日本株の好調が続いています。しかしながら、この上昇相場で個人投資家は「押し目待ちに押し目なし」の相場展開で売り越しが続いているのが現状です。そこで今回は、公的マネーである「5頭のクジラ」が狙う出遅れ修正期待銘柄をご紹介いたします。
年初からの上昇相場 個人はずっと売り越し |
東京株式市場が堅調です。図1は日経平均株価の日足チャートですが、15年ぶりの高値更新で2万円近辺の推移となっています。
この上昇相場を牽引しているのは、(2)で後述する公的マネーと外国人投資家です。逆にずっと売り越しているのが個人投資家です。図2は、東京証券取引所が発表する投資主体別売買動向(個人)です。年初の下落局面こそ、新年度(2015年度枠)入りした少額投資非課税制度(NISA)の買いなどで買い越しましたが、1月の下旬以降はずっと売り越しとなっていることがお分かりいただけます。
日経平均株価は、年初から大きく値上がりしていますが、大多数の個人投資家は「押し目待ちに押し目なし」の相場展開であるため、利食い先行の売り越しで上手く上昇相場に乗れてない状況のようです。
図1:日経平均株価 日足チャート
- ※データは2015年3月23日時点。
図2:個人投資家売買動向と日経平均株価
- ※各種データよりSBI証券作成。データは2015年3月13日時点。
株式市場を動かす5頭のクジラとは? |
現在、東京株式市場には、株式市場を大きく動かすことの出来る「5頭のクジラ」がいると言われています。これは、いわゆる公的マネーです。
昨年から活発に動いているのは、世界最大の機関投資家である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)です。株式の組入れ目標が25%となったために積極的に株式投資を増やしています。また、今年の秋にGPIFへの運用一元化を控えている地方公務員共済組合など3つの共済年金も、GPIFのコバンザメのように株式投資に積極的です。
今後これに続きそうなのが、かんぽ生命保険とゆうちょ銀行です。今秋の株式上場を計画しており、運用収益を高めるために国債に偏重した運用を株式投資に少し移す計画があるとの報道もあります。
そして忘れてはならないのは、年間3兆円のETF(上場投信)を購入する日本銀行です。
それでは、「5頭のクジラ」の来年度の想定買い余力を、各種報道資料から推定してみましょう。
GPIFは、資産規模が約137兆円で、来年度に5.2%日本株の比率をUPさせると想定すると、137兆円×5.2%=7.1兆円。
3共済は、資産規模が約30兆円で、 来年度に10%日本株の比率をUPさせると想定すると、30兆円×10%=3兆円。
日銀は、毎年3兆円のETF購入が発表されているので、3兆円。
かんぽ生命、ゆうちょ銀行は、組入れ目標が発表されていないので、想定は非常に難しいのですが、例えば来年度にGPIFの組入れ目標25%の1割の2.5%日本株比率をUPさせると想定すると、
かんぽ生命は、資産規模が約83兆円なので、 83兆円×2.5%=2.1兆円
ゆうちょ銀行は、資産規模が約205兆円なので、205兆円×2.5%=5.1兆円
合計で20.3兆円の買い余力と想定できます。組入れ目標が明らかなGPIF、3共済、日銀だけでも、13.1兆円の買い余力があります。
図3は、これら5頭のクジラの来年度想定買い余力のグラフです。
3月12日付けの日本経済新聞では、5頭のクジラの想定買い余力が合計で27.2兆円と推定した表が掲載されていました。
株価が上がれば、日本株比率は購入しなくても高まり、円高になっても外貨資産の目減りで日本株比率は向上するなど不確定要素が多いので、あくまで想定にすぎませんが、最低でも来年度は10兆円以上の日本株の買い余力があると考えても良さそうです。
図3:5頭のクジラの想定買い余力
- ※各種各種報道資料等よりSBI証券作成。
「5頭のクジラ」の買いが期待できる!?出遅れ修正期待銘柄はコレ!? |
今回は、「5頭のクジラ」の買いに期待が持てそうな銘柄の中から出遅れている銘柄への投資戦略を考えてみました。「5頭のクジラ」が好む銘柄は、流動性やROE(株主資本利益率)が高く、高収益な企業です。「時価総額、ROE、営業利益」の3つの指標での定量的評価と、「独立した社外取締役の選任」などの定性的評価で選定した400銘柄で構成されるJPX日経インデックス400の構成銘柄こそ、「5頭のクジラ」が好みそうな銘柄でしょう。実際にJPX日経インデックス400は、GPIFのモデルポートフォリオの1つに選定されています。
そこで、JPX日経インデックス400構成銘柄の中から出遅れ株を探すために、戻り率ランキングを作成してみました。
表1は、JPX日経インデックス400構成銘柄のうち、昨年2014年に付けた52週高値と、その後の安値の値幅に対して、3月23日現在の株価の戻り率が低い10銘柄です。銘柄名の横に(※)が付いている銘柄は、最低投資金額20万円以下で購入可能な、いずれも「5頭のクジラ」の買いが期待出来そうな出遅れ銘柄です。(3月23日現在)
是非、この10銘柄の中から探し出してみてはいかがでしょうか。
表1:「5頭のクジラ」の買いが期待される出遅れ銘柄
取引 | チャート | コード | 銘柄名 | 高値日付 | 高値 | 安値日付 | 安値 | 3/23 終値 |
戻り率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
3765 | ガンホー・オンライン・エンターテイメント(※) | 2014/6/10 | 770 | 2015/2/4 | 393 | 416 | 6.1% | ||
8508 | J トラスト(※) | 2014/6/26 | 1,615 | 2015/2/3 | 944 | 1,015 | 10.6% | ||
1721 | コムシスホールディングス(※) | 2014/8/27 | 2,050 | 2015/3/13 | 1,424 | 1,494 | 11.2% | ||
1963 | 日揮 | 2014/4/3 | 3,696 | 2015/1/14 | 2,286 | 2,476 | 13.5% | ||
9984 | ソフトバンク | 2014/9/19 | 8,760 | 2014/10/16 | 6,780 | 7,066 | 14.4% | ||
8515 | アイフル(※) | 2014/7/2 | 705 | 2014/10/17 | 351 | 421 | 19.8% | ||
7832 | バンダイナムコホールディングス | 2014/8/6 | 3,175 | 2015/2/16 | 2,113 | 2,324 | 19.9% | ||
1722 | ミサワホーム(※) | 2014/4/3 | 1,403 | 2014/12/17 | 994 | 1,080 | 21.0% | ||
3632 | グリー(※) | 2014/3/28 | 1,167 | 2015/2/6 | 661 | 775 | 22.5% | ||
8840 | 大京(※) | 2014/7/4 | 249 | 2015/2/5 | 166 | 186 | 24.1% |
- ※各種データよりSBI証券作成。データは2015年3月23日時点。
- ※JPX日経インデックス400構成銘柄のうち、2014年に付けた52週高値と、その後の安値の値幅に対し、3月23日現在の株価の戻り率が低い10銘柄。
- ※銘柄名の横に(※)が付いている銘柄は、最低投資金額20万円以下で購入可能(3月23日現在)。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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