4Q(10-12月期)決算速報(現地1/27寄り前発表)
●決算発表当日の株価:179.45ドル(-4.44%)
●売上高:564.7億ドル(予想537.6億ドル)〇市場予想を上回った
●調整後EPS:4.09ドル(予想4.27ドル)×市場予想を下回った
決算発表当日のチャート
決算のポイント
●フリーキャッシュフロー:87.0億ドル(予想86.3億ドル)〇市場予想を上回った
●上流部門利益:54.9億ドル、前年同期比+6.4%、(予想71.7億ドル)×市場予想を大きく下回った
●下流部門利益:17.7億ドル、前年同期7.60億ドル、(予想17.8億ドル)△市場予想とほぼ一致した
●液化製品正味生産量:1,747(千バレル/日)、前年同期比-4.4%(予想1,761千バレル/日)×市場予想を下回った
●天然ガス正味生産量:7,588(百万立法フィート/日)、前年同期比-1.9%(予想7,583百万立法フィート/日)△市場予想とほぼ一致した
●2022年の自社株買い総額は113億ドル(約1.47兆円)だった
●2/28、8:30(米国東部時間)よりインベスター・デイを開催予定。記録的一年だった2022年を振返り、今期の事業戦略、収益拡大と低炭素化を展望する
経営陣の主なコメント
●シェブロンの2022年は素晴らしい一年だった。記録的な財務実績を達成。エネルギー事業での成功と低炭素ビジネスを推進した
●フリーキャッシュフローは2021年の過去最高を150億ドル以上上回った、大幅な増配を達成し発行済み株式の約4%を買い戻した
●米国内生産は好調で過去最高を更新、二桁成長はパーミアン盆地の生産増が牽引した
●ROCE(使用資本利益率)は20%を超え、資本効率への取組みが成果を上げていることを示唆していよう
●新しいエネルギー事業の構築において重要な一歩を踏み出した。22年に買収したリニューアブル・エナジーの人員及び資産を当社に統合、両社の技術・商業分野の最適解を導こう
●1/25にシェブロンの取締役会は新たに 750 億ドル(約9.8兆円)の自社株買いプログラムを承認した、当社は自社株買いを通じて積極的に株主還元に努めている
●新たな自社株買いプログラムは過去の戦略を踏襲している。原油など商品市況を睨みつつ安定的に運用する。設備投資(Capex)と配当金、バランスシートを考慮すると1 バレル約 50 ドルのブレント価格が均衡点と認識し、その価格を上回れば株主還元に、より積極的に取り組めよう
●2023 年は 36 年連続の増配を継続すると見込む
決算を受けたマーケットの反応
売上高は市場予想を上回ったが、調整後EPSは市場予想を下回った。前日は750億ドルの自社株買い発表を受け株価4.9%の大幅高だったが、決算発表を受け4.4%安と上昇分をほぼ吐き出した
経営陣は22年通年の好業績と株主還元の厚さをアピール。ただ巨額の株主還元はホワイトハウスから「消費者軽視、株主偏重」との批判や、業績軟化をかわす「煙幕」と指摘するアナリストもおり、経営陣の目論見どおりとはなっていない様子。WTI原油価格もウクライナ侵攻後の高値130ドルから足元では80ドルまで下落。同社の業績も足元好調とは言え原油価格軟化の影響や、インフレによる製品産出コスト増、報酬増などが覆い被さり、ピーク感も漂う。自社株買いも期限は設定しておらず、玉虫色の決算発表から株価見通しも強弱感が対立している
Bloombergがまとめたアナリストの目標株価平均:192.77ドル(投資格付け:買い14社、中立12社、売り3社)(1/27時点)