2月相場で「日経平均18,000円トライ」はあるか?
数多くの障害を乗り越えてプラスをキープした1月の日経平均株価 |
2015年1月相場が終わりました。日経平均株価は、前月末比1.3%上昇し、17,674円39銭で月末を迎えました。各種相場指標・経済指標を見る限りでは、よくぞ上昇できたという結果です。1月の各種指標を整理してみると以下のようになります。
- (1)NYダウは月間で3.7%、高値から4.9%下落しました。21営業日中100ドル超下げた日が9営業日を数えました。
- (2)為替市場では、ドル・円が前月末比2%超、ユーロ・円が8%超の円高・ドル安、円高・ユーロ安になりました。ちなみに、ユーロ・ドルは月間で6%超のドル高・ユーロ安でした。
- (3)原油先物相場は、WTIが前月末比9%超の下落となりました。
- (4)日経平均株価の予想EPS(一株利益)は12月末1,093円から1月末には1,137円へと4%ほど、上昇しました。
米国株が下げた背景は、原油安の継続によるエネルギー企業等への悪影響が懸念されたことが一因です。また、この月から始まった2014年10〜12月期決算発表では、国際的企業がドル高を原因とする収益伸び悩みに直面していることも明らかになりました。そうした中、1月28〜29日のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、将来の政策金利引き上げについて、時期を先送りすることにつながるような表現は見い出されませんでした。
もっとも、米国では消費者心理がさらに向上していることが確認され、原油安のプラスの側面の影響も表れているようです。原油安は、原発の全面的停止で燃料費の高止まりに苦しんでいた多くの日本企業や家計にはプラス面が多いと考えられています。外為市場で円高が進みはしましたが、ドル・円の動きが相対的に小さく、前年同月(最大の円高局面でも1ドル105円台)との比較でみると円安・ドル高となっていたため、大きな悪材料にはなりませんでした。
むしろ、企業業績の向上と日経平均予想EPSの算出方法の変更(発行済株式数から自社株を控除する方法への変更)を背景に、日経平均予想EP
図表1:日経平均株価上昇に「寄与」する日経平均予想EPSの上昇
- ※日経平均株価データをもとにSBI証券が作成。
2月後半に「日経平均18,000円」トライの可能性も? |
2月に最も気を付けておくべきタイムスケジュールは何でしょうか。無論、毎月やってくる米雇用統計の発表は、今月も予定されており、引き続き注目されます。市場では非農業部門雇用者数が前月比23.5万人前後増加すると予想されていますが、果たしてどうでしょうか。国際企業やエネルギー系の企業の収益伸び悩みの影響が出ないか否か注目です。
それを除くと、金融政策等に関係した会合では、あまり重要なスケジュールはありません。むしろ、2月中旬にかけて続く決算発表(2014年10〜12月期)が、最も重要と言えるかもしれません。時価総額最大企業のトヨタが決算発表を予定する4日、発表社数ベースで後半のヤマ場になる6日あたりが注目となります。なお、今回の決算発表で注意したいのが、石油・商社関係の動向です。1月下旬の日経報道で、原油安の影響から「石油・商社、損失1兆円」の可能性を示唆する報道がありました。商社では既に住友商事や丸紅の減損計上が伝えられていますが、これらの動きが、日経平均の予想EPSにどの程度影響するか気になるところです。
原油価格の下落には、こうした石油元売・商社の減損リスクを高める側面と、エネルギーを消費する多くの製造業・サービス業のコスト低下・収益改善に寄与するという2つの側面があります。このうち、前者については、9月末の1バレル91ドルが12月末に同53ドルまで4割下がった影響がさっそく表面化しますが、エネルギーコストの低下メリットの方は、四半期の平均コストが前年同期比でどう下がったのかという形をとり、タイミング的には遅れ気味に表面化することになりそうです。
言い換えれば、原油価格の下落はリスク面が先行して表面化し、後からメリット面が効いてくる可能性が大きそうです。従って、決算発表等で仮に株価に悪影響があったとしても、比較的短期間に織り込まれ、悪材料出尽くしになる可能性がありそうです。
原油安の効果で企業業績と関係が深い名目GDPは、2015年度に3%に拡大するとの分析があります。日本経済新聞のアンケートでは、来期2ケタ以上の経常増益を見込んでいる企業が3割あり、増益以上ならば6割あると報じられています。来期にかけての展望が開けているとみられる以上、決算発表ピークアウトが株価上昇の契機になる可能性は十分ありそうです。日経平均は2月後半にかけ、12月8日高値18,030円を意識した動きになっても不思議ではないと思います。
図表2:2015年2月の主要タイムスケジュール
日(曜) | 主要タイムスケジュール |
---|---|
4日(水) | 決算発表147社。(三菱商事、三井物、トヨタ、JX-HD他) |
5日(木) | 決算発表219社(伊藤忠、コスモ石他) |
6日(金) | 決算発表452社。米国雇用統計(1月)※非農業部門雇用者数23.5万人増?(市場) |
9日(月) | G20財務相・中銀総裁会合。決算発表179社 |
10日(火) | 決算発表294社(昭和シェル他) |
12日(木) | 決算発表303社。EU首脳会議。 |
13日(金) | 決算発表338社。 |
16日(月) | 日本GDP(2014年10〜12月)※前期比年率+3.6%?(市場) |
18日(水) | 日銀金融政策決定会合・結果発表。 中国・春節(18〜24日) FOMC議事録 |
- ※各種資料を用いてSBI証券が作成。
最近の日経平均株価の「不思議な傾向」 |
日経平均株価は、足元の相場を見る限り、月の16〜19日に短期的ボトムを付け、その後月末・翌月初旬に向け上昇に転じるケースが多いように思われます。この点については、グラフを見て頂いた方が早いと思いますので、図表3をご覧下さい。
2014年の場合、「前月末から16日(休日の場合翌営業日)までの騰落率」と「16日(同)から月末までの騰落率」を比較すると、前者が平均1.6%下落であったのに対し、後者は3.0%上昇でした。特に、5月19日安値以降の上昇と、10月17日以降の上昇が顕著でした。ちなみに昨年秋の10月以降は「毎月」このパターンが繰り返されています。
残念ながら「なぜ、そうなるのか」について、明確な解は現状ではありません。昨年は、年金の株式買い増しが本格化したタイミングでもありますが、それとの因果関係は、今の所は不明です。ただ、本年2月の場合、その時期は「決算発表一巡」のタイミングと重なることになります。また、16日は10〜12月期GDP発表のタイミングでもあります。GDP発表で、日本経済の底入れが確認され、訪日外国人の話題が増える中国「春節」の頃に、株価が上昇に転じるというシナリオ自体は、決して不自然でないように思われます。今月も「パターン」は踏襲されるのでしょうか。
図表3:日経平均株価(日足 2014/3/3以降)
- ※日経平均株価データをもとにSBI証券が作成。
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