一目均衡表から相場展開を読み解く 〜いま取るべき投資戦略は?〜
日経平均概観
図表1:先週の日経平均株価の動向
先週の日経平均株価は、3月20日終値比+471.80円と大幅高になりました。
24日(月)は、午前に発表されたHSBCの3月のPMI(中国製造業購買担当者景気指数)が48.1ポイントと2月確報値(48.5)から悪化したため、日経平均株価は一時伸び悩んだものの、後場に入ると一段高となり、出来高も29億株超と大幅高で引けました。
26日(水)は、3月権利付き最終日ということもあり、高配当銘柄中心に権利取りの動きも見られましたが、200日移動平均線に上値を抑えられる形となりました。
27日(木)は、権利落ち日で、日経平均株価で100円強の配当落ち予想でしたが、後場に入ると、先物主導で買いが入り、200日移動平均線を越えて引けました。
海外株式市場の影響で下げたところにはすかさず買いが入る堅調相場が続き、先週の日経平均株価は3月26日から3日続伸、TOPIXは3月24日から5日続伸となり、3月28日のNT倍率は12.39と前週末比-0.02で小幅に縮小しました。
日経平均株価を一目均衡表で考えると・・・
図表2:日経平均株価 一目均衡表
図表2は、日経平均株価の一目均衡表です。日経平均株価を一目均衡表で見た場合の相場の行方を考えてみましょう。
一目均衡表は、5本の線で構成され、一見複雑そうに見えますが、あまり難しいテクニカル指標ではありません。まずは、簡単に一目均衡表について解説しましょう。
多くのテクニカル分析の中で、一目均衡表が優れている点は、値幅、値段に加えて、時間軸でも判断できる点です。一目均衡表は多くのテクニカル分析のように「価格(値幅)」を分析するのは、もちろんのことですが、加えて「時間」も分析します。
まずは、一目均衡表を構成する5本の線について、解説します。
(1)基準線
・当日を含む過去26日の高値と安値の平均値。
・相場の基準となることから基準線と呼ばれ、相場の方向を見るために重視されます。
・基準線が上向きであれば上昇トレンド、下向きであれば下降トレンドと判断できます。
(2)転換線
・当日を含む過去9日の高値と安値の平均値。
・基準線に比べ、売買の短期的な均衡を表現し、相場の転換のタイミングを図る線。
・基準線より短いトレンドを示します。 ・トレンドの上昇局面では支持線、下落局面では抵抗線の位置にある場合が多くなります。
(3)先行スパン1
・転換線と基準線の平均値を当日を含めた26日後に先行させた線。
(4)先行スパン2
・当日を含む過去52日間の高値と安値の平均値を当日を含めた26日後に先行させた線。
・先行スパン1とこの先行スパン2に挟まれた空間を「雲」と呼びます。
・「雲」は26日先まで描画され、相場の今後を予測するときにも役立ちます。
(5)遅行スパン
・当日の終値を当日を含めた26日前に遅行させた線。
・遅行スパンがローソク足を上回っていれば、現在の株価が26日前の株価を上回り、上値が軽く、相場は強い状態であると考えられます。
・下回っていれば、上値が重く、相場は弱い状態であることを示します。
この5本の線を使って、様々な分析が出来るのが、一目均衡表です。
基本的な考えを、ご紹介いたしましょう。
(1)基準線と転換線
・一目均衡表の基準線と転換線の関係は、長期と短期の移動平均線と同じ。クロスが売買シグナルになります。
(2)ローソク足と雲
・「雲」のシグナルは単純明快!ローソク足が「雲」の上に抜けたら「買い」のシグナル、逆に「雲」の下に抜けたら「売り」のシグナル。
(3)遅行スパンとローソク足
・遅行スパンが26日前のローソク足を上抜けたら「買い」のシグナル、逆に下抜けたら「売り」のシグナル。
(4)三役好転(上記3つの複合)
・「転換線が基準線を下から上に抜け、ローソク足が雲の上にあり、遅行スパンがローソク足の上にある」状態が「三役好転」です。簡単に言えば、「雲の下にはローソク足も基準線も転換線もない」状態です。「三役好転」は一目でわかる最強の買いシグナルです。
それでは、2014年3月31日終値時点の日経平均株価データで、上記の(1)(2)(3)のテクニカル分析を行ってみましょう。簡単にするために、一目均衡表を分解して、それぞれの年初からのラインでグラフを作成してみました。
図表3:日経平均一目均衡表(1)基準線と転換線
横ばいの基準線を上から下に転換線が抜けています。基準線と転換線の関係からは、売りシグナルと判断できます。
図表4:日経平均一目均衡表(2)ローソク足と雲
3月31日に上昇して、ようやく終値ベースで先行スパン1を抜けてきたところです。先行スパン1、先行スパン2に挟まれた「雲」に入ったところです。「雲」も厚く、先行スパン1もしばらく上昇を続けるので、目先上値が重そうに見えます。
図表5:日経平均一目均衡表(2)遅行スパンとローソク足
遅行スパンがローソク足と重なっています。ローソク足の上昇が続くので、かなり株価が上昇しないと明確な「買い」シグナルには、なりにくい状態です。
図表6:日経平均一目均衡表
(1)(2)(3)の3つの分析から総合的に判断すると、日経平均株価は、一目均衡表では、買い転換したとは言い難く、まだ売りシグナルも継続中です。今後は、良くて「雲」の中の推移、悪いと「雲」の下に、再度沈みこむ可能性があり、テクニカル分析では、新規売(ショート・ポジション)によって利益を狙う局面と言えます。
一方で、今週は期末・期初を挟んだ週で、重要な経済指標の発表が多く、週末には米雇用統計が控えていることから、相場が大きく振れる可能性を秘めた週になります。そのため、新規売(ショート・ポジション)を行う際は、取引のタイミングにも気をつけましょう。
今週の注目のイベント
1日(火)
日本 消費税率5%から8%に引き上げ
日本 日銀短観(3月)
中国 製造業PMI(3月)
米国 ISM製造業景況指数(3月)
2日(水)
米国 ADP雇用統計(3月)
3日(木)
欧州 欧州中央委銀行(理事会)、ドラギ総裁会見
米国 ISM非製造業景況指数
米国 貿易収支(2月)
4日(金)
日本 「異次元金融緩和」から1年
米国 雇用統計(3月)