米国の10-12月期決算は、増収・増益に転じた7-9月期から増収率、増益率ともさらに高まり、企業業績は順調に回復していることが確認されました。業種別では、金融、情報技術の利益モメンタムが良好で、注目できるでしょう。決算後のアナリストの予想EPSと目標株価の修正動向から、以下の注目銘柄を選んでご紹介いたします。
図表1:10-12月期決算の注目銘柄
銘柄 | 株価 (2/14) | 52週高値 | 52週安値 |
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アルファベット C(GOOG) | 820.45ドル | 841.95ドル | 663.28ドル |
フェイスブック A(FB) | 133.85ドル | 135.49ドル | 100.24ドル |
ビザ A(V) | 86.85ドル | 86.97ドル | 69.58ドル |
ハリバートン(HAL) | 56.05ドル | 58.78ドル | 29.26ドル |
ダウ ケミカル(DOW) | 61.72ドル | 61.85ドル | 45.99ドル |
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
業績の加速を確認した米国の10-12月期決算 |
米国企業の10-12月期決算は2/10(金)までにS&P500指数採用企業のうち、約7割にあたる357社が発表済みとなっています。米国株は連日の最高値更新と好調ですが、これを裏付けるものとなっているか確認してみましょう。
図表2は、S&P500指数採用企業の四半期売上およびEPSの前年同期比伸び率の推移です。
16年3Q(7-9月期)は数四半期ぶりに減収・減益から増収・増益に転じましたが、発表が続く16年4Q(10-12月期)はさらに伸び率が高まり、業績モメンタムは順調に回復していると言えるでしょう。
ドル高による売上・EPSの目減りの影響は残っていますが、原油価格の回復によるエネルギーセクターの改善(足を引っ張る度合の低下)や米国を含む世界的な景気改善が背景と見られます。
17年の1Q(1-3月期)は前年同期の16年1-3月期が落ち込んでいたこともあり、さらに伸び率は高くなる見込みです。その後、伸び率は高原状態となりますが、EPSの伸びは10%前後と堅調な推移が見込まれています。
さらに、ここにトランプ政権による経済政策の効果が加わります。
FactSet社の2/10付「Earnings Insight」によれば、2/8(水)までに決算発表したS&P500指数採用企業317社の決算説明会のトランスクリプト(口述記録)を分析したところ、52%にあたる165社が「トランプ」および「政権」に言及し、85社が「税制」、63社が「規制」、58社が「通商政策」について議論したとしています。
トランプ政権の政策が米国の企業業績に大きな影響を与えようとしていることが窺えます。17年12月期の予想EPSは現在130ポイントですが、トランプ大統領の政策が徐々に明らかとなる中で、今後どこまで上方修正されるか注目されます。
図表2:S&P500指数採用企業の四半期売上・EPSの推移
- 注:17年1Q(1-3月期)以降はBloomberg集計によるコンセンサス予想です。16年4Q(10-12月期)は357社の集計結果です。
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
業種では、「金融」、「情報技術」が注目できる |
企業全体で回復モメンタムが強まっていることが確認できましたが、業種では何が注目できるでしょうか?
業種別のEPS動向を事前予想からの乖離率、前年同期の増加率に分けて見たのが、図表3です。「金融」、「情報技術」が、プラス乖離が大きく、かつ、前年同期比の増加率も大きい業種として注目できるでしょう。さらに、この2業種についてサブセクターの動向まで確認したのが、図表4です。
「金融」は、長期金利が上昇に転じていることが収益にプラスで、サブセクターの「銀行」、「各種金融」(投資銀行など)、「保険」ともに好調です。特に「保険」の好調が目立ちますが、オールステート(ALL)、プログレッシブ コープ(PGR)など損害保険大手が損害率の低下で大幅に利益を伸ばしています。
「情報技術」では、フェイスブック(FB)、アルファベット(GOOG)などネットの高成長企業を含む「ソフトウェア・サービス」が好調を持続しているのに加え、「半導体・半導体製造装置」「テクノロジー・ハードウェアおよび機器」もシクリカルな回復局面を迎えていることから、全体が押し上げられています。
「半導体・半導体製造装置」の好調が目立っていますが、IoT、AI、VRなど半導体を多用する新技術が台頭しつつあり、引き続き注目できるでしょう。「テクノロジー・ハードウェアおよび機器」は、利益額が突出して大きいアップル(AAPL)が小幅増益であるために抑制されていますが、多くの銘柄がより高い増加率を記録しています。
その他の業種については、「一般消費財・サービス」の前年同期比減益が目立ちますが、サブセクターで「自動車」のフォード(F)、ゼネラル モーターズ(GM)の減益が影響しており、「小売」や「耐久財」などは増益が維持されています。
また、「資本財・サービス」も前年同期比マイナスですが、サブセクターで「運輸」に含まれる航空各社の大幅減益が影響しています。「資本財」については、前年同期比トントンまで改善しています。「公益事業」の大幅増益は、合併などの影響が大きく出ています。
図表3:業種別のEPS予想乖離率と前年同期比増加率
- 注:予想はBloomberg集計によるコンセンサス予想です。
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
図表4:「金融」と「情報技術」のサブセクターの状況
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
決算後のアナリストの反応から注目銘柄を選ぶ |
10-12月期決算を受けて個別で注目できる銘柄について、今回はアナリストの予想EPSおよび目標株価の修正動向に着目して検討しています。
【スクリーニング条件】
[1] 過去4週間の予想EPSの修正率が0.5%以上・・・アナリストによる予想EPS平均の過去4週間の修正率です。このタイミングですと、10-12月期決算を受けての修正が多いと見られます。
[2] 過去4週間の目標株価の修正率が1%以上・・・アナリストによる目標株価平均の過去4週間の修正率です。予想EPSの修正が目標株価の修正につながるケースばかりではないため、この条件を加えています。予想EPSの変化が将来にわたると判断される場合には、目標株価も上方修正されるケースが多いと考えられます。
米国の主要企業と言えるS&P100指数採用企業について以上の条件を満たす銘柄を、図表5に現在の株価と目標株価の乖離率が大きい順に並べています。上位の企業から当面の事業環境に不透明感が少ないと目される5銘柄を選んで、注目銘柄としてご紹介いたします
図表5:アナリストによる予想EPSと目標株価の修正に着目したスクリーニング結果(S&P100指数採用銘柄)
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
銘柄名 |
株価(2/13) |
819.24ドル |
予想PER(倍) |
19.7 |
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ポイント |
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銘柄名 |
株価(2/13) |
134.05ドル |
予想PER(倍) |
24.9 |
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ポイント |
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銘柄名 |
株価(2/13) |
86.44ドル |
予想PER(倍) |
26.0 |
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ポイント |
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銘柄名 |
株価(2/13) |
56.32ドル |
予想PER(倍) |
48.6 |
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ポイント |
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銘柄名 |
株価(2/13) |
61.56ドル |
予想PER(倍) |
15.1 |
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ポイント |
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- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。