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2024-04-20 22:29:58

2020年の金市場を考える

提供元:森田アソシエイツ

ここ数年、1オンスあたり1,200ドルから1,300ドル前半のボックス圏で推移してきた金価格は、2019年6月に急上昇し、1,350ドル、1,400ドル、1,500ドルの抵抗線を短期間で超え、現在1,470ドル台で取引されている。直接のきっかけは、米中貿易摩擦の激化に対する懸念と(利上げ方針から利下げを含む)柔軟な金融政策に転換した米FRBの動きであるが、ETF金保有残高と中央銀行の金購入が過去最高を更新して、需要を堅調に支えていることも大きく貢献している。こうした流れを受け、改めて2020年の金市場を展望したい。

金価格に影響を与える主要な中長期要因は、需要の動向とマクロ政治・経済環境の安定性である。需要が堅調であるほど、投資環境の不確実性が高まるほど、金価格にはプラスであり、その逆も然りである。金価格の短期変動要因として、金利傾向、米ドルの強さ、株価の行方を挙げることができる。キャッシュフロー(金利や配当など)を生まない金は、低金利環境において投資魅力が相対的に上昇する。また、金は米ドルと逆相関の関係にあり、ドルの価値が上昇すると金価格は下落する。株価が好調で市場がリスクオン状態にあるときは、リスクヘッジに対するニーズが減少し、金に対する関心が薄れることも多い。ここ数年は、中長期要因のプラスを短期要因がオフセットした状況が続いていたため、金価格はボックス圏で推移した。では、2020年はどうなるか?

2019年第3四半期現在の金需要は、前年同期に比べ7%ほど伸びている。過去の金価格高騰時同様、中国・インドの消費者は今年の後半も購入待ちの姿勢を取り、需要は減少しているものの、積極的な中央銀行の金投資および金ETFへの資金流入によって、金の総需要は堅調に推移している。中国・インドについては、経済成長に伴う中間層の増加が需要を支える最大の要因であり、市場環境がもたらす短期的な変動を乗り越える構造的な強さがいまだに維持されている。中央銀行セクターは、2018年にニクソンショック以来の最高の需要を記録し、今年はそれを上回るペースで購入している(図表参照)。ワールド ゴールド カウンシルの2019年アンケート調査によると、中央銀行の金投資意欲はまだ旺盛さを保っている。また、金ETFによる金保有も、過去最高だった2012年のピークを今年の9月に超えた(図表参照)。現在の金ETF市場は、不確実性が高まる投資環境において金が果たせる役割(主にリスクヘッジ)を評価する長期投資家が多くを占め、マクロ政治・経済リスクが構造的に低下しない限り、市場から退出することはなく、むしろ需要の拡大に寄与する可能性がある。

マクロ政治・経済の不確実性については様々な見方があるが、共通しているのは、米中貿易摩擦、北朝鮮問題、米・イランの対立、英国のEU離脱、ポピュリズム政治の勢力拡大、高株価に対する警戒、グローバル債務の急増、世界経済の成長鈍化などの問題は、短期間に状況が根本的に好転あるいは解決する可能性はそう高くないということである。

米国FRBは、2019年に入り、米国経済失速のリスクも考慮して利上げから利下げを含む柔軟な金利政策に方針を転換した。また、欧州中央銀行は今年9月にさらなる金融緩和方針を発表した。日銀の黒田総裁も、経済状況を見て躊躇なく追加緩和策を遂行する用意があると決意を表明している。金にとって好ましい低・マイナス金利環境が今後しばらく続くと思われる。また、グローバル金利環境が大きく変化しない中、トランプ政権が景気高揚策やグローバル政治緊張関係の緩和に動かない限り、過去最高レベルにある米ドル為替レートが現在よりもさらに構造的に底上げされ、これまでのように金価格に不利に働く可能性は高くないと考えられる。さらに、ピークアウト感がある企業業績、過去最高レベルにある企業負債、(格付会社による格下げが格上げ会社数を上回るなど)兆候が出始めた信用サイクルの反転(悪化)等、好調な株式市場を警戒する材料が増加しており、株価と低・マイナス相関にある金のヘッジ機能に注目する投資家が増えても不思議ではない。 つまり、ここ数年、中長期要因(需要と投資環境の不確実性)がもたらす上方圧力を抑えてきた短期金融要因(金利、米ドル、株価)に対する評価が2019年後半に大きく変わり、金価格は幾重もの抵抗線を一気に突破し、高騰した。こうした爆発エネルギーはないものの、2020年の金市場は引き続き良好な環境に支えられ、ダウンサイド・リスクよりもアップサイド・ポテンシャルの方が高く、価格がじわじわと切り上がる展開も期待できるのではないだろうか?

もちろん、金ETFに対する投資家の信任は、堅調な金需要なくして語れない。2018年通年の金の総需要は、2017年に比べ5%増の約4,400トン、リーマンショック前の3,000トン強レベルから大きく底上げされている。2019年上半期についても、対前年同期比で8%増と、順調に伸びている。特に中央銀行セクターからの需要は旺盛で、2018年はニクソンショック以降の最高、2019年は過去最高の上半期となる金購入を計上した。

金ETF市場における量と質の改善および好調な金需要は、金価格の堅調な形成を今後も支えていく要因となろう。

中央銀行の金需要の推移(第3四半期現在)

出所:World Gold Council “Gold Demand Trend 2019年第3四半期” より

金ETF残高の推移

World Gold Council “Gold Demand Trend 2019年第3四半期” より

森田アソシエイツ 森田 隆大(もりた たかひろ)
ニューヨーク大学経営大学院にてMBA取得。1990年にムーディーズ・インベスターズ・サービス本社(ニューヨーク)にシニア・アナリストとして入社。2000年に格付委員会議長を兼務。2002年に日本及び韓国の事業会社格付部門の統括責任者に就任。2010年にワールド・ゴールド・カウンシルに入社、翌年、日本代表に就任。金ファンダメンタルズおよび投資における金の役割に関する調査・研究の提供、および投資家との直接対話を通して、金投資の普及活動に取り組む。
2016年に森田アソシエイツを設立、ワールド・ゴールド・カウンシル顧問を兼務。現在、埼玉学園大学大学院客員教授、特定非営利活動法人NPOフェアレーティング代表理事、MSクレジットリサーチ取締役兼評価委員会議長も兼任。立命館大学金融・法・税務研究センターシニアフェロー、法政大学大学院兼任講師を歴任。

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