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2024-03-28 23:07:48

金は米FRBの利上げ前倒しの見方が圧迫

2021/9/27
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金は中国恒大集団の行方も焦点

9月20日の週のニューヨーク金市場は、中国の不動産開発大手である恒大集団のデフォルト(債務不履行)懸念が支援要因になる場面も見られたが、米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ前倒しの見方が示されたことを受けて戻りを売られた。中心限月となる12月限は8月11日以来の安値1,737.5ドルを付けた。米FOMCでフェデラルファンド(FF)金利の目標誘導レンジを0〜0.25%に維持することを決定した。米FOMC声明では、パンデミックによって最も悪影響を受けた業種はここ数カ月で改善したが、新型コロナウイルスの感染者増加により回復が遅れている、とされた。一方、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は11月に量的緩和の縮小(テーパリング)を開始し得るとしたほか、2022年半ばまでに完了する可能性があるとの見方を示した。またFOMCメンバーの政策金利見通しの分布(ドットチャート)では18人の政策担当者のうち9人が、インフレへの対応で2022年に利上げが必要になると表明した。これまでは2023年の利上げが予想されていた。金は米FRBのテーパリング開始見通しや利上げ前倒しの見方が中長期の圧迫要因になるとみられる。今後発表される経済指標で今回の見通しが正当化されるかどうかを確認したい。

中国恒大集団の社債の利払いを控え、デフォルト(債務不履行)に対する懸念が高まった。ただ同社が23日の利払いを実施すると発表し、デフォルト懸念は後退した。中国人民銀行が短期資金供給を増やしたことも、リスク回避の動きが一服する要因となった。中国の金融規制当局は、同社に対して建設中の物件を完成させることや個人投資家への債務を返済することに集中的に取り組むなど、幅広い指示を発したが、政府による救済の可能性は乏しいとみられている。同社の利払いは30日の猶予期間に入るなか、投資家と交渉していると伝えられており、今後の行方を確認したい。ただ現時点では金融市場や信用市場にストレスがかかっている兆候はほぼ見られず、危機が中国以外に波及する可能性は低いとの見方が強い。

金の独自材料では、世界最大の資産運用会社である米ブラックロックが、実質金利が正常化するとの期待から金のポジションをほぼ解消したことが明らかとなった。ポートフォリオ・マネジャーを務めるラス・ケステリッチ氏は、「14カ月前はかなり大量の金のポジションを保有していたが、今はほぼゼロまで減らした」と述べた。インフレ調整後の米国債利回りの上昇期待は、株式相場のヘッジ手段として金がもはや機能しないという見通しを示唆しているとした。金ETF(上場投信)残高が減少しており、引き続き売られると、圧迫要因になるとみられる。

9月24日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比8.14トン減の993.52トンとなった。米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ前倒しの見方が示され、投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、9月21日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは18万7,647枚となり、前週の20万7,760枚から縮小した。今回は手じまい売りが1万0,318枚、新規売りが9,795枚出て2万0,113枚買い越し幅を縮小した。

プラチナはリスク回避一服で急反発

ニューヨーク・プラチナ10月限は、中国の不動産部門に対する懸念からリスク回避の動きを受けて急落し、2020年11月以来の安値892.6ドルを付けたのち、中国恒大集団の利払い発表をきっかけに急反発した。ただ8月以降のもみ合い圏でやれやれの売りが出ると、上げ一服となった。ニューヨーク市場で大口投機家が売り越しに転じ、売られ過ぎ感が出たが、リスク回避の動きが一服したことをきっかけに買い戻し主導で急反発した。ただ中国恒大集団のデフォルト(債務不履行)に対する懸念は残っており、今後の行方を確認したい。

プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、23日のロンドンで19.26トン(前週末19.21トン)、ニューヨークで38.42トン(同38.42トン)、南アで14.18トン(同14.18トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、9月21日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の取組は1,218枚買い越しと前週の1,067枚売り越しから途転買い越しとなった。

ニューヨーク金は米FRBの利上げ前倒しの見方が圧迫

ニューヨーク金12月限は中国恒大集団のデフォルト(債務不履行)懸念を受けて押し目を買われる場面も見られたが、米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ前倒しの見方が示されたことを受けて戻りを売られ、8月11日以来の安値1,737.5ドルを付けた。量的緩和の縮小(テーパリング)開始が11月の米FOMCで決定される可能性が示されたことも下げ要因になった。金ETF(上場投信)から投資資金が流出しており、中長期の圧迫要因になるとみられる。一方、中国恒大集団が利払い実施を発表したが、猶予期間に入っており、今後の行方も焦点である。

9月27日からの週の注目ポイント

27日 米耐久財受注(8月) ☆☆
28日 日銀金融政策決定会合議事要旨 ☆☆☆
米S&Pケース・シラー住宅価格指数(7月) ☆☆
米消費者信頼感指数(9月) ☆☆
29日 米中古住宅販売仮契約指数(8月) ☆☆
30日 鉱工業生産指数(8月速報) ☆☆
中国製造業購買担当者景況指数(9月) ☆☆
中国財新製造業購買担当者景況指数(9月) ☆☆
英国内総生産(4-6月期確報値) ☆☆☆
ユーロ圏雇用統計(8月) ☆☆
独消費者物価指数(9月速報) ☆☆
米国内総生産(4-6月期確報値) ☆☆☆
米新規失業保険申請件数 ☆☆
シカゴ購買部協会景気指数(9月) ☆☆
1日 中国・香港休場
失業率(8月) ☆☆
日銀短観 概要及び要旨(9月調査) ☆☆☆
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(9月確報) ☆☆
ユーロ圏消費者物価指数(9月速報) ☆☆
米個人所得・支出(8月) ☆☆
米ISM製造業景況指数(9月) ☆☆
米ミシガン大消費者信頼感指数(9月確報値) ☆☆

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

<参照>SBI証券>マーケットデータより

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