225先物は前週末終値比700円安(下落率2.43%)の28,120円と3週続落。米連邦政府の債務上限問題や中国不動産企業の資金繰り問題が継続して重しとなったほか、石炭や天然ガス、原油などの記録的な上昇を背景としたインフレ懸念や電力不足への警戒感が売りを誘った。
また、岸田新内閣の顔ぶれに「期待はずれ」とする声も聞かれ、改革色の後退をネガティブに捉えた海外投資家の動きなども加わり、国内株式相場は海外市場よりも相対的に大きく下落した。岸田新政権の金融所得課税引き上げを懸念する声なども聞かれ、国内相場の相対的に大きな下落に対して市場では外部環境の不透明感だけでは説明できず、「岸田ショック」だと囁く向きもあった。
週初から500円超と急落した225先物は7日には一時26,980円まで突っ込んだ。ただ、その後は米債務上限について与野党が12月までの延長に合意したことで投資家心理が改善。直近の急落で行き過ぎた突っ込み感もあり、買い戻しが優勢となり、週末にかけて28,000円台を回復した。しかし、週末の米雇用統計を前に戻りは限定的となった。
10月1日時点の裁定残高は、ネットベースで1兆2,614億円の買い越し(前週は1兆4,096億円の買い越し)と減少した。株数ベースでは、4億2,442万株の買い越しで、9月24日時点(4億6,993万株の買い越し)から減少している。
日経平均と裁定残(10月1日時点)
両先物ともに海外勢が大幅売り越しも、TOPIXでは一服感も
225先物及びTOPIX先物ともに海外勢の売り越しが目立った。225先物ではBofA証券、ドイツ、モルガンS、TOPIX先物では前週まで同様バークレイが目立ったほか、JPモルガン、CS、ドイツ、UBSなどが上位に並んだ。
一方、TOPIX先物では前週まで売り越しが目立っていたBofA証券の動きに一服感が見られたほか、GSが大幅に買い越すなど、海外勢の売り一辺倒にも変化の兆しが確認された。また、225先物では、逆張りの個人が下落局面で日経レバETFを積極的に買い向かったことで、野村が買い方上位に入った。
日経225先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は前週末終値比1.50pt安(下落率6.26%)の22.44と低下した。米債務上限問題や中国経済の下振れ懸念のほか、コモディティ価格などのインフレ懸念、長期金利の先高観、電力不足など先行き不透明感が強まるなか、権利行使価格26,000円や26,500円のプット(売る権利)の買いが膨らみ、日経VIは6日に一時27.69まで上昇した。
週末にかけては、米債務上限問題への懸念が一時後退したことや、先物の買い戻しが進んだことで、日経VIも低下したが、20は優に上回った水準で終えた。
ボラティリティ
NT倍率(先物)は低下、短期筋の225先物売り嵩む、値がさ株の急落も重し
NT倍率(先物)は低下。米連邦政府の債務上限問題のほか、商品価格を中心とした世界的なインフレ懸念や電力不足の問題など、外部環境の不透明感がくすぶるなか、岸田新内閣への評価も「期待はずれ」とする声が多く、短期筋の225先物売りが嵩んだ。
また、米長期金利の先高観も警戒され、現物株市場では半導体を中心に値がさ株が大幅に下落。加えて、月次動向が嫌気されたファーストリテイリング<9983>が急落したこともあり、先物でも225型主導で下落した。前週末14.50だったNT倍率は6日には14.13まで低下。週末にかけては、米債務問題の懸念後退や突っ込み警戒感からの買い戻しが優勢となり、NT倍率も上昇したが、週間では低下となった。
今週の225先物は短期上昇か。
コモディティ価格を中心としたインフレ懸念や電力不足など、実体経済の下振れに繋がりかねない不透明要因がくすぶり、引き続き上値が重そうだ。
また、週末の米雇用統計では人手不足のひっ迫を受けて賃金の伸びが予想以上となったこともあり、米10年国債利回りが6月上旬以来となる1.6%台まで上昇した。
今週は米国で物価関連の指標の発表が予定されており、コモディティ価格の動向と共に長期金利の動向にも注意を払う必要があろう。今月下旬からは主力企業の7-9月期決算がはじまり、31日には衆院選投開票もあるため、イベントを前に買いが手控えられることも想定される。
また、今週14日予定のファストリ<9983>の本決算も注目され、指数寄与度が大きいだけに様子見ムードを更に強める可能性もある。そうした中、長期金利の上昇ペースが速いと、先物での仕掛け的な売りなども出てきそうだ。
9月第5週の投資主体別売買動向によると、海外投資家は先物を1兆円近く売り越していた。その内8,000億円程がTOPIX先物で、実需目線の海外勢が売り越していたとみられ、早期の戻りには期待しにくくなった。一方、225先物には一段の売り越し余地があるとも考えられ、短期筋の動きには引き続き警戒が必要だ。
225先物は一度27,000円割れまで下げているだけに下値固めに入ってほしいところだが、油断は禁物だ。今週の225先物予想レンジは28,000-29,000円とする。
経済スケジュール(10月11日〜10月16日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
---|---|---|---|---|
10月11日 | 月 | 国内 | 13:30 | 「生活意識に関するアンケート調査」(第87回)の結果(日本銀行) |
15:00 | 工作機械受注(9月) | |||
決算発表 コスモス薬 | ||||
海外 | 16:00 | トルコ・失業率(8月) | ||
20:25 | ブ・週次景気動向調査 | |||
27:00 | ブ・貿易収支(週次)(10月4-10日) | |||
中・資金調達総額(9月、15日までに) | ||||
中・マネーサプライ(9月、15日までに) | ||||
中・元建て新規貸出残高(9月、15日までに) | ||||
米・国際通貨基金(IMF)・世界銀行の年次総会(17日まで) | ||||
国際金融協会(IIF)年次会合(AMM)(15日まで) | ||||
米・債券市場は祝日のため休場(コロンブスデー) | ||||
10月12日 | 火 | 国内 | 08:50 | 貸出動向 銀行計(9月) |
08:50 | 銀行貸出動向(含信金前年比)(9月) | |||
08:50 | 国内企業物価指数(9月) | |||
10:00 | 営業毎旬報告(10月10日現在、日本銀行) | |||
決算発表 東宝 | ||||
海外 | 15:00 | 英・失業率(9月) | ||
15:00 | 英・ILO失業率(3カ月)(8月) | |||
18:00 | 独・ZEW期待指数(10月) | |||
21:00 | 印・鉱工業生産(8月) | |||
21:00 | 印・消費者物価指数(9月) | |||
23:00 | 米・JOLT求人件数(8月) | |||
印・貿易収支(9月、15日までに) | ||||
韓・中央銀行が政策金利発表 | ||||
国際通貨基金(IMF)が世界経済見通し(WEO)公表 | ||||
米・アトランタ連銀総裁が講演 | ||||
米・「グーグル・クラウド・ネクスト」会合(14日まで) | ||||
伊・G20貿易相会合 | ||||
ウクライナ・欧ウクライナサミット | ||||
10月13日 | 水 | 国内 | 08:50 | コア機械受注(8月) |
08:50 | マネーストック(9月) | |||
10:10 | 国債買い入れオペ(残存1-3年、残存5-10年)(日本銀行) | |||
海外 | 15:00 | 独・CPI(9月) | ||
15:00 | 英・GDP(8月) | |||
15:00 | 英・鉱工業生産指数(8月) | |||
15:00 | 英・商品貿易収支(8月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏鉱工業生産指数(8月) | |||
21:30 | 米・消費者物価コア指数(9月) | |||
中・貿易収支(9月) | ||||
米・連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(9月21-22日会合分) | ||||
米・クオールズ氏が連邦準備制度理事会(FRB)副議長(銀行監督担当)としての任期終了 | ||||
米・G20財務相・中央銀行総裁会議 | ||||
石油輸出国機構(OPEC)月報 | ||||
決算発表 JPモルガン、ブラックロック | ||||
10月14日 | 木 | 国内 | 10:30 | 野口日銀審議委員が鳥取県金融経済懇談会であいさつ、同記者会見 |
13:30 | 設備稼働率(8月) | |||
13:30 | 鉱工業生産(8月) | |||
15:00 | 全国銀行協会の高島会長が定例会見 | |||
臨時国会会期末、衆院が解散(衆院選は19日公示、31日投開票) | ||||
PHCホールディングスが東証1部に新規上場(公開価格:3250円) | ||||
決算発表 Fリテイリ、良品計画 | ||||
海外 | 09:30 | 豪・失業率(9月) | ||
10:30 | 中・消費者物価指数(9月) | |||
10:30 | 中・生産者物価指数(9月) | |||
15:30 | 印・卸売物価(9月) | |||
21:00 | ブ・IBGEサービス部門売上高(8月) | |||
21:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
21:30 | 米・生産者物価コア指数(9月) | |||
米・アトランタ連銀総裁がパネル討論会に参加 | ||||
米・リッチモンド連銀総裁が講演 | ||||
米・フィラデルフィア連銀総裁がオンライン討論会に参加 | ||||
米・食品医薬品局(FDA)諮問委員会がモデルナ製とJ&J製ワクチンのブースター接種巡り会合(15日まで) | ||||
国際エネルギー機関(IEA)月報 | ||||
香港・株式市場は祝日のため休場(重陽節) | ||||
決算発表 BofA、モルガンS、シティグループ、アルコア、TSMC | ||||
10月15日 | 金 | 海外 | 15:00 | 欧・ユーロ圏新車販売台数(9月) |
18:00 | 欧・ユーロ圏貿易収支(8月) | |||
20:00 | ブ・FGVインフレ率(IGP-10)(10月) | |||
21:00 | ブ・経済活動(8月) | |||
21:30 | 米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(10月) | |||
21:30 | 米・小売売上高(9月) | |||
21:30 | 米・輸入物価指数(9月) | |||
23:00 | 米・企業在庫(8月) | |||
23:00 | 米・ミシガン大学消費者信頼感指数速報(10月) | |||
米・ニューヨーク連銀総裁がパネル討論会に参加 | ||||
米・財務省の半年次為替報告書の議会への提出期限 | ||||
決算発表 ゴールドマン | ||||
10月16日 | 土 | 海外 | イングランド銀行(英中央銀行)総裁と中国人民銀行(中央銀行)総裁らがパネル討論会 |
- 提供:フィスコ社