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金は経済活動再開期待で調整警戒の動き
2020/4/20
提供：ミンカブ・ジ・インフォノイド
金はＮＹ市場のプレミアムも確認
４月13日の週のニューヨーク金市場は、米連邦準備理事会（ＦＲＢ）の追加策の見方からＥＴＦ（上場投信）への資金流入が続くなか、期近６月限が一代高値1,788.8ドルを付けた。ただ新型コロナウイルスの終息期待から利食い売りが出ると上げ一服となり、1,700ドルの節目を割り込んだ。
トランプ米大統領は16日、経済活動再開の指針を発表した。疾病の症例数が２週間にわたって「下向きの軌道」を確認した上で、各州は状況に応じて３段階で封鎖措置の解除を進めるべきとの考えを示した。米疾病対策センター（ＣＤＣ）のレッドフィールド所長は13日、米国で新型コロナウイルス感染が週内にピークを迎える可能性があるとの見通しを示しており、終息期待が高まっていた。ただ米ニューヨーク州のクオモ知事はロックダウン（都市封鎖）を５月15日まで２週間延長すると発表しており、新型コロナウイルスの行方を引き続き確認したい。米株価が堅調に推移しており、金は利食い売り主導の調整局面も警戒される。
国際通貨基金（ＩＭＦ）は、最新の世界経済見通しを発表し、2020年の世界の成長率が3.0％落ち込むとの見通しを示した。1930年代の大恐慌以来で最悪の景気後退になるとみられている。米新規失業保険申請件数は524万5,000件となり、１カ月間の申請件数は合計で2,200万件を超え、労働市場は急速に悪化している。３月の米小売売上高は前月比8.7％減と1992年以来、米鉱工業生産指数は同5.4％低下し、1946年１月以来の大幅な落ち込みとなった。米地区連銀経済報告（ベージュブック）では、新型コロナウイルス感染拡大により、米国の経済活動は「すべての地区で突然、急激に落ち込んだ」との見方が示された。米政府は3,500億ドルの中小企業向け支援策を導入したが、約２週間で資金が底をつき、追加策が協議されている。また米連邦準備理事会（ＦＲＢ）の無制限の量的緩和（ＱＥ）が続く見通しであり、大量の資金が投入されることは金の支援要因である。
ニューヨーク金は欧米や南アのロックダウン（都市封鎖）による航空便の減少や鉱山会社の操業縮小を受けて供給がひっ迫し、一時100ドルのプレミアムが付いた。ただシカゴ・マーカンタイル取引所（ＣＭＥ）が400オンスの地金も受け渡し可能と発表し、指定倉庫在庫が増加すると、プレミアムは縮小した。インドではロックダウンで需要が急減すると予想され、中国ではロックダウンが解除されたが、50ドル以上のディスカウントとなった。欧米の経済活動が再開され、現物調達が容易になると、実需筋の売り主導で調整局面を迎える可能性もでてくる。
４月17日のニューヨークの金ＥＴＦ（上場投信）の現物保有高は前週末比27.50トン増の1,021.69トンとなった。米連邦準備理事会（ＦＲＢ）の追加策の見方などを受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会（ＣＦＴＣ）の建玉明細報告によると、４月14日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは25万2,501枚となり、前週の24万8,942枚から拡大した。今回は新規買いが6,737枚、新規売りが3,178枚出て3,559枚買い越し幅を拡大した。
プラチナは南アのロックダウン延長も需要減少などで上値重い
ニューヨーク・プラチナ期近７月限は南アのロックダウン（都市封鎖）延長を受けて３月12日以来の高値838.2ドルを付けたのち、金の上げ一服などに上値を抑えられた。南アのロックダウン延長を受けてリースレート（貸出金利）が上昇し、供給ひっ迫感が強い。鉱山会社がプラチナ供給の不可抗力条項を宣言している。一方、欧州自動車工業会（ＡＣＥＡ）は13日、新型コロナウイルスの感染拡大による欧州の工場閉鎖により、190万0,093台の自動車が減産の影響を受けた、と発表した。３月の欧州連合（ＥＵ26）の新車（乗用車）登録台数は前年同月比55.1％減の56万7,308台となった。自動車触媒需要の急減もプラチナの上値を抑える要因である。
プラチナＥＴＦ（上場投信）の現物保有高は、15日のロンドンで16.26トン（前週末16.26トン）、ニューヨークで22.95トン（同22.95トン）、14日の南アで25.53トン（同25.89トン）となった。一方、米商品先物取引委員会（ＣＦＴＣ）の建玉明細報告によると、４月14日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは１万7,796枚となり、前週の１万9,021枚から縮小した。手じまい売りが買い戻しを上回った。
ニューヨーク金は一代高値更新も調整警戒の動き
ニューヨーク金６月限は米連邦準備理事会（ＦＲＢ）の追加策の見方などを受けて一代高値1,788.8ドルを付けたのち、新型コロナウイルスの終息期待から利食い売りなどが出て上げ一服となり、1,700ドルの節目を割り込んだ。米大統領が経済活動再開の指針を発表しており、株高が続くと、利食い売り主導の調整局面が警戒される。ただ国際通貨基金（ＩＭＦ）が大恐慌以来の景気後退になると予想しており、中長期的には各国中銀の量的緩和（ＱＥ）などで押し目は買われるとみられる。
４月２０日からの週の注目ポイント
| 20日 | 貿易収支（3月速報） | ☆☆ |
| ユーロ圏貿易収支（2月） | ☆ | |
| 21日 | 独ZEW景況感指数（4月） | ☆☆ |
| 米中古住宅販売統計（3月） | ☆☆ | |
| 22日 | 英消費者物価指数（3月） | ☆☆ |
| 米住宅価格指数（2月） | ☆ | |
| 23日 | ユーロ圏製造業購買担当者景況指数（4月速報） | ☆☆ |
| ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数（4月速報） | ☆☆ | |
| 米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
| 米新築住宅販売（3月） | ☆☆☆ | |
| 24日 | 消費者物価指数（3月） | ☆☆☆ |
| 独ifo景況感指数（4月） | ☆☆ | |
| 米耐久財受注（3月） | ☆☆ | |
| 米ミシガン大消費者信頼感指数（4月確報） | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金（現物1oz.あたり）日足 6ヵ月
＜参照＞SBI証券＞マーケットデータより
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