「三角保ち合い」後の急騰・急落パターン?/今、どう考えるべきか?
「東京五輪」を好感した東京株式市場
9月9日〜13日の週、東京株式市場は、日経平均株価が急騰して始まりました。9日は前日比344円高、10日は同218円高と上昇しました。ご承知の通り、日本時間8日未明に、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開かれていたIOC(国際オリンピック委員会)総会で、2020年の夏季オリンピックの開催地が東京と決定されたことが追い風になりました。週後半はやや揉み合う展開となりましたが、週末の13日の終値は14,404円67銭と、前週末比3.9%の上昇となりました。
ちなみに、13日は3ヵ月に1回のメジャーSQ(特別清算指数)算出日でした。SQ値は14,323円29銭という結果でした。上記の週末終値はこの水準よりも高い水準であり、SQ値が重要な下値支持ラインのひとつになることとなりました。SQの結果は、相場のプラス材料になったと考えられます。
後でご説明させて頂きます通り、今後も重要な日程が控えていますので、引き続き売買タイミングには細心の注意を払いたい所です。ただ、次項で述べますように、日経平均は長い「三角保ち合い」を放れた後だけに、大きなトレンドが出てくる可能性が大きいので、それを活かしたい所と考えられます。
図1:日経平均株価(日足)の推移
弊社HPのチャートツールをもとにSBI証券投資調査部が作成
「保ち合い放れ」は放れた方に付け、が「定石」
株式市場では時に、高値と安値が次第に接近し、こう着感が次第に強まる状態を「三角保ち合い」と言います。図2〜図5に示したように、トレンドラインを引くと「三角」に見えることが多くなっています。
過去の例をみると、図2では不良債権問題の深刻化が97〜98年の金融危機で最大となり、長銀、日債銀の国有化をもってアク抜けとなりました。その後は米国発のIT相場へと移行し、株価は大幅上昇に転じました。また、図4では、小泉政権下、郵政問題を巡り、自民党内が混乱し、株価は保ち合い状態となりました。しかし、2005年8月の「郵政解散」を経て、日本で構造改革が進むとの期待から、海外投資家の買いが入り、株価は大幅上昇へと転じました。
このように、三角保ち合いから上放れるケースが多くなっていますが、図3のように、IT相場崩壊過程での下げ渋り局面で保ち合いが形成されたものの、下放れるケースもあります。
ただ、いずれにせよ、「三角保ち合い」から放れる時は、その放れた方向に付くのが「定石」になっています。その後大きなトレンドが待ち構えているケースが多く、株価が「三角保ち合い」から放れた時点で付いても、間に合うと考えて良いと言えます。
その意味で、足元の株式相場は「三角保ち合い」を、形の上では上放れた様相を呈しており、上昇に向けて大きなトレンドが出やすい状態となっています。
図2:日経平均日足(98年〜00年)
図3:日経平均日足(00年〜02年)
図4:日経平均日足(04年〜05年)
図5:日経平均日足(12年〜13年)