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2024年6月度米農務省月例需給報告より
2024/6/19
提供:株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)
6月12日に米農務省より月例の需給報告が発表された。以下同レポートの要旨を概観する。
◆小幅な修正にとどまった米国旧穀需給
まず2023/24年度旧穀の需給予想(昨穀物年度の穀物需給)では、米国は小麦、トウモロコシは先月から修正は見られなかった。なお、小麦は5月末で2023/24年度が終了、今月末に5月31日時点の全米在庫レポート=小麦旧穀の期末在庫の発表があるので、来月の需給報告で修正される見通し。大豆については輸出見通しが▲10百万ブッシェル下方修正され、結果として期末在庫(2024年8月末時点)が+10百万ブッシェル上方修正した。輸出の減少は米国内在庫の増加要因となる。
◆2024/25年米国新穀需給のポイント
小麦は現在収穫が進んでいる冬小麦(昨年冬に作付を行ったもの)の生産量がポイントの一つであるが、米農務省は全小麦生産量を先月から+17百万ブッシェル上方修正して1,875百万ブッシェルとした。主産地である米国プレーンズ中心に乾燥傾向が続いており、単収(単位面積あたりの収穫量)の減少が懸念されていたが、若干その懸念が後退した。需要面ではロシア南西部が乾燥、遅霜等の影響で当初見通しから大幅減産見通しであり、米国の輸出見通しは+25百万ブッシェル上方修正された。
トウモロコシは今月末に新穀の作付面積が発表される予定であり、新穀生産量はその作付面積レポートを受けて来月以降、修正されることになる。
大豆は旧穀の期末在庫(=新穀の期初在庫)が+10百万ブッシェル上方修正されたことから、新穀の期末在庫も+10百万ブッシェル上方修正された。
◆世界需給のポイント〜ロシア減産の小麦需給に与える影響は不透明
小麦はロシア、ウクライナの生産量が▲5百万トン、▲1.5百万トン、また多雨の影響でフランスの減産が伝えられるEUの生産量が▲1.5百万トンそれぞれ下方修正された。これらの国は小麦市場での重要な輸出国であるが、米農務省は主要国の減産、輸出量減の影響で貿易市場での取引量が減少すると予想している。
トウモロコシは世界需給でも大きな修正はなかった。
大豆は主要生産地である南米の生産量が注目されたが、ブラジルの生産量は▲1百万トン下方修正され、153百万トンとし、アルゼンチンの生産量見通しは据え置いた。先月ブラジル南部リオグランデドスル州で発生した洪水の被害で収穫直前の大豆が影響を受けた事が主因である。
この需給報告を受け、市場は「小麦は冬小麦生産量の上方修正を受けやや弱気」「トウモロコシは南米の生産量が下方修正されなかった事でやや弱気」「大豆は中立ないしやや弱気」と判断した。
◆今後の相場展開〜足元弱材料が多いが天候次第で波乱のリスクを含む
需給報告も踏まえると、春作物の順調な生育状況、あるいは冬小麦の収穫進展など短期的には価格面での弱材料が多い。投機筋は供給面に問題がなさそうなことを見越して売り越しポジションを増加させている。
※穀物価格指数は、2022年1月時点のトウモロコシ、大豆、小麦の価格を100として指数化しそれを単純平均したもの(MRA作成)。
出所:CFTC、CBOT
しかし、7月に入るとトウモロコシの受粉、大豆の開花/受粉期という今後の生産に大きな影響を与える重要な時期になるが、6月下旬の中期予報では気温が高めと予想されており、今後の(予報も含めた)降水量の推移次第では大きく価格が上振れるリスクはある。また長期的には足元エルニーニョが解消し、ラニーニャへの移行可能性が高まっていることから、秋口に向けての異常気象の発生による上昇リスクは十分警戒が必要だろう。
![檜垣 元一郎](https://sbisec.akamaized.net/sbisec/images/base/g_market_report_gold_niimura_02_240422.png)
株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA) 檜垣 元一郎
1982年国際基督教大学教養学部卒。住友商事株式会社入社。1985年より穀物・油糧種子現物・先物取引に従事。2001年からはコモディティビジネス部で幅広い商品の価格リスク制御の提案業務を担当。
その後、香港投資子会社、ベルギーの現地法人の社長を歴任した後、2024年マーケット・リスク・アドバイザリーフェローに就任。
専門分野は農産物全般市場分析、排出権市場分析、商品デリバティブ取引全般。
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