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3Q(7-9月期)決算速報(現地10/18寄り前発表)
●決算発表当日の株価:166.01ドル(-0.35%)
●売上高:237.9億ドル(予想233.9億ドル)〇市場予想を上回った
●調整後EPS:2.55ドル(予想2.50ドル)〇市場予想を上回った
●2022/12期通期売上高見通し:従来予想の933〜943億ドルから930〜935億ドルへとレンジを狭めた(予想950.6億ドル)×市場予想を下回った
●2022/12期通期調整後EPS見通し:従来予想の10.0〜10.10ドルから10.02〜10.07ドルへとレンジを狭めた(予想10.06ドル)×中間値が市場予想を下回った
売上高、調整後EPSともに市場予想を上回りました。ただ通期の売上高見通しに関しましては会社はレンジを狭めました(予想を精緻化)。その結果市場予想を下回りましたが為替の逆風・不透明感の影響とみられ大きなネガティブ・インパクトとはならなかったようです
決算発表当日のチャート
決算のポイント
◆医薬品部門売上高132.1億ドル、前年同期比+2.6%、市場予想133億ドル、△市場予想とほぼ一致
●ダーザレックス:20.52億ドル、前年同期比39%増、市場予想19.8億ドル、〇市場予想を上回った
●アーリーダ:4.90億ドル、前年同期比51%増、市場予想4.74億ドル、〇市場予想を上回った
●トレムフィア :7.29億ドル、市場予想6.72億ドル、〇市場予想を大きく上回った
●ステラーラ:24.5億ドル、市場予想26億ドル、×市場予想を下回った
●イムブルビカ:9.11億ドル、前年同期比7.2%減、市場予想9.759億ドル、×市場予想を下回った
●研究開発費34.8億ドル、市場予想34.2億ドル
◆コンシューマーヘルスケア部門売上高38.0億ドル、前年同期比-0.4%、市場予想36.9億ドル、〇市場予想を上回った
◆医療機器(メド・テック)部門売上高67.8億ドル、前年同期比+2.1%、市場予想67.0億ドル、〇市場予想を上回った
●コロナ禍からの回復により手術件数などが伸び売上高の拡大に貢献した
◆20億ドルの自社株買いを実施、計画の約4割を達成
■23年はインフレ圧力は弱まると見込むが、22年のコスト上昇と在庫の増加が重しとなろう
■23年、為替の不透明感から調整後EPSは0.40〜0.45ドルの影響を受けよう。会社予想中間値は10.05ドル、市場予想10.06ドル
経営陣の主なコメント
●3Qの売上高は 238 億ドルで前年同期比1.9% 増。為替の影響を除いた営業売上高の伸びは8.1%増だった。(為替が 6.2 %の逆風)
●医薬品部門のグローバル売上高は 132 億ドルで2.6% 増。為替の影響を除くと 9% 増、特に米国外では16.7% 増だった
●特にダーザレックス、トレムフィア、ステラーラおよびアーリーダが好調で売上高2 桁成長を実現、事業をけん引しました
●オンコロジー(主としてガン治療分野)ではダーザレックスが前年同期比39%増、アーリーダが同51%増と強力な成長をしめした
●イムブルビカ(抗悪性腫瘍薬)は競争圧力が高まり前年同期比7.2%減だったが、依然、世界のリーダーとしての地位は確保していよう
●膀胱がん治療・多発性骨髄腫などに用いられるCarvyktiの開発は初期段階であるが順調であり50億ドル超の大型商品となる可能性を信じている
●コンシューマーヘルス部門「ケンビュー」のスピンオフ計画を前進させた、22年後半または23年初頭には具体的計画を発表できよう
●新会社ケンビューのスピンオフは計画通りにすすんでおり、23年央ないしは末には完了を見込む
決算を受けたマーケットの反応
●売上高、調整後EPSともに市場予想を上回りました。ただ通期の売上高見通しに関しましては会社はレンジを狭めました(予想を精緻化)。その結果市場予想を下回りましたが為替の逆風・不透明感の影響とみられ大きなネガティブ・インパクトとはならなかったようです
●インフレ圧力によるコスト増加、コンシューマー部門の個人消費後退の影響やドル高の悪影響などのマイナス要因はあるものの、好調な医薬品部門や医療機器(メド・テック)部門が伸び相殺。株価はほぼ変わらずとなりました。安定的な経営力に加えて、オンコロジー(がん治療分野)分野で大型薬品への期待も感じさせる内容から株価の出直りの期待も高まりそうです
Bloombergがまとめたアナリストの目標株価平均:184.79ドル(10/18時点)