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金は米FRBのインフレ容認でドル安が再開するかどうかを確認
2020/8/31
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米雇用統計や米FOMCに向けた動きを確認
8月24日の週のニューヨーク金市場はドル高を受けて調整局面を継続したが、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演でインフレ容認が示されたことを受けて急伸し、19日以来の高値1,987.0ドルを付けた。米国債の利回り上昇によるドル高を受けて戻りを売られたが、低金利の長期化見通しからドルの戻りが売られたことから地合いを引き締めた。米FRB議長はカンザスシティー地区連銀開催の年次経済シンポジウムでの講演で、インフレ率が「一時的に」2%を上回ることを容認し、雇用を確保する方針を示した。9月15〜16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に対する不透明感から米国債の利回りが上昇したが、低金利の長期化見通しから利回り上昇が一服した。今週は8月の米雇用統計などの発表があり、労働市場に対する見方を確認したい。回復鈍化が示されると、米経済の先行き懸念から利回りが低下し、ドル安要因になるとみられる。一方、米FOMCに向けた動きも焦点である。前回の米FOMC議事要旨では金融政策の微調整が検討されており、金融当局者の発言を確認したい。
米野党民主党のペロシ下院議長は、追加経済対策を巡ってメドウズ大統領首席補佐官と電話協議を行ったが、打開策を見いだせずに終わったと明らかにした。政権側が2兆2,000億ドルで折り合いを付ける用意が整うまで、協議再開はないとしている。第2四半期の米国内総生産(GDP)改定値は年率換算で前期比31.7%減と速報値の32.9%減から上方修正されたが、73年ぶりの大幅な落ち込みとなった。また米新規失業保険申請件数は100万6,000件と、前週の110万4,000件から減少したが、100万件を超えており、労働市場の回復は鈍化するとみられている。米経済は2月にリセッション(景気後退)入りしたのち、ロックダウン(都市封鎖)緩和による経済活動再開で回復した。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、ワクチンや治療薬が開発され、経済が正常化するには数年かかる見通しである。一方、日本では安倍首相が辞任を表明した。持病悪化が背景にある。日経平均株価が急落し、リスク回避の円高となっており、後継者の行方と今後の景気見通しも確認したい。
南シナ海で米中の対立が激化した。中国は26日朝、南シナ海に向けて中距離弾道ミサイル4発の発射実験を行った。中国は25日に軍事演習区域を米軍偵察機が飛行したことに対して「あからさまな挑発行為だ」と非難している。トランプ米政権は26日、中国企業24社を南シナ海での軍事拠点建設に関わったとして、「エンティティー・リスト」に追加すると発表した。米国務省も、南シナ海の埋め立てや軍事拠点化などに関与した中国人と家族に対して、入国拒否などのビザ(査証)制限を実施すると発表した。米国は中国に対して強硬姿勢を取り、台湾との関係を強化しており、今後の対立の行方を確認したい。
プラチナは900ドル付近で下げ止まる
ニューヨーク・プラチナ期近10月限はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演でインフレ容認が示されたことを受けて19日以来の高値960.0ドルを付けたのち、米国債の利回り上昇によるドル高を受けて上げ一服となった。低金利の長期化見通しが示されており、ドル安が再開すると、プラチナは金主導で上値を試す可能性が出てくる。ニューヨークの指定倉庫在庫が増加し、実需筋の戻り売りが出ていることが上値を抑える要因だが、28日の上海プラチナの出来高が1,046枚に急増し、中国勢の押し目買いが入ったことが支援要因である。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、26日のロンドンで18.65トン(前週末18.67トン)、28日のニューヨークで36.48トン(同35.02トン)、27日の南アで19.30トン(同19.30トン)となった。底堅い値動きとなるなか、ニューヨークで投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、8月25日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万9,913枚となり、前週の2万1,812枚から縮小した。手じまい売り・新規売りが出た。
ニューヨーク金は調整継続も1,900ドル台で底堅い
ニューヨーク金12月限は調整局面を継続したが、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演でインフレ容認が示されたことを受けて19日以来の高値1,987.0ドルを付ける場面も見られ、底堅い値動きとなった。低金利の長期化見通しを受けてドルの戻りが売られており、ドル安が再開するかどうかが当面の焦点である。18日の戻り高値2,024.6ドルを突破すればテクニカル面で改善し、再び上値を試す可能性が出てくる。今週は8月の米雇用統計の発表がある。
8月31日からの週の注目ポイント
31日 | 英国休場 | ☆ |
鉱工業生産指数(7月速報) | ☆☆ | |
小売業販売額(7月速報) | ☆ | |
中国製造業購買担当者景況指数(8月) | ☆☆ | |
独消費者物価指数(8月速報) | ☆☆ | |
1日 | 失業率(7月) | ☆☆☆ |
オーストラリア準備銀行政策金利発表 | ☆☆☆ | |
中国財新製造業購買担当者景況指数(8月) | ☆☆ | |
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(8月確報) | ☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(8月速報) | ☆☆☆ | |
ユーロ圏雇用統計(7月) | ☆☆ | |
米ISM製造業景況指数(8月) | ☆☆☆ | |
2日 | ユーロ圏生産者物価指数(7月) | ☆☆ |
ADP全米雇用報告(8月) | ☆☆☆ | |
米製造業新規受注(7月) | ☆☆ | |
米地区連銀経済報告(ベージュブック) | ☆☆ | |
3日 | 中国財新サービス業購買担当者景況指数(8月) | ☆☆ |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(8月確報) | ☆☆ | |
ユーロ圏小売売上高(7月) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米貿易収支(7月) | ☆☆ | |
米ISM非製造業景況指数(8月) | ☆☆☆ | |
4日 | 独製造業受注(7月) | ☆☆ |
米雇用統計(8月) | ☆☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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