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金は株安懸念が支援要因に
提供:SBIゴールド
金は米雇用統計でドル相場の行方も確認
10月22日の週のニューヨーク金市場は、世界的な株安に対する懸念を受けて堅調となった。12月限は7月17日以来の高値1,246.0ドルを付けた。米企業決算で企業業績の伸びがピークに達したとの見方が強まり、米株価が急落した。またイタリアの予算案を欧州委員会が拒否し、財政懸念が残っていることも支援要因である。ただ金はドル高が上値を抑える要因になった。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しに変わりはなく、ドル高に振れた。一方、サウジの記者死亡で米国の対応も確認したい。
ダウ平均株価は調整局面を継続し、26日に7月以来の安値2万4,445.19ドルを付けた。IT・ハイテク企業の好調な決算を受けて急反発する場面も見られたが、アマゾンの決算で売上高と業績見通しが事前予想を下回ったことを受けて投資家心理が悪化し、戻りを売られた。米地区連銀経済報告(ベージュブック)で、製造業者が関税を理由に値上げを行っていると指摘されたことも株安要因となった。株安が続くと、金ETF(上場投信)に逃避買いが入り、堅調に推移するとみられる。ただトランプ米大統領は20日、中間所得層向けの「大規模減税」を検討しているとし、来月行われる中間選挙の数日前に発表する可能性があると述べた。大規模減税が実施されると、株価の下支え要因となる可能性が出てくる。一方、第3四半期の米国内総生産(GDP)速報値は、年率換算で前期比3.5%増と、事前予想の3.3%増を上回った。ただし第2四半期の4.2%増からは伸びが鈍化した。輸入関税の導入に伴い大豆輸出が減少したが、個人消費が約4年ぶりの大幅な伸びとなったほか、在庫投資が大幅に増え、政府支出も底堅かった。米短期金利先物市場で、米連邦準備理事会(FRB)の12月利上げが見込まれており、ドル高が続くと金の上値を抑える要因になるとみられる。クラリダ米FRB副議長は、ある程度の段階的な追加利上げが妥当との認識を示した。また株安が続いた場合、政策議論に含む必要が出てくるとの見解を示した。
欧州中央銀行(ECB)は理事会で、主要政策金利の据え置きを決定した。成長見通しが悪化したと認める一方、景気の下支えを目的とした量的緩和(QE)について予定通り年内に終了する方針を確認した。ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、域内経済の勢いが最近弱まったと認めた上で、保護貿易主義の台頭や新興国市場、金融市場動向を巡り「多大な不透明感」が漂うと指摘した。10月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)速報値で総合PMIは9月の54.1から52.7に低下し、25カ月ぶりの低水準となり、事前予想の53.9を大幅に下回った。第4四半期に入り、域内の景況が予想以上に失速していることを示した。一方、イタリア政府は22日、欧州委員会に対し、欧州連合(EU)財政規律に反する2019年予算案を修正しない考えを示した。ただ今後数年間はさらに財政赤字を拡大させない方針も示した。欧州委は23日、EU規則を「前例のない」形で破っているとして、イタリアの予算案を拒否した。イタリアが予算案を修正しなければ、欧州委は過剰財政赤字手続きと呼ばれる処分に着手する構えである。ユーロ圏の景気減速とイタリアの財政懸念はドル高要因であり、今後の行方を確認したい。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月23日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは2万9,388枚となり、前週の1万7,667枚から拡大した。今回は新規買いが3,378枚、買い戻しが8,343枚入り、1万1,721枚買い越しを拡大した。一方、10月26日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比3.83トン増の749.64トンとなった。株安懸念などを背景に逃避買いが入った。
プラチナは金主導の値動きもレンジ相場を継続
ニューヨーク・プラチナ1月限は、金堅調につれ高となる場面も見られたが、レンジ内での動きとなり、上値は限られた。株安懸念が強まっており、自動車触媒需要が伸び悩むと、プラチナの上値を抑える要因になる。当面は809.2〜854.5ドルのレンジ相場が続くとみられる。一方、パラジウムは米ロ関係の悪化に対する懸念が出たことをきっかけに急伸し、史上最高値1,149.44ドルを付けた。パラジウムが堅調に推移すると、プラチナの下支えになりそうだ。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月23日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万1,662枚となり、前週の1万3,080枚から縮小した。手じまい売りが買い戻しを上回った。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は26日のロンドンで9.48トン(19日9.42トン)に増加、ニューヨークで18.73トン(同18.73トン)と変わらず、南アで23.15トン(同22.67トン)に増加した。
ニューヨーク金は逃避買いでジリ高
ニューヨーク金12月限は、世界的な株安に対する懸念を受けて7月17日以来の高値1,246.0ドルを付けた。直近高値を更新し、テクニカル面で強気である。米企業決算を受けて企業業績の伸びがピークに達したとの見方が強まり、金ETF(上場投信)に逃避買いが入った。イタリアの予算案の行方やサウジの記者死亡に対する米国の反応も焦点である。ただ米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しに変わりはなく、ドル高に振れたことが上値を抑える要因になった。今週は10月の米雇用統計の発表がある。
10月29日からの週の注目ポイント
29日 |
小売業販売額(9月速報) |
☆ |
---|---|---|
米個人所得・支出(9月) |
☆☆ |
|
30日 |
失業率(9月) |
☆☆ |
金融政策決定会合(1日目) |
☆☆ |
|
ユーロ圏国内総生産(7-9月期速報) |
☆☆☆ |
|
ユーロ圏消費者信頼感(10月確報) |
☆☆ |
|
米ケース・シラー住宅価格指数(8月) |
☆☆ |
|
米消費者信頼感指数(10月) |
☆☆ |
|
31日 |
鉱工業生産指数(9月速報) |
☆☆ |
金融政策決定会合 |
☆☆☆ |
|
中国製造業購買担当者景況指数(10月) |
☆☆ |
|
ユーロ圏消費者物価指数(10月速報) |
☆☆ |
|
全米雇用報告(10月) |
☆☆☆ |
|
米雇用コスト指数(7-9月期) |
☆☆☆ |
|
シカゴ購買部協会景気指数(10月) |
☆☆☆ |
|
1日 |
中国財新製造業購買担当者景況指数(10月) |
☆☆ |
英政策金利公表 |
☆☆☆ |
|
米ISM製造業景況指数(10月) |
☆☆☆ |
|
2日 |
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(10月確報) |
☆☆ |
米貿易収支(9月) |
☆☆ |
|
米雇用統計(10月) |
☆☆☆ |
|
米製造業新規受注(9月) |
☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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