「日経平均株価2万円」への足場固めとなるか?
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先物が主役の2月後半相場〜背景には日本経済回復への期待 |
日経平均株価は1月16日にボトムを付けた後、1月28日までは順調に上昇しました。この時期は、2014年10〜12月期決算発表における前半部分が進み、好調な企業業績を好感する流れになったとみられます。しかしそれ以降は、NYダウがやや弱含んだことや、石油元売りや商社等で原油価格下落のマイナス面を決算(業績見通し)に織り込む動きとなり、日経平均の予想EPS(一株利益)低下を織り込む形で、上値を抑えられる展開となりました。結果的に、1月中旬から2月中旬の日経平均株価は、図表1にもある通り、「三角保ち合い」形成の動きとなりました。
しかし、2月12日に、米株高や円安を好感する形で、日経平均が「三角保ち合い」を上放れ、7年7ヵ月ぶりの高値を付けた後は、基本的には上昇局面となりました。テクニカル的に、「三角保ち合いは、放れた方に付け」と言われますので、その通りになっているという面はあります。ただ、より重要なのは、原油価格下落のマイナス面を先に織り込んだことで、今後はそのプラス面を素直に織り込む流れが期待できるようになりました。さらに、円安効果、消費増税の反動効果の剥落(4月以降)など、景気・企業業績を押し上げる要因が、今後増えてくることが見込まれ、買い安心感が強まる形になりました。日経平均株価は2007年2月26日に付けたリーマンショック直前の高値18,300円を上回り、2000年春以降の高値水準へと進んでいきました。
なお、経済指標面では、2月16日発表のGDP統計で、物価指標である「GDPデフレータ」の改善が認められたことや、19日発表の貿易統計で円安による輸出回復、原油安による輸入の減少が確認されたことは、市場参加者にとり、前向きな驚きになりました。2月10日から同27日までの株価上昇率は、NYダウ+1.5%、ナスダック+3.7%に対し、日経平均株価は+6.7%と大きくアウトパフォームしましたが、このように、日本経済回復への自信が回復したことが大きかったと考えられます。
ちなみに、もう一点特筆されるのは、こうした日経平均株価の上昇を先導したのが、形の上では「先物」であったという点です。2月12日から3月2日までの13営業日で、日経平均株価(現物)の騰落は10勝3敗でしたが、日経平均先物(大証・日中終値)は13連騰となりました。この間、NY株安にもかかわらず、シカゴ日経平均先物が上昇し、翌日の日経平均上昇につながったケースも散見されました。先物市場で海外投資家が2月6日〜13日の週以降、買い越しに転じていることもあり、現物市場ではやや消極的とみられた海外投資家が、まず先物市場で日本株に戻ってくる兆しと言えるかもしれません。
図表1:「三角保ち合い」形成後に上放れた日経平均株価
- ※日経平均株価データをもとにSBI証券が作成。
テクニカル指標の多くが「過熱圏」を示唆〜それでも「売り」と言い切れないのが最近の傾向 |
2月中旬以降、堅調に上昇してきた日経平均株価ですが、その結果、テクニカル上、以下のような「過熱サイン」が点灯しています。数字は、いずれも、3月2日現在です。
○日経平均のRSI(14日)が89%(一般的に70%以上で「過熱」を示唆)。
○東証一部の騰落レシオ(25日)が135%(一般的に130%以上で「過熱」を示唆)。
○日経平均株価の25日移動平均からのかい離率が4.6%(最近は5%前後で「過熱」を示唆)。
教科書的に考えれば、日経平均は反転・下落するタイミングが近いと考えるのが普通でしょう。しかし、現実はなかなか「教科書通り」にはいかないようです。図表1は、RSI(14日)と日経平均の関係を示したものです。RSIが上昇し、70%を1度超えた時点で「売り」と判断していたらいかがでしょうか。
グラフ上に吹き出しで囲った「1」〜「6」は、そうしたRSI70%超えのタイミングを示しています。教科書通りに日経平均が高値を付けて反落したのは「5」の局面だけでした。さらに、RSIが90%まで上昇した場合はいかがでしょうか。局面「1」「3」「4」でRSIが90%近辺まで上昇していることが確認されますが、天井を示したのは「3」と「4」でした。ただし、「4」では、その後の日経平均株価の下落率は小幅でした。また、「1」では、RSIが90%超水準で天井を打った後も、日経平均株価のジリ高が続きました。
こうした「教科書通り」に、相場が推移しにくくなっている傾向は、騰落レシオや移動平均かい離率でも見られます。このことについて、どう判断すべきでしょうか。
RSIや騰落レシオは、オシレーター系のテクニカル指標と言われ、相場が循環的に上げ下げする中で天・底を把握する時は有効な指標です。しかし、相場が大きなうねりを伴って一方向に動き始める時には、通じにくくなる傾向があると考えられます。今回もそうした変化を示唆している可能性があります。移動平均かい離率も、移動平均自体の上昇が急になってくると、株価が上昇しても乖離が膨らみにくくなるケースが出てきます。この項目冒頭の3指標の「過熱」が、「売り」に直結するとは限らない可能性を考慮していた方が良さそうです。
なお、米経済指標で弱めの数字の発表が増えていますので、そのことが、相場反落の要因になる可能性は残ります。従って、3月6日(金)発表の米雇用統計には、細心の注意をはらいたい所です。
図表2:日経平均株価とRSI(14日)
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
- 【RSI/相対力指数(14日)】 過去14日間の上昇幅合計/同騰落幅絶対値合計。
「日経平均株価2万円」への足場固めとなるか? |
日経平均株価は、基本的には上昇過程にある可能性が大きいと考えられます。冒頭でも述べたとおり、来期の景気・企業業績を押し上げる材料が増えているからです。黒田・日銀総裁が目指す「消費者物価上昇率2%」から、実態はほど遠く、同物価上昇率が今後ゼロ近辺に下がる可能性があります。しかし、これについても、むしろ、個人消費を押し上げる方に働きそうです。
原油価格下落の効果が浸透し、消費増税の影響も剥落し、多くの企業でベースアップ実施が期待される一方、物価上昇率は抑えられている訳ですから、家計の実質所得は増加に転じる可能性が大きく、個人消費は回復に転じる可能性が大きいとみられます。GDPの過半を占める個人消費にこれだけの追い風が吹くケースは珍しく、株価にもプラスと考えられます。
ただ、前項で述べた「過熱感」を考慮し、日経平均が一進一退を続ける「日柄調整」に移る可能性はあります。多くの市場参加者が2015年の目標株価として予想していた「日経平均20,000円」へ向けた「足場固め」の局面となりそうです。
サキモノのココがPOINT!〜「裁定買い残」の増加に注意
先物取引には、値上がりや値下がりを単純に狙う「投機的取引」だけではありません。
同時間の現物株と先物を比較して理論的に割高の方を売り、割安な方を買う「裁定取引」という種類の取引があります。
仮に先物が割高で、原物株が割安な場合は、前者を売って、後者を買うことになります。このように、裁定取引により積み上がった現物株の買いポジションを「裁定買い残」と称します。
個人投資家が裁定取引をできる機会は、ほぼ皆無に近いと思いますが、その存在を知っておく必要はあります。なぜならば、裁定買い残が増えると、その減少過程で、株価が下がりやすくなるためです。裁定取引に伴う現物株買いは、その裏に先物取引が絡んでいるため、3月、6月、9月、12月の第2金曜日に訪れるSQ算出日が近づくと、清算されやすいためです。
足元も、この裁定買い残が増えているので、一応の注意が必要です。ただ、株価が大きな波乱となった2014年1月や同年9月程には水準が高くないので、大きな心配は要らないかもしれません。
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。赤色のグラフは、先物SQ算出の週。
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