2016年も残り2ヵ月をきりましたが、S&P500指数は年初来で4.0%上昇と小動きです。ただ、個別銘柄、業種では大きく上がったもの下がったものも見られます。そこで今回は、年初来で株価が大きく動いた銘柄に注目できるものがないかを検討しています。大統領選挙を来週に控えて株式市場には不安定感も漂っていますが、トレンドが良い銘柄の買いチャンスになるかもしれません。株価騰落の上位リストから4銘柄、下位リストから1銘柄を選び、注目銘柄としてご紹介いたします。
図表1:注目銘柄リスト
銘柄 | 株価 (10/31) | 52週高値 | 52週安値 |
---|---|---|---|
エヌビディア(NVDA) | 71.16ドル | 72.95ドル | 24.75ドル |
アプライド マテリアルズ(AMAT) | 29.08ドル | 31.07ドル | 15.44ドル |
クアルコム(QCOM) | 68.72ドル | 71.62ドル | 42.24ドル |
マーチン マリエッタ マテリアルズ(MLM) | 185.38ドル | 206.36ドル | 108.31ドル |
ロイヤル カリビアン クルーズ(RCL) | 76.87ドル | 103.4ドル | 64.21ドル |
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
年初来騰落率上位・下位リストから有望銘柄を探る |
2016年も10ヵ月を過ぎ、あと2ヵ月となりましたが、市場平均のS&P500指数は年初以来4.0%の上昇となっています。年初の急落から年後半は概ね上昇基調となりましたが、年初来では小幅な動きにとどまっています。
一方、セクター間では勝ち組、負け組があり、個別銘柄では大幅な上昇、下落となったものがあります。そこで今回は年初来の株価騰落率上位・下位の銘柄を確認して、今後の有望銘柄を探ってみました。
図表2はS&P500指数採用で時価総額が100億ドル以上の392銘柄について、年初来の株価騰落率の上位、下位20銘柄をリストアップしています。
騰落率上位のリストでは、半導体関連企業とエネルギーセクターの企業が多くランクインしています。
半導体関連については、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)、VR(仮想現実)など新技術の波を支える産業として今後は成長が高まることが期待されます。ただ、足元の半導体業界全体の売上は低調な状態が続いており、その中でここにランクインした銘柄は、個別に良い材料を持っているものが多いと言えます。
上昇率のトップはエヌビディアです。主力のゲーム機向けが好調なことに加え、自動車向け、データセンター向けなど同社が得意とするGPU(グラフィックプロセッサ)の用途の広がりから恩恵を受けています。半導体製造装置大手のアプライド マテリアルズは中国の半導体産業の立ち上がりから恩恵を受けています。クアルコムは中国のスマホメーカーとの関係正常化が株価の反発要因と考えられます。
エネルギーセクターは、原油価格が2月に一時30ドル割れまで急落しましたが、足元では40ドル台後半から50ドル台前半まで回復してきたことを受けての株価上昇です。独立系の石油開発企業、オイルサービス企業、パイプライン企業などで、30ドル台や30ドル割れが定着すると破産の可能性も懸念された企業が含まれ、そこからの回復のため株価上昇率も大きくなっています。
ただ、原油価格の上昇には一巡感もあります。価格が戻ったことで米国シェール事業者の生産が回復すると見込まれ、これ自体が原油価格のさらなる上昇を抑制する要因となるためです。尚、エネルギー最大手のエクソンモービルやシェブロンといった会社は、キャッシュフローが厚く配当利回りが株価の下支えとなって、原油価格が下落した際にも株価の落ち込みは小さく、原油価格の上昇に対する反応も限定的となっています。
一方、騰落率下位では、ヘルスケアセクターの銘柄が目立っています。同セクターは、昨年9月にクリントン氏が医薬品価格の引き上げを問題視していることが表面化して株価への打撃となり、今年8月にはマイランの急性アレルギー薬「エピペン」に対して値下げ要請が出たことで懸念が再燃しています。
株価は既に大きくアンダーパフォームしているものの、クリントン氏が大統領に当選した場合の影響が懸念されているようです。具体的な政策が見えてきた時点では見直し買いも期待できそうですが、目先はなかなか手を出しにくい状態と言えそうです。
注目銘柄として上位銘柄から、今後も株価の伸びが期待できると考えられる、半導体関連からGPU(グラフィックプロセッサ)のエヌビディア(NVDA)、半導体製造装置のアプライドマテリアルズ(AMAT)、スマホ向け半導体のクアルコム(QCOM)、米国のインフラ投資拡大で恩恵が期待される建設骨材のマーチン マリエッタ マテリアルズ(MLM)、下位銘柄からは業績改善から株価の反発が期待される、クルーズ船大手のロイヤルカリビアンクルーズ(RCL)をご紹介いたします。
図表2:年初来株価騰落率の上位・下位20銘柄
- 注:S&P500指数採用で時価総額が100億ドル以上の392銘柄について、年初来10月末までの株価騰落率の上位20銘柄、下位20銘柄をリストアップしています。
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
注目銘柄のご紹介 |
業種:半導体 |
|||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(億ドル) |
(前年比) |
純利益(億ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
17.1予 |
61.1 |
22% |
13.8 |
77% |
2.27 |
18.1予 |
65.4 |
7% |
13.5 |
-3% |
2.27 |
株価(10/31): 71.16ドル |
予想PER(18.1期): 31.3倍 |
||||
|
業種:半導体装置 |
|||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(億人民元) |
(前年比) |
純利益(億人民元) |
(前年比) |
EPS(人民元) |
16.10予 |
108 |
12% |
19.4 |
35% |
1.75 |
17.10予 |
123 |
13% |
24.3 |
25% |
2.25 |
株価(10/31): 29.08ドル |
予想PER(17.10期): 12.9倍 |
||||
|
業種: 半導体 |
|||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(億ドル) |
(前年比) |
純利益(億ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
16.9予 |
232 |
-8% |
64.3 |
2% |
4.30 |
17.9予 |
238 |
3% |
69.0 |
7% |
4.70 |
株価(10/31): 68.72ドル |
予想PER(17.9期): 14.6倍 |
||||
|
業種: 建設資材 |
|||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(億ドル) |
(前年比) |
純利益(億ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
16.12予 |
35.7 |
1% |
4.40 |
42% |
6.91 |
17.12予 |
40.1 |
12% |
5.79 |
32% |
9.28 |
株価(10/31): 185.38ドル |
予想PER(17.12期): 20.0倍 |
||||
|
業種: ホテル・リゾート・クルーズ |
|||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(億ドル) |
(前年比) |
純利益(億ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
16.12予 |
86.0 |
4% |
13.1 |
23% |
6.05 |
17.12予 |
87.3 |
2% |
14.5 |
11% |
6.80 |
株価(10/31): 76.87ドル |
予想PER(17.12期): 11.3倍 |
||||
|
- ※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。