日経平均株価の1月第3週(1/18〜1/22)終値は28,631円45銭となり、前週末(2021/1/15)比112円27銭(0.4%)高、週足ベースでは1月第2週(1/12〜1/15)が1.4%で、4週続伸となりました。なお、1/21(木)の終値ベースでは、1990/8/3(金)以来、およそ30年5ヵ月ぶりの高値水準を回復し、1/25(月)にはそこからさらに上伸しています。
日本株の動きをTOPIX(東証株価指数)でみた場合、同指数の1/25(月)終値は1,862.00ポイントで、バブル崩壊後の高値である1,911.07ポイント(2018/1/23)を抜けていないという点は重要です。TOPIXの1,911ポイントのNT倍率について、1/25(月)と同水準の15.48倍を掛けると、29,583円と計算され、日経平均株価がこの水準まで達したときに初めて、TOPIXもバブル後最高値を更新してくると考えられます。
こうしたことから、日経平均株価の29,500円近辺は上値抵抗ラインである可能性が出てきます。
ただ、日経平均株価が29,500円を超え、TOPIXが1,911.07ポイントを超えてくると、日本株の上昇にさらに弾みがつく可能性が出てきそうです。
1月第3週(1/18〜1/22)のNYダウは前週末比0.6%高で、週足ベースで反発となりました。1/20(水)終値は31,188ドル38セントで過去最高値を更新。好決算期待から主要IT株への物色が続き、ナスダック指数は1/22(金)時点で4日続伸し、連日過去最高値を更新しています。
次期米財務長官のイエレン氏が指名承認公聴会で景気支援の拡充を提唱し、反発に転じました。20日(水)に行われたバイデン米大統領就任式を無事に終えたことや、アップルなど主要IT株の上昇がけん引し、最高値を更新しました。一方、経済指標は新規失業保険申請件数が市場予想を上回り急増したほか、12月小売売上高は市場予想を下回り、3ヵ月連続で減少したことが相場の重荷になっています。
これに対し、東京株式市場では、1/20(水)にバイデン氏が正式に第46代米国大統領に就任し、材料出尽くし感や、高値警戒感により一進一退の値動きとなりました。決算発表シーズンの本格化や、FOMCを翌週に控え、様子見の投資家もいる中、米主要IT株の上昇を追い風にソフトバンクグループ(9984)など、IT株が堅調に推移し、相場を下支えしました。なお、ソフトバンクグループについては、出資先でアリババグループの創業者ジャック・マー氏が3ヵ月ぶりに姿を現したことが好材料となり、1/21(木)にはおよそ20年10ヵ月ぶりに高値を付けました。
一方、世界の新型コロナウイルスの新規感染者数は、1/26(火)時点で9,900万人を超え、亡くなった人は214万人を超えました。日本では1/25(月)の東京の新規感染者数が、先月28日以来700人を下回ったものの、依然として全国の重症者数は最多水準で推移しており、予断を許さない状況にあります。
図表1 日経平均株価の値動きとその背景(2021/1/19 〜2021/1/26)
日経平均株価 | 日米株式市場等の動き | ||
終値 | 前日比 | ||
1/19(火) | 28,633.46 | +391.25 | イエレン次期米財務長官が大規模経済対策案に前向きな姿勢を示す方針と報道。 |
1/20(水) | 28,523.26 | -110.20 | 材料出尽くし感で再び過熱感意識。半導体関連は引き続き、好調。SOX指数が最高値更新。 |
1/21(木) | 28,756.86 | +233.60 | 高値更新。ソフトバンクGなど、IT株が相場を下支え。 |
1/22(金) | 28,631.45 | -125.41 | 高値警戒感から売り優勢。決算発表を前に様子見も。 |
1/25(月) | 28,822.29 | +190.84 | 90年8月3日以来の高値更新。半導体など、好決算へ期待高まる。 |
1/26(火) | 28546.18 | -276.11 | 値がさ株を中心に利益確定売りが優勢に。FOMCを控え様子見も。 |
- ※日経平均株価データ、各種資料をもとにSBI証券が作成。
図表2 日経平均株価(日足)と主要移動平均線・おもな出来事
- ※当社チャートツールをもとに作成。データは2021/1/26取引時間中。
図表3 NYダウ(日足)と主要移動平均線・おもな出来事
- ※当社チャートツールをもとに作成。データは2021/1/25時点。
図表4 ドル・円相場(日足)と主要移動平均線・おもな出来事
- ※当社チャートツールをもとに作成。データは2021/1/26取引時間中。
図表5 当面の重要スケジュール
月日 | 国・地域 | 予定内容 | ポイント |
1/26(火) | 日本 | 12月企業向けサービス価格指数 | |
★決算発表 | オービック、ディスコ、日東電工 | ||
アメリカ | FOMC(〜27日) | ||
11月FHFA住宅価格指数 | |||
11月S&PコアロジックCS住宅価格指数 | |||
1月CB消費者信頼感指数 | |||
★決算発表 | アメリカン・エキスプレス、GE、J&J、マイクロソフト | ||
-- | IMF世界経済見通し | ||
1/27(水) | 日本 | ★決算発表 | 信越化、NRI、サイバエジェ、オムロン、ファナック |
アメリカ | パウエルFRB議長会見 | ||
12月耐久財受注 | |||
★決算発表 | アップル、ADP、ボーイング、FB、コーニング | ||
1/28(木) | 日本 | 12月商業動態統計 | |
★決算発表 | 積水化、東京瓦斯、大東建託、キヤノン、東エレク | ||
アメリカ | 10-12月期GDP | ||
12月新築住宅販売件数 | |||
★決算発表 | ダウ、マクドナルド、MSCI、ニューコア | ||
1/29(金) | 日本 | 1月20・21日開催の日銀金融政策決定会合の「主な意見」 | |
12月失業率・有効求人倍率 | |||
12月鉱工業生産 | |||
1月消費動向調査 | |||
★決算発表 | 日立製、村田製、アステラス、エムスリー、ヤクルト、NEC | ||
アメリカ | 12月個人所得・個人支出 | ||
12月中古住宅販売仮契約 | |||
★決算発表 | キャタピラー、UPS、シェブロン | ||
ドイツ | 10-12月期GDP | ||
1/30(土) | -- | WHOの新型コロナ緊急事態宣言から1年 | |
1/31(日) | 中国 | 1月コンポジットPMI、製造業PMI、非製造業PMI | |
2/1(月) | 日本 | 1月自動車販売台数 | |
★決算発表 | 任天堂、塩野義、京セラ、小野薬、大阪瓦斯、みずほFG | ||
中国 | 1月Caxin映像業PMI | ||
アメリカ | 1月ISM製造業景気指数 | ||
2/2(火) | 日本 | 1月マネタリーベース | |
★決算発表 | 三菱電機、パナソニック、豊田自動織機、デンソー、三井住友FG | ||
中国 | ★決算発表 | アリババ | |
ユーロ圏 | 10-12月期GDP | ||
アメリカ | 自動車販売台数 | ||
★決算発表 | アマゾンドットコム、アルファベット、ファイザー、エクソンモービル | ||
2/3(水) | 日本 | ★決算発表 | ソニー、花王、エーザイ、野村HD、三菱商事、三井物産 |
アメリカ | 1月ADP雇用統計 | ||
1月ISM非製造業景気指数 | |||
★決算発表 | アッヴイ、ペイパルホールディングス、クアルコム | ||
2/4(木) | 日本 | ★決算発表 | 武田薬、シャープ、ソフトバンク、伊藤忠、日本たばこ、中外製薬 |
イギリス | 金融政策発表 | ||
アメリカ | 12月製造業受注 | ||
★決算発表 | ロイヤルダッチシェル、ユニティソフトウェア、フィリップモリス | ||
2/5(金) | 日本 | 12月家計調査 | |
12月景気動向指数 | |||
★決算発表 | 日本電信電話、スズキ、三井不、セコム、SUBARU | ||
アメリカ | 1月雇用統計 | ||
12月貿易収支 | |||
12月消費者信用残高 | |||
★決算発表 | エスティローダー |
- ※各種報道、日米欧中銀WEBサイト等をもとにSBI証券が作成。「予想」は市場コンセンサス。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合があります。
図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定日(月日は現地時間)
2021年 | |
日銀金融政策決定会合 | 3/19(金)、4/27(火)、6/18(金)、7/16(金)、9/22(水)、10/28(木)、12/17(金) |
FOMC(米連邦公開市場委員会) | 1/27(水)、3/17(水)、4/28(水)、6/16(水)、7/28(水)、9/22(水)、11/3(水)、12/15(水) |
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 | 3/11(木)、4/22(木)、7/22(木)、9/9(木)、10/28(木)、12/16(木) |
- ※日米欧中銀WEBサイトを基にSBI証券が作成。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合があります。 なお、ECB理事会は金融政策の議論・決定を行う会合の日程のみ掲載しています。日付は日本時間(ただし、ECBの結果発表日程は現地時間)を基準に記載しています。
前項でご説明したように、日経平均株価は1月第3週(1/18〜1/22)、週足ベースでは4週続伸となりました。なお、1/21(木)の終値ベースでは、1990/8/3(月)以来、およそ30年5ヵ月ぶりの高値水準を回復し、1/25(月)終値は28,822円と、そこからさらに上伸しています。
ちなみに、株価の比較対象になっている1990/8は波乱の月でした。
1990/8/2(木)にフセイン大統領(当時)率いるイラクが、隣国のクウェートに侵攻。この一件を嫌気し、日経平均株価はこの日、前日比592円安して30,245円18銭で取引を終了。翌1990/8/3(金)は729円42銭安となり終値は29,515円76銭となりました。結局、1990/8/1(水)〜1990/8/7(火)の5営業日で日経平均株価は3,382円59銭も大幅安となりました。なお、上記の1990/8/2(木)以来今日まで、日経平均株価は30,000円を回復していません。
日経平均株価は当面、1990/8/3の終値回復を目指していると考えれば、日経平均株価で29,500円近辺が節目のように感じられます。ただ、前述したように日経平均株価が3,382円59銭も下落する間の滞留日数は5営業日に過ぎず、これだけを考えるならば、重大な抵抗ラインとは言えないでしょう。
しかし、日本株の動きをTOPIX(東証株価指数)でみた場合、同指数の1/25(月)終値は1,862.00ポイントで、バブル崩壊後の高値である1,911.07ポイント(2018/1/23)を抜けていないという点は重要です。仮にNT倍率が1/25(月)と同水準の15.48倍が維持されるのであれば、
1,911.07(TOPIXのバブル後高値)×15.48倍(現状のNT倍率)=29,583円
と計算され、日経平均株価がこの水準まで達したときに初めて、TOPIXもバブル後最高値を更新してくると考えられます。このため、日経平均株価の29,500円近辺が上値抵抗ラインである可能性が出てきます。
ただ、日経平均株価が29,500円を超え、TOPIXが1,911.07ポイントを超えてくると、日本株の上昇にさらに弾みがつく可能性が出てきそうです。その場合、日経平均株価の30,000円到達まではそれ程時間を要しない可能性が大きいとみられます。仮に、30,000円まで上昇しても、日経平均株価の割高感は、さほど強くないとみられることについては、次週改めてご説明したいと思います。
図表7 日本株はTOPIXでみると、2年前の高値すら更新していませんが・・・
- ※日経平均株価・TOPIX株価データをもとにSBI証券が作成。月足終値をグラフ化したもの。 期間:1989/1/1〜2021/1/1