6月1日の雇用統計には要注意!
外部環境に振らされる展開に |
225先物は前週末比490円の下落となった。米中の貿易摩擦に対する懸念後退を背景に買いが先行し、為替も1ドル=111円台へと進むなど外部環境の好転を受けて、週初に約3ヵ月半ぶりに23,000円台を回復した。その後は、米国による輸入自動車への新たな関税措置の検討報道を受けた保護主義政策への懸念や、トランプ米大統領が米朝首脳会談の中止を通告したことから、北朝鮮をめぐる地政学リスクへの警戒もあって、軟調な展開となった。ただ、トランプ大統領の行動については、11月の米中間選挙を意識した動きで、米朝関係がすぐに緊迫化するとの見方は少ないほか、関税引き上げも世界貿易機関(WTO)ルールに違反することになり、実現の可能性は少ないとみる市場関係者は多い。今後もトランプ氏の発言に振らされる場面はあろうが、徐々に落ち着いた値動きにもどると思われる。
5月18日時点の裁定残高は、ネットベースで2兆384億円の買い越し(前週は1兆8,206億円の買い越し)と増加した。一方、株数ベースでは、10億2,455万株の買い越しと5月11日時点(9億4,355万株の買い越し)比で増加している。
225先物の手口では、週を通じてメリル、AアムロCが買いをこなしたほか、ドイツ、GSも買いが目立つなど海外勢がコンスタントに買い越し上位になった。一方、野村が週を通じて売り越し、売り方筆頭になったほか、JPモルガン、ナティクシ、CSなどの海外勢も売り方上位となった。また、TOPIX先物では、ドイツ、UBS、シティ、バークレイがコンスタントに買い越すなど海外勢が買い方上位になったほか、大和も前週に引き続き買い方上位になった。一方、JPモルガンがコンスタントに売りをこなし売り方筆頭になったほか、HSBC、ソジェンなど海外勢も売り方上位に。
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
日経VIは上昇に転じる |
日経ボラティリティ・インデックス(VI)は、15.76pt。前週末比で1.28pt(8.84%)高と再び上昇に転じた。米朝首脳会談中止や米保護貿易政策など外部環境の先行き不透明感からリスク回避の動きにつながった。4月以降、外国人投資家は日本株を2.5兆円買い越しているが、内訳は2.4兆円が先物と、現物はほとんど買わずに指数を7%超も上げた。2月のVIXショックに、商品先物投資顧問業者(CTA)よりリスクパリティ戦略の日本株先物売りとして出ていた手口が、4月以降は粛々と買い戻されてきたが、先週23、24日の両日に一部利食い売りとして出たものと思われる。日経平均の2万3,000円回復、米長期金利3%台乗せ、為替の111円台乗せなどがきっかけとなったようだ。先物主導の相場上昇だけに、外部環境の不透明感が払しょくされなければ、買い戻しの反動から軟調地合いに転じる恐れもある。
NT倍率(先物)は週半ばに一時低下したものの、週末にかけて戻りを見せた。日経平均は週明けに節目の23,000円を回復したものの、トランプ大統領が米朝首脳会談中止を示唆したことを皮切りに地政学リスクが再燃する形となり、25日線水準である22,500円を割り込んだ。
6月1日の雇用統計には要注意! |
今週は28日に米国市場が休場となるなど、週初は手掛かり材料に乏しく、米朝首脳会談の再開に向けた北朝鮮動向など外部要因を背景にした先週の調整局面が続く可能性がある。
ただ、今週は国内外で経済指標の発表が相次ぎ、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に投資家の関心が移れば、戻りを試す場面も見込まれる。特に米国では、6月の利上げが確実視されるなか、今後の金融政策の行方を占う意味でも、1日(金)に発表される雇用や個人消費関連の指標に注目が集まりそうだ。予想は雇用者数が前月比+19.0万人と前月の16.4万人と増加する予想。賃金の伸びは前年比2.7%で前月からやや加速する見込み。
現状、6月に行われるFOMCでは、84%の確立で0.25%の利上げが見込まれているが、今後の利上げスピードに加速感が出れば、米国株式や新興国通貨が不安定になる可能性があるため、注意が必要。
また、今週は31日の大引けで、米株価指数を開発・算出会社MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が主要指数の定期銘柄見直しに伴い、日本市場から約4,400億円の資金流出が見込まれている。このため、入れ替えに絡んだ思惑的な先物への売買には留意しておきたい。今週の想定レンジは22,300-23,300円とする。
経済スケジュール(5月28日〜6月1日)
- 提供:フィスコ社
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なぜ、日経平均は3ヵ月半ぶりに23,000円を回復したのか