5年に一度の中国共産党党大会を10/18(水)に控え、中国では経済政策への期待が高まりやすい時期を迎えます。史上最高値の更新が続いたグローバル株式には高値警戒感が生まれやすいと見られる中、株価が出遅れており、また、グローバル市場との連動性が低い中国本土株は上昇を続ける可能性が注目できるでしょう。
図表1:中国本土株式に投資するETF(上場投資信託)
取引 | チャート | コード | 銘柄 |
---|---|---|---|
FXI | iシェアーズ 中国大型株 ETF(FXI) | ||
02823 | iシェアーズ FTSE A50(02823) | ||
02801 | iシェアーズ MSCIチャイナ(02801) | ||
02827 | WISE CSI300China(02827) | ||
CHAU | DirexionデイリーCSI300中国A株ブル2倍ETF(CHAU) |
※SBI証券が作成
グローバル株式市場の上昇に対して出遅れが目立っている中国本土株に、ここ数ヵ月動意が見られます。
図表2は、グローバル株式市場を代表するS&P500指数と中国本土株を代表する上海総合指数、香港ハンセン指数の値動きを16年初を基準に比較しています。
香港ハンセン指数は、大勢としてS&P500指数に連動しているのに対し、上海総合指数はかなり出遅れており、また、S&P500指数が上がるときに下がったり(17年4月〜5月)、S&P500指数が下がるときに上がったりと(16年9月〜10月)、独自のリズムで動く局面があるとわかります。
このところグローバル株式市場は史上最高値を更新し続けてきましたが(例えば、バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)の値動きをご覧ください)、予想PERが高水準に達している米国市場を中心に高値警戒感もあるようです。このような局面で、仮にグローバル株式が上昇一服となっても、中国本土株が上昇を続ける可能性に注目できるでしょう。
今ご説明した値動きの独自性だけでなく、現在、中国本土株が注目される理由として以下があげられます。
【1】来週の党大会から経済政策への期待が高まりやすい時期に入る
【2】足もとの中国経済は市場予想以上に堅調に推移している
【3】MSCIが中国A株の組入れを決定して中長期に好需給が期待される
【1】については、10/11(水)に開幕した「中国共産党第18期中央委員会第7回全体会議(7中全会)」に続いて、10/18(水)から5年に一度の「中国共産党第19回全国代表大会(中共党大会)」が開催予定で、中国の政治において非常に重要な季節に差し掛かっています(図表3)。
中共党大会では習近平総書記(国家主席)が権力基盤を強化した上で二期目に入る見通しで、経済政策への期待も高まっているようです。党大会で発表される方針を受けて、12月の「中央経済工作会議」で具体案が検討され、来年3月の「全人代」に向けて具体化していくと見込まれ、政策への期待が高まりやすい時期になります。
【2】については、図表4に示した企業景況感は製造業、非製造業とも好不況の境目となる50を上回って堅調で、製造業についてはここ数ヵ月上昇が目立っています。また、ハードデータ(実数を集計した経済データ)でも、鉱工業生産は前年比6%増、小売売上高は同10%増、固定資産投資は同7%増と堅調に推移しています。
昨年来中国経済の急減速が金融市場の一つの懸念となってきたと見られますが、これが実現することなく推移しているため、見直し買いが入りやすいと考えられます。
【3】については、株価指数データを提供するMSCIが2兆ドル(約220兆円)の資金がベンチマークとする「MSCI新興国指数」に中国A株を組み入れることを決定しました。18年6月から指数への組入れが始まります。当初の組入れ率(Inclusion Factor)は5%に過ぎませんが、市場アクセスの改善とともに同率は引き上げられると目され、中長期に中国本土株の需給を支えると期待されます。
上海総合指数採用企業のEPSは、17年12月期が前年比26%増、18年12月期が同13%増と好調が予想されています。これに対応する予想PERは17年12月期予想基準で14.8倍と、割安感があると言えるでしょう。
チャート面でも、上海総合指数は16年11月および17年4月に高値を付けた3,300ポイント近傍を上抜けてきたことから、一段高となる期待が高まりそうです。
これまで世界の株式市場に出遅れとなってきた中国本土株の上昇が期待できるのではないでしょうか。
図表2:米国株に連動する香港ハンセン指数、大きく出遅れている上海総合指数
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
図表3:中国の主な政治日程
2017/10/11 |
中国共産党第18期中央委員会第7回全体会議(7中全会) |
---|---|
中国共産党中央委員会は、中国共産党の最高指導機関。7中全会は党大会前に招集される最後の会議。 |
|
2017/10/18 |
中国共産党第19回全国代表大会(中共党大会) |
5年に一度開催される中国共産党の最高機関。第二次習近平政権が成立する見通し。 |
|
12月中旬 |
中央経済工作会議 |
年に一度、中国共産党と政府(国務院)が合同で開催する経済関連で最高レベルの会議。 |
|
18年3月頃 |
全国人民代表大会(全人代) |
毎年3月頃に開催される、中華人民共和国の一院制議会。憲法上、国家の最高権力機関および立法機関として位置づけられている。 |
※各種報道をもとにSBI証券が作成
図表4:中国の企業景況感は改善基調
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成