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金はドル安や株安が支援
提供:SBIゴールド
金は逃避買いが入ると上値を試す
12月3日の週のニューヨーク金市場は、ドル安や株安を受けて堅調となった。米中首脳会談で貿易戦争休戦で合意したが、今後の通商交渉に対する懸念が残っている。また米国債の逆イールド(長短金利の逆転)で景気の先行き懸念が強まったことに加え、予想以下の米雇用統計を受けて来年の米連邦準備理事会(FRB)の利上げ休止観測が強まり、ドル安に振れた。ダウ平均株価はレンジ下限を試しつつあり、金に逃避買いが入るようなら引き続き上値を試すとみられる。
米中首脳会談で貿易戦争休戦で合意したが、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)幹部逮捕を受けて今後の通商交渉に対する懸念が出ている。同CFOは米国の対イラン制裁に違反した疑いで逮捕された。トランプ米大統領の側近らは、同CFO逮捕による交渉への影響はないとの考えを示しているが、中国外務省の楽玉成次官は、米国のブランスタッド駐中国大使を呼び出し、同CFO逮捕について抗議した上で、必要なら「さらなる行動」を取ると警告しており、今後の行方を確認したい。一方、米国債の逆イールドや予想以下の米雇用統計を受けて来年の米連邦準備理事会(FRB)の利上げ休止観測が強まった。11月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数が15万5,000人増と前月の23万7,000人から鈍化し、事前予想の20万人増を下回った。時間当たり平均賃金の伸びは前月比0.2%と前月の0.1%から拡大したものの、事前予想の0.3%に届かなかった。米FRBのブレイナード理事は、近い将来の利上げを支持する姿勢を示しながらも、景気に対する追い風は弱まりつつあり、金融政策はこれまで以上に米経済見通しに依存するとの考えを示した。また米セントルイス地区連銀のブラード総裁は、米FRBがインフレ動向や経済動静のほか、これまでに実施した利上げの効果を見極める中、米金融政策は現在、岐路に立っているとの見解を示した。米短期金利先物市場で来年12月のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標の確率は2.25〜2.50%が42.2%(前週25.4%)、2.50〜2.75%が32.0%(同38.0%)となった。今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが決定されたのち、来年の利上げが見送られるとの見方が強まった。
ハモンド英財務相は5日、国民の大部分が不満を抱えたまま欧州連合(EU)離脱を巡る問題が決着する事態となれば、英首相が提示した離脱案に示されている微小な経済コストよりも大きな代償を払うことになるとし、議会で離脱案が承認されない事態について警告した。11日の採決では否決されるとの見方が強い。ただ複数のEU外交筋は、11日の議会投票では離脱案に対する賛成票と反対派が僅差となり、その結果、再投票が決まり、メイ氏が2度目の投票で十分な支持を集められるというシナリオを期待している、とも伝えられており、離脱案の行方を確認したい。一方、英紙テレグラフは、13〜14日のEU首脳会合において、英首相に対して来年3月29日までとなっているEU離脱交渉の期限を延期するよう提案する可能性があると報じた。英国が合意なき離脱となれば金融市場の混乱に対する懸念が強まるとみられ、今後の行方を確認したい。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、11月27日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは1,871枚。ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領(父ブッシュ)死去により、5日が国民追悼の日で金融市場が休場となり、発表は10日に延期された。一方、12月7日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比2.01トン減の759.73トンとなった。米中首脳会談での合意を受けて週初に減少したが、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測後退を受けて週末に投資資金が戻った。
プラチナはリスク回避で軟調
ニューヨーク・プラチナ期近1月限は、供給過剰見通しやリスク回避の動きを受けて軟調となり、9月11日以来の安値785.0ドルを付けた。米中の通商交渉の先行き懸念や米国債の逆イールドを受けてリスク回避の動きが強まり、株価が急落したことが圧迫要因になった。ただ米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測後退やパラジウムの史上最高値更新が下支え要因である。米中の通商交渉に対する楽観的な見方が戻ると、安値拾いの買い意欲が強まる可能性がある。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、11月27日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万2,815枚。発表は10日に延期された。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は5日のロンドンで8.96トン(前週末9.11トン)、7日のニューヨークで18.72トン(同19.02トン)に減少、南アで21.87トン(同21.87トン)と変わらずとなった。欧米で投資資金が流出し、圧迫要因になった。
ニューヨーク金は10月の戻り高値を突破
ニューヨーク金2月限は、7月17日以来の高値1,255.8ドルを付けた。米国債の逆イールド(長短金利の逆転)で米景気の先行き懸念が強まったことに加え、予想以下の米雇用統計を受けてドル安に振れたことが支援要因となった。また米中首脳会談で貿易戦争休戦で合意したが、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・最高財務責任者(CFO)逮捕が通商交渉に悪影響を与えるとの見方も金買い要因となっている。テクニカル面では10月の戻り高値1,252.0ドルを突破しており、次は200日移動平均線(7日1,275.37ドル)を突破できるかどうかが焦点である。
12月10日からの週の注目ポイント
10日 |
国内総生産(7-9月期2次速報) |
☆☆☆ |
---|---|---|
国際収支(経常収支)(10月) |
☆ |
|
独貿易収支(10月) |
☆ |
|
英貿易収支(10月) |
☆☆ |
|
英鉱工業生産指数(10月) |
☆☆ |
|
11日 |
独ZEW景況感指数(12月) |
☆☆ |
米生産者物価指数(11月) |
☆☆ |
|
12日 |
機械受注(10月) |
☆☆ |
ユーロ圏鉱工業生産(10月) |
☆☆ |
|
米消費者物価指数(11月) |
☆☆☆ |
|
米財政収支(11月) |
☆ |
|
13日 |
金融政策理事会(ECB) |
☆☆☆ |
米輸出入物価指数(11月) |
☆ |
|
14日 |
短観 概要及び要旨(12月調査) |
☆☆☆ |
中国小売売上高(11月) |
☆☆ |
|
中国鉱工業生産(11月) |
☆☆ |
|
米小売売上高(11月) |
☆☆☆ |
|
米鉱工業生産・設備稼働率(11月) |
☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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