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円高一服!?で改めて考える外国株式投資(1)

2016/05/25
投資調査部 榮 聡

年初からの急激かつ予想外の円高・ドル安進行で、外国株への投資を控えてきたという方も多いのではないでしょうか。しかし、その後の世界的な金融情勢の落ち着きと米国の利上げ期待の再度の高まりによって、継続的な円高進行は避けられそうな情勢です。外国株式投資を改めて考えてみる良い機会ではないでしょうか。

そこで今週・来週は、(1)「外国株式投資の魅力」、(2)「外国株式投資はなぜ必要か」の2回に分けて日本の投資家が外国株式投資を検討すべき理由について考えてみます。

外国株式投資の魅力

図1は2003年来のTOPIX(日本)とS&P500(米国)の推移を比較したものです。日本株も90年代にあった株価評価の割高感が解消したことで一方的に割り負けることはなくなり、2003年以降は世界の株式市場と趨勢としては同じような動きができるようになってきました。

しかし、ここ10年を振り返って見るとTOPIXがリーマンショック前の水準を未だ回復できずにいる一方で、リーマンショックの現場であった米国のS&P500はこれを大きく超えた水準にあり、彼我の差は依然として存在しているように見えます。

外国株式への投資は、日本株への投資と比べると企業情報が入手しにくい点や、為替リスクを伴う点など、不確実要素が多いことは事実です。しかしその一方で、過去においては特定の時期を除き一貫して日本株を上回るパフォーマンスを示しています。

では、このようなパフォーマンスの違いは、どこから生み出されたものなのでしょうか?外国株式投資ならではの魅力について、ご説明します!

図1  日米の株価指数の比較 (03年〜)
  • (BloombergデータよりSBI証券作成)
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  競争力が強く、売上の成長力が高い企業が多い!

図2は、アメリカと日本の売上高をそれぞれ合計して比較したものです。

日本の企業はリーマンショック前の売上水準をなかなか回復することができずにいましたが、昨年度になって6期ぶりに当時の売上高を更新することができました。それと比較すると、アメリカ企業の売上高の伸びが際立っている事を確認いただけるでしょう。日米の株価パフォーマンスの違いは、基本的には、このような業績の成長力の違いが背景にあると考えられます。

売上を伸ばす力が強い背景にはM&Aを駆使する傾向が強いこともあると見られますが、基本的にはグローバルにおける競争力が高い企業が多いことを示していると考えられます。

では、アメリカの企業が持っている競争力とは具体的には何を指すのでしょうか?

それは主に下のポイントに集約されるのではないでしょうか。

図2  日米の株価指数採用企業の売上比較 (03年=100とする)
  • (BloombergデータよりSBI証券作成)

1) 成長分野における基幹技術や規格をがっちりと押さえることで、高収益を挙げてきた。
(テクノロジー企業に多い。ネット検索のアルファベット(グーグル)や電子決済のビザマスターカード、かつてのパソコン業界におけるマイクロソフトインテルなどが代表例)


2) 強力なブランド力と効率的なビジネスモデルでグローバルにビジネスを展開した。
(外食、小売業界に多い。コカコーラマクドナルドスターバックスウォルマートなどが代表例)


3) 既存の技術を使いやすいビジネスにまとめあげてグローバルに普及させた。
(スマホ・タブレットを普及させたアップルや、ネット通販を普及させたアマゾン ドットコムなどが代表例)


4) 成長スピードの速い分野で新しいビジネスモデルを次々と展開し、短期間のうちに成功を収めた。
フェイスブックツイッターなどのSNS、バイオなどの業界におけるベンチャー企業などが代表例)

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  株主還元が手厚い企業が多い!

アメリカ企業は株主還元を重視していることが良く知られています。そして、株主還元が手厚い企業の中には、ただ単に配当利回りが高いだけではなく、株価の上昇も伴った高いリターンをもたらすものが多くみられるのが特徴です。

図3はアメリカ企業の配当金と自社株買いの総額を示していますが、リーマンショックで一時的に業績が悪化した時期を除くと、配当金と同程度またはそれ以上の金額を自社株買いに使っています。日本企業の株主還元姿勢は高まりつつありますが、15年の総還元利回り(配当利回り+自社株買い利回り)は、米国の5.8%に対して日本は3.0%にとどまっています。

自社株買いには、(1)自社の適正株価はもっと上にあるという経営陣の自信を示すアナウンス効果、(2)市場に流通する株式の1株あたり利益(EPS)を上昇させることによる株価押し上げ効果、などがあり、株価のサポート要因になると考えられています。

また、アメリカの企業には株主の声を意識する姿勢が浸透しているため、収益性や資本効率を重視し、不振事業の切り離しやリストラなどの決断を素早く下す傾向にあります。これが競争力の高さに繋がっていることは言うまでもないでしょう。

図3  米国企業の株主還元総額
  • (BloombergデータよりSBI証券作成)
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  新興国の成長メリットも享受できる!

図4-9は、当社で取り扱っている国々のうち6ヶ国の株価指数とGDP(前年比)の関係を示したものです。短期的な株価動向を予想することは困難なことではありますが、これらの図を見る限りでは、中長期的には株価の動向とGDPの成長率にはある程度の相関がありそうです。従って、今後も経済成長が期待できる国、特に新興国の経済成長メリットを享受するために、外国株式への投資を検討してみるのもよいかもしれません。もしどのように投資すればよいかわからない場合には、海外ETFを活用するのがオススメです!

図4  日本の株価指数とGDP成長率
図5  アメリカの株価指数とGDP成長率
図6  中国の株価指数とGDP成長率
図7  インドネシアの株価指数とGDP成長率
図8  マレーシアの株価指数とGDP成長率
図9  タイの株価指数とGDP成長率
  • (図4-9:  BloombergデータよりSBI証券作成)
  • ※上記実績は過去のものであり、将来の運用成果等を保証するものではありません。
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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