米国企業の7-9月期決算発表が始まります。S&P500指数採用企業のEPSは前年同期比3%減と、4-6月期の同2%減に続き停滞が見込まれています。ただし、EPSの実額では15年1-3月期に、前年同期比では7-9月期に底入れとなる見通しです。15年10-12月期から16年にかけて順調な改善予想となっており、これが信頼に足るものであるかを占う上でも注目の決算となるでしょう。
今回は4-6月期から7-9月期にかけてEPSの増加率が加速すると予想されている銘柄をスクリーニングで抽出しました(図表1)。市場全体の業績が停滞するなか、増益していてかつその勢いが加速すると見込まれている銘柄に注目できるでしょう。
図表1:注目銘柄リスト
銘柄 | 株価(10/6) | 52週高値 | 52週安値 |
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フォードモーター(F) | 14.31ドル | 16.74ドル | 10.44ドル |
サウスウエスト エアラインズ(LUV) | 38.00ドル | 47.17ドル | 28.40ドル |
ウォルト ディズニー(DIS) | 103.77ドル | 122.08ドル | 78.54ドル |
フェイスブック(FB) | 92.80ドル | 99.24ドル | 70.32ドル |
ビザ(V) | 72.08ドル | 76.97ドル | 48.79ドル |
※ブルームバーグのデータをもとにSBI証券が作成
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決算発表シーズン到来!! |
米国企業の7-9月期決算発表シーズンを迎えます。6日(火)のペプシコ、ヤム ブランズ、8日(木)のアルコアを皮切りに、13日(火)の週から発表が本格化します。
S&P500指数採用企業のEPSは、ドル高や新興国経済の減速を受けて前年同期比3%減予想で、企業業績は停滞感の強い状態が続いています。
一方、図表2の通りEPSの実額では1-3月期に底入れして4-6月期、7-9月期と増加が見込まれています。前年同期比でも4-6月期の前年同期比2%減、7-9月期の同3%減で底入れが見込まれています。
ブルームバーグ集計によるコンセンサス予想によると、15年10-12月期から16年にかけて企業業績は順調な回復となることが見込まれています。この予想が信頼に足るものかどうかを占う上でも、注目の決算発表だと言えるでしょう。
今回は増益モメンタムが加速する企業に注目したいと思います。市場全体では、4-6月期から7-9月期にかけて増益率には大きな変化は見込まれていませんが、これが加速する企業については注目できるでしょう。
図表2:S&P500指数企業のEPS(白抜きは予想です)

- 注:予想はブルームバーグ集計によるコンセンサス予想です。
- ※ブルームバーグデータをもとにSBI証券が作成
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増益率の加速銘柄に注目!! |
企業の決算が発表されたときに、皆さんはどのようにして業績の良し悪しをチェックされているでしょうか?
多くの方が以下の2つを行っていると思います。企業のレポートを書く側でも、主にこれらについて報告しています。
(1)前年同期の利益との比較をチェックする
(2)事前の市場予想に対してどうだったかをチェックする
さらにひと手間かけて、前四半期の増益率から加速しているかどうかをチェックするのも投資に有用な情報が得られる場合が多いと思われます。
図表3のイメージ図をもとに説明しますと、ある企業の15年2Q(4-6月期)決算で、EPSの増加率が前年同期比5%増だったとします。これは、15年2Qの数字と14年の2Qの数字を比べて増加率を計算したものです。
一方、これから迎える15年3Q(7-9月期)決算で、15年3Qの数字と14年3Qの数字を比べて3Qの増益率が計算されます。3Qの増益率が2Qの増益率を上回っている場合に増益モメンタムが加速することになります。
このような形になっていると、企業の利益は増加基調にあり、その増加のペースも加速しているため、株価には一般的にポジティブな形と言えます。
決算で出てきた数字が市場予想通りであったとしても、業績の基調は強いと言うことができるでしょう。
図表3:増益率の加速とは?(イメージ図)

- ※資料等をもとにSBI証券が作成
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決算で注目の増益率加速銘柄はコレ!? |
S&P500指数の採用銘柄について、4-6月期から7-9月期にかけて増益率の加速が予想されている銘柄をスクリーニングによって抽出しました。
【スクリーニング条件】
1. S&P500指数採用銘柄で時価総額100億ドル以上
2. 4-6月期の前年同期比EPS増加率が10%以上
3. 7-9月期の前年同期比予想EPS増加率が4-6月期の実績EPS増加率以上
4. 過去3ヵ月間に通期の予想EPSが下方修正されていない
抽出された企業を増益率の変化の度合いによってランキングしたものが図表4です。この中から赤字でハイライトした5銘柄を注目銘柄としてご紹介しています。
「増益率の加速」上位の銘柄について、シグネット ジュエラーズは最近の「アメリカNOW! 今週の5銘柄」などでも取り上げているため、今回は選んでいません。その下のラムリサーチは、半導体製造装置の会社ですが、足元で半導体メモリーの設備投資減少が懸念されているため避けました。また、民主党大統領候補のクリントン氏が価格引き上げを批判した医薬品業界に関連する、ギリアド サイエンス、リジェネロン ファーマシューティカルズ、ラボラトリー コープ オブ アメリカも避けています。
以上を除いた銘柄から、増益率加速の状況や株価チャートなどを勘案して5銘柄を選びました。
図表4:増益率の加速が予想されている企業

- ※当社WEBサイトのデータをもとにSBI証券が作成
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注目銘柄のポイント |
銘柄名 | 株価 (10/6) |
14.31ドル | 予想PER (倍) |
8.3 | |
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ポイント |
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銘柄名 | 株価 (10/6) |
38.00ドル | 予想PER (倍) |
11.5 | |
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ポイント |
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銘柄名 | 株価 (10/6) |
103.77ドル | 予想PER (倍) |
20.5 | |
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ポイント |
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銘柄名 | 株価 (10/6) |
92.80ドル | 予想PER (倍) |
88.2 | |
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ポイント |
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銘柄名 | 株価 (10/6) |
72.08ドル | 予想PER (倍) |
27.9 | |
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ポイント |
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※注目銘柄(5銘柄)の株価週足チャートは、当社のチャートツールを用いて作成(2015/10/5時点)。
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ご参考 ダウ採用銘柄の7-9月期決算予想 |
今回のスクリーニングに使用したデータがダウ採用銘柄についてどうなっているか、ご参考にお示しします(図表5)。
ダウ採用銘柄にはグローバル企業が多く、足元の業績動向は冴えないものが多くなっています。4-6月期が増益で、かつ7-9月期に増益モメンタムの加速が予想されている企業は29社中(決算発表が終わっているナイキを除きます)、赤字でハイライトした5社にとどまります。また、4-6月期が減益であるものの、モメンタム改善が見込まれているものをオレンジ色でハイライトしています。業績の底入れという観点から、こちらも注目できるでしょう。
図表5:ダウ採用銘柄の7-9月期決算予想

- 注:10/2時点のブルームバーグ予想によります。
- ※ブルームバーグデータをもとにSBI証券が作成
※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。