日経平均は新年にかけ16,000円台で上値追いも
オプションSQを迎えるにあたっての雇用統計の意味
東京株式市場では12月24日、日経平均株価が5月23日の取引時間中につけた15,942円を超えた。既に終値ベースでは、年初来高値を更新していたが、取引時間中ベースでは7ヶ月ぶりの高値更新である。
日経平均株価は、11月上旬以降堅調に推移してきた。雇用統計の上振れに象徴されているように、米国経済が予想以上に強い上、同国の金融緩和も長期化の様相を呈し、投資家にとっては非常にリスクを取りやすい投資環境になっている。そうした中、円安の一層の進展や、企業業績の上方修正が、株価上昇再加速の引き金を引く形になった。
ただ、米国経済の好調は、やはり、金融緩和の出口論議を高めかねない要素である。また、米財政論議も決着した訳ではなく、その分、株価の頭は抑えられてきた格好である。こうした中、12月18日に米FOMC(連邦公開市場委員会)が示した金融政策の内容は、@債券買い入れ額を月850億ドル→月750億ドルに減額、A失業率が6.5%を下回るようになっても、インフレ率が2%を下回り続けるようでは政策金利は引き上げない予定、といったものであった。確かに量的緩和は「出口」に向かい始めたが、むしろゼロ金利は長期化すると捉えられ、内外の株式市場は再び、上昇を加速させる展開となった。
ちなみに、17〜18日の米FOMCは、2013年最後のビッグイベントであったと言えるかもしれない。その直後に日銀金融政策決定会合があったが、これも、脱デフレに積極的に取り組む日銀の姿勢を確認する形で「無事に」通過した格好となった。証券税制の変更を前に、年末にかけ警戒された売り圧力増大は、確かにジャスダック市場の下げ等に影響した可能性はあるものの、全体的には波乱なく、通過したように思える。
26日以降は、NISA(少額投資非課税制度)に対応した買い付けもできるようになるので、むしろ、買い先行になる可能性がある。日経平均は16,000〜16,500円の間で「大納会」に着地する可能性も大きいと見られる。
図1 日経平均株価(日足)と主要移動平均線(日足)
弊社WEBページのチャート機能をもとにSBI証券が作成。
NT倍率の上昇基調が続く
こうした中、NT倍率(日経平均株価/TOPIX(東証株価指数))が再び上昇傾向となっている。足元では12.6倍近辺を推移しており、「年初来高値」水準になっている。2月に11.6倍台まで低下し、10月にも一時12倍を割り込む場面があったものの、基調的には上昇トレンドが続いている。
もっとも、NT倍率の上昇はいま始まったことではない。図2に示された通り2005年10月に9.42倍の安値を示した後は、長期的な上昇局面になっており、現在の水準はなんと1999年2月の12.8倍以来の高水準となっている。ちなみに、図にもある通り、NT倍率はもっと高い水準であったこともあるので、まだ「ノリシロ」が存在しているともいえる。その意味では、あまり、考慮しなくともよいと言えるかもしれない。
日経平均は簡単に言えば「ファーストリテイリングやファナックなどの影響を強めに受けやすい単純平均型指数」であり、TOPIXは「トヨタやメガバンクなどの影響を強めに受けやすい時価総額加重平均型指数」であう。足元は、ファーストリテイリングやファナックの上昇が顕著になっている反面、トヨタなどが冴えない展開になっているので、NT倍率は上昇傾向にある。
ただ、ファーストリテイリング・ファナックと、トヨタやメガバンクの間に、特に業績の方向感にそれ程大きな違いがある訳ではないだろう。むしろ前2社について「予想PER40倍台」を許容できるかといえば、否定的にとらえる投資家も多いのではなかろうか。このNT倍率の高さが、2014年は波乱要因のひとつになるかもしれない。
図2 NT倍率・月足
Bloomberg、日経平均データをもとにSBI証券が作成。NT倍率=日経平均/TOPIX(東証株価指数)