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金はユーロ安で戻りを売られる
提供:SBIゴールド
金は米朝首脳会談の行方も確認
5月21日の週のニューヨーク金市場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で利上げ加速観測が後退したことや米朝首脳会談中止を受けて急伸し、1,300ドル台を回復した。8月限は15日以来の高値1,312.6ドルを付けた。米10年債利回りが3%を割り込み、2.922%まで低下したことも支援要因になった。ただイタリアやスペインの政治不安を受けてユーロが軟調に推移し、上値を抑える要因になった。
米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で、当局者らは経済見通しから考えて「近く」追加利上げが適切になると予想した。またインフレ率が目標から若干オーバーシュートしても問題ないとの認識を示し、より積極的な引き締めには急いでいないことを示唆した。CMEのフェドウォッチによると、12月の2.25〜2.50%への利上げ確率が34.2%となり、1週間前の43.8%から低下し、年4回の利上げの見方が後退した。ただ6月と9月の利上げ予想は強く、ドル指数は2017年11月以来の高値94.30を付けた。今週は6月1日に5月の米雇用統計の発表があり、労働市場に対する見方を確認したい。事前予想は非農業部門雇用者数が19万人増、失業率が3.9%(前月3.9%)、平均時給が前月比0.2%増。
イタリアのマッタレッラ大統領は、大衆迎合主義(ポピュリズム)政党「五つ星運動」と極右の「同盟」が推薦したフィレンツェ大学法学教授のジュゼッペ・コンテ氏を次期首相に指名した。欧州連合(EU)に懐疑的な政党による連立政権が誕生する見通しとなり、先行き懸念が強まった。しかし、同大統領は27日、ユーロ懐疑派エコノミストであるパオロ・サボーナ氏の経済相起用を拒否、コンテ氏は組閣を断念し、再選挙実施の可能性が出てきた。またスペインの最大野党である社会労働党は、ラホイ首相の元側近が与党国民党内の汚職事件で有罪判決を受けたのを踏まえ、同首相に対する不信任動議を準備していることが伝えられた。5月のユーロ圏総合購買担当者景気指数(PMI)速報値が1年半ぶりの低水準となったことを受け、JPモルガンが欧州中央銀行(ECB)の利上げ予想時期を来年3月から同6月に先延ばしした。ユーロ主導でのドル高が続くかどうかを確認したい。
トランプ米大統領は24日、来月12日にシンガポールで開催される予定だった米朝首脳会談を中止すると北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長に通告した。一方、北朝鮮の金第1外務次官は声明で、首脳会談中止が突然発表されたことは北朝鮮にとって予想外であり、極めて遺憾だと言わざるを得ないとした上で、北朝鮮としては問題解決のため、いつ、いかなる形ででも直接会談する意向があることを改めて米側に伝える、と述べた。米大統領は、会談中止の再考を求めた北朝鮮高官の声明を「生産的」と評価し、週明けには、政府担当者が北朝鮮側と事前協議を行うため北朝鮮入りしたことを明らかにした。「朝鮮半島の完全な非核化」を受け入れなければ会談は実現しないという状況になっており、これまで北朝鮮が主張していた「段階的な非核化」を諦めるかどうかが焦点になりそうだ。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月22日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは9万0,957枚となり、前週の9万2,443枚から縮小した。今回は手じまい売りが1万1,791枚、買い戻しが1万0,305枚入り、買い越しを1,486枚縮小した。一方、5月25日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比6.78トン減の848.50トンとなった。戻り場面で投資資金が流出した。
プラチナは米中貿易戦争に対する懸念後退などが支援
ニューヨーク・プラチナ7月限は一代安値877.8ドルを付けたのち、ムニューシン米財務長官が米中貿易戦争をいったん「保留」にすると述べたことなどを受けて急反発した。また米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録による利上げ加速観測後退や米朝首脳会談中止も支援要因となり、14日以来の高値914.7ドルを付けた。ただ米中通商協議に対する不透明感が残っている。またトランプ米政権が、新たな自動車輸入関税の適用を検討しており、最大25%の関税を課す可能性があると伝えられたことが上値を抑える要因である。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月22日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1,462枚となり、前週の8,196枚から縮小した。手じまい売り・新規売りが出た。2006年6月以来の低水準となっており、売られ過ぎとの見方が出ると、買い戻される可能性が出てくる。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、23日のロンドンで11.10トン(18日11.19トン)、25日のニューヨークで15.54トン(同15.83トン)に減少、南アで25.30トン(同25.30トン)と横ばいとなった。
原油はOPECやロシアの増産観測が圧迫
ニューヨーク原油は、米国のベネズエラ制裁を受けて2014年11月以来の高値72.83ドルを付けたが、米原油在庫の増加に加え、石油輸出国機構(OPEC)やロシアの増産観測を受けて反落した。6月の石油輸出国機構(OPEC)総会で、イランやベネズエラの減産による影響が協議され、協調減産の規模が縮小される可能性があることが伝えられた。ロシアのノバク・エネルギー相とサウジアラビアのファリハ・エネルギー相の会談で、100万バレルの規模縮小が意識されており、利食い売りが進むと、調整局面を迎えることになりそうだ。一方、米エネルギー情報局(EIA)が発表した5月18日までの週間石油統計で、原油在庫は前週比577万8,000バレル増加した。事前予想は160万バレル減。また米原油生産は過去最高を更新した。また米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された5月25日までの週の米石油リグ稼動数は前週比15基増の859基となった。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月22日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは63万3,386枚となり、前週の64万4,444枚から縮小した。手じまい売りが買い戻しを上回った。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は25日時点で1億4,080万株となり、前週末比570万株増加した。
ニューヨーク金は1,300ドル台回復も投資資金が流出
ニューヨーク金8月限は米長期金利低下や米朝首脳会談中止発表を受けて1,300ドル台を回復した。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を受けて利上げ加速観測が後退し、米10年債利回りは3%を割り込んだ。ただ米大統領の米朝首脳会談中止発表に対し、北朝鮮は対話継続を求め、緊張が高まる状況ではない。イタリアやスペインの政治不安を受けてユーロが軟調となるなか、金ETF(上場投信)から投資資金が流出しており、200日移動平均線を突破できなければ戻り売り圧力が強まる可能性がある。今週は6月1日に5月の米雇用統計の発表もある。
5月28日からの週の注目ポイント
28日 |
米国、英国市場は休場 |
☆ |
---|---|---|
29日 |
日本雇用統計(4月) |
☆ |
セントルイス連銀総裁、講演 |
☆ |
|
30日 |
黒田日銀総裁、あいさつ |
☆ |
米GDP改定値(第1四半期) |
☆☆ |
|
米ADP雇用者数(5月) |
☆☆ |
|
米地区連銀経済報告(ベージュブック) |
☆☆ |
|
OECD経済見通し |
☆ |
|
31日 |
中国製造業PMI(5月) |
☆ |
ユーロ圏失業率(4月) |
☆ |
|
米個人所得支出(4月) |
☆ |
|
米中古住宅販売制約指数(4月) |
☆ |
|
ブレイナードFRB理事、講演 |
☆ |
|
アトランタ連銀総裁、講演 |
☆ |
|
セントルイス連銀総裁、講演 |
☆ |
|
コンスタンシオECB副総裁、任期満了 |
☆ |
|
G7財務相・中銀総裁会議(6月2日まで) |
☆☆☆ |
|
1日 |
米雇用統計(4月) |
☆☆☆ |
米ISM製造業景況指数(5月) |
☆☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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