイト等をもとにSBI証券が作成。「予想」は市場コンセンサス。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合がありますので、あくまでもデータ作成段階のものです。なお、ECB理事会は金融政策の議論・決定を行う会合の日程のみ掲載しました。日付は現地時間を基準に記載しています。
【ココがPOINT!】連騰が示唆する?相場の先高観 |
表3は、日経平均株価が長期間連騰したケース(12営業日以上)について、株価の騰落率を調べたものです。連騰終了後の1ヵ月では上昇3回、下落3回でした。また同3ヵ月では上昇4回、下落2回でした。特に日経平均株価の14連騰が終わった1961/01/11以後の1ヵ月では11.1%、同3ヵ月では16.3%と好パフォーマンスでした。
10/24(火)現在で、日経平均株価の連騰は継続中ですが、仮に途絶えた後、必ずしも相場が反転・下落になる訳ではないことを下表は示しています。特に13連騰後、14連騰後はいずれも上昇しており、歴史に残るような連騰記録は相場の先高感を示唆している可能性もあります。
なお、連騰後の下げが目立っている例として1953/01/5〜1/19の12営業日連続高の後のケースがあげられます。連騰期間中の上昇率が17.2%と大きかったこともあり、やはり「連騰後の反動は要警戒」のように見えますが、これは特殊要因とみられます。すなわち、いわゆる「スターリン暴落」という突発的な急落が1953/03/5にあり、1日で株価が1割下げたからです。
また、2015/05/15〜2015/06/1の12営業日連続高の後も、パフォーマンスが良くありませんが、ここはまさに「アベノミクス相場」の最初の天井の部分であり、日経平均株価2万トビ台の壁が厚く感じられました。今回の相場では、この2015年に付けた高値を突破してきていることになり、むしろ今の相場の力強さを示していると考えることができます。
表3:日経平均株価の「連騰記録」上位と連騰期間および連騰終了後の騰落率
連騰開始日 | 連騰終了日 | 5営業日後 | 1ヵ月後 | 3ヵ月後 | 連騰記録の背景 | ||
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16連騰 | 年月日 | 2017/10/02 | 2017/10/24 | 北朝鮮リスクが後退。世界株高と円安・ドル高も継続。企業業績も好調。総選挙で与党が大勝 | |||
日経平均株価 | 20,356.28 | 21,805.17 | ? | ? | ? | ||
騰落率 | - | 7.1% | |||||
14連騰 | 年月日 | 1960/12/21 | 1961/01/11 | 1961/01/17 | 1961/02/11 | 1961/04/11 | 1960/11/20投開票の総選挙を経て第2次池田内閣が成立。12/27に「国民所得倍増計画」が閣議決定 |
日経平均株価 | 1,287.89 | 1,403.06 | 1,444.90 | 1,558.32 | 1,631.91 | ||
騰落率 | - | 8.9% | 3.0% | 11.1% | 16.3% | ||
13連騰 | 年月日 | 1988/02/10 | 1988/02/27 | 1988/03/04 | 1988/03/28 | 1988/05/27 | ブラックマンデー後の下げ(1987/10/20)を経て低迷していたが、1988年初から上昇し、バブル相場は成熟へ |
日経平均株価 | 23,662.27 | 25,284.87 | 25,615.62 | 25,622.71 | 27,290.49 | ||
騰落率 | - | 6.9% | 1.3% | 1.3% | 7.9% | ||
12連騰 | 年月日 | 1952/06/24 | 1952/07/07 | 1952/07/12 | 1952/08/07 | 1952/10/07 | 朝鮮戦争(1950/06/25〜1953/07/27)により、終戦(1945/08/15)後の日本経済に特需が発生し、生産が急激に拡大し、日本経済は回復 |
日経平均株価 | 234.33 | 259.59 | 257.85 | 258.73 | 280.33 | ||
騰落率 | - | 10.8% | -0.7% | -0.3% | 8.0% | ||
年月日 | 1953/01/05 | 1953/01/19 | 1953/01/24 | 1953/02/19 | 1953/04/20 | ||
日経平均株価 | 362.64 | 424.96 | 447.42 | 418.20 | 345.12 | ||
騰落率 | - | 17.2% | 5.3% | -1.6% | -18.8% | ||
年月日 | 1986/03/01 | 1986/03/15 | 1986/03/22 | 1986/04/15 | 1986/06/16 | プラザ合意(1985/9)による円高で不況色が強まる中、金融緩和により景気を刺激。バブル相場の入り口 | |
日経平均株価 | 13,640.83 | 14,664.47 | 15,013.19 | 15,352.33 | 17,185.60 | ||
騰落率 | - | 6.9% | 1.3% | 1.3% | 7.9% | ||
年月日 | 2015/05/15 | 2015/06/01 | 2015/06/08 | 2015/07/01 | 2015/09/01 | アベノミクス、金融緩和に対する期待で株価が上昇。GDPが上振れとなり、期待感が増幅。円安進行が追い風 | |
日経平均株価 | 19,570.24 | 20,569.87 | 20,457.19 | 20,329.32 | 18,165.69 | ||
騰落率 | - | 5.1% | -0.5% | -1.2% | -11.7% |
※日経平均株価データをもとにSBI証券が作成。「連騰開始日」の項目の株価は前営業日のもの。「連騰終了日」の騰落は、「連騰開始日」の前営業日の株価に対する騰落。他はすべて、連騰終了日の日経平均株価に対する騰落率。なお、1ヵ月および3ヵ月後の日経平均は、当該日が休日の場合は直後の営業。なお、今回の連騰は現在進行中だが、10/24終値を便宜的に連騰終了日の項目に記載している。
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