日経平均は上昇局面入りの可能性
日経平均株価は、5月19日を底に上昇
図1は、昨年末以降の日経平均株価の動きを、主要移動平均株価とともに、図示したものです。日経平均は、5月19日の14,006円を当面の底値に上昇に転じ、200日移動平均線の水準まで値を回復しています。
今後、日経平均株価は、このまま上昇を続けるのでしょうか、それとも、主要移動平均の下に跳ね返されてしまうのでしょうか。今回の「ココがポイント」では、「裁定買い残」の側面から、それを分析してみたいと思います。
図1:日経平均株価(日足・円)と主要移動平均
日経平均株価公表データ、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。13週移動平均については、通常週足チャートで表示される所を日足チャート上に表示するため65日移動平均で代用している。
SQまで2週間強の現在、下値不安は後退するタイミングか?
日経平均株価は、このまま上昇を続けるのでしょうか、それとも、主要移動平均の下に跳ね返されてしまうのでしょうか。その意味で重要なのが、メジャーSQ(先物・オプションの特別清算値)算出日(今度は6月13日)まで、「あと2週間強」というタイミングをどう考えるかにあるかと思います。
図2は、2012年11月以降の日経平均株価と「裁定買い残」の推移を示したものです。裁定買い残は、SQ算出日に向けて減少する傾向があり、そのボトムは、図2の期間に関する限り、「SQ算出日のあった週もしくは、その2週間以内」になっています。そして、裁定買い残が底を打った後は、裁定買い残が積み増し期に入るため、需給が引き締まり、日経平均株価は上昇するケースが多くなっています。
裁定取引は現物株と先物のポジションが必ずセットになります。この場合、SQまでに、先物取引を清算しなければなりません。裁定取引のほとんどを占める「現物買い・先物売り」ポジションでは、乗換えを除き、SQに向けて「現物売り・先物買い」という反対売買をしなければなりませんから、当然、裁定買い残は減少しやすくなるのです。
「現物買い・先物売り」の取引が増え、裁定買い残が積み上がっている間、相場は基本的に追い風を受けていると考えられます。しかし「裁定買い残」は、将来における現物株の「売り需要」とも言えるので、それが積み上がり過ぎることも波乱要因になります。2013年5月23日に、日経平均は高値15,942円まで上昇したものの終値は14,483円と急落し、前日比1,143円安という大波乱になりました。この背景には、図2でも示されているように、4兆円を超えていた裁定買い残と、SQまで3週間というタイミングも影響していたと考えられます。
5月27日現在、SQまでの残り日数は2週間強となっています。裁定買い残が、ボトムを打ちやすいタイミングが接近してきました。加えて、裁定買い残の水準自体が、既に、低めの水準であることが、図2から、おわかり頂けると思います。当面の売り圧力は、その意味で、あまり大きくはないと思います。日経平均株価は、上昇局面に入っていると考えても不思議ではないのでしょうか。
図2:日経平均株価(週足/右軸・円)と裁定取引買い残高(左軸・当限・兆円)
BloombergデータをもとにSBI証券が作成。