4Q(10-12月期)決算速報(現地2/23寄り前発表)
●決算発表当日の株価:147.57ドル(-6.70%)
●売上高:50.8億ドル(予想50.0億ドル)〇市場予想を上回った
●うちCovid-19ワクチン売上高:48.6億ドル(予想48.5億ドル)△市場予想とほぼ一致した
●調整後EPS:3.61ドル(予想4.67ドル)×市場予想を大きく下回った
●営業費用合計:35.0億ドル(予想18.9億ドル)×市場予想より大幅に増加した
●現金同等物:32.2億ドル(予想47.6億ドル)×市場予想より大幅に減少した
●2023/12期通期資本的支出(CAPEX)見通し:10億ドル、前年は5億ドル
●2023/12期通期GAAP研究開発費および販売・一般管理費見通し:約60億ドル、前年は約40億ドル
売上高こそ市場予想を上回りましたが、利益が市場予想を下回ったこと、経費が増加していることや現金同等物の減少などを嫌気して株価は下落、200日移動平均を割り込みました
決算発表当日のチャート
決算のポイント
●4つのワクチンがフェーズ3段階にある(COVIDブースター、インフルエンザ、RSウイルス(季節性呼吸器ウイルス)、CMV(サイトメガロウイルス))
●9つのワクチンがフェーズ2段階にある(PCV, Zika, PA, VEGF-A,次世代型COVIDブースター)
●48のプログラムが開発中
●2023年のCOVIDワクチン契約済み売上高見通しは50億ドルで据え置き
●23年のCOVIDワクチンはEU、日本、オーストラリア、アジア・南米で追加売上の可能性あり
●23年の米国におけるCOVIDワクチン接種(民間ベース)は1億回を見込む
●自社株買いは2,300万株、約33 億ドルを株主に還元した
経営陣の主なコメント
●RSV(季節性呼吸器ウイルス)ワクチンはフェーズ 1 の開始から24 か月でフェーズ 3に移行。主要な有効性エンドポイントを達成した
●最高デジタル責任者のマルチェロ・ダミアーニが退職。在職期間は7年だった
●営業戦略・企業向けビジネスを統括するフアン・アンドレスが5月に退職予定。2017年にノバルティスから当社に入社、製造プログラム全体を率いた
●現在、フェーズ2段階であるメルクと共同開発するmRNA-4157(がんワクチン)はキートルーダに追加して使用すると死亡リスクが44%低下することが示された
●mRNA-4157はFDAから*ブレークスルー・セラピーの認定を受けた。メラノーマ(いわゆる皮膚がん)から治験を開始し今後は非小細胞肺がんに移行
*米FDAが定める革新的な治療薬の開発・審査の促進を目的にした制度
決算を受けたマーケットの反応
売上高こそ市場予想を上回りましたが、利益が市場予想を下回ったこと、経費が増加していることや現金同等物の減少などを嫌気して株価は下落、200日移動平均を割り込みました
会社は23年のコロナワクチン契約済み売上高見通しを50億ドルで据え置き、EUや日本で拡大する可能性を示唆しました。しかしコロナウイルスが特別かつ危険なウイルスから「通常の風邪」に社会の認知が変化するなか、投資家は売上高の減少リスクを織り込みつつあるようです。加えて経費の大幅増加、研究開発費による経営の圧迫、現金の減少などが目に見えて進行しました。新薬などのパイプラインはすぐに進捗するものではありませんが、赤字転落などのリスクもあり株価的には正念場と言えるかもしれません
Bloombergがまとめたアナリストの目標株価平均:213.80ドル(2/23時点)