世界の株式時価総額ランキング上位30銘柄のリストを作成し、16年9/30時点のランキングと比べてどのような変化があったか確認しました。中国のネット銘柄、米中の銀行、半導体関連、エネルギーなどのランクアップが目立っています。ランクアップが大きい銘柄の中から、注目銘柄をご紹介いたします。
図表1:注目銘柄リスト
銘柄 | 株価(11/28) | 52週高値 | 52週安値 |
---|---|---|---|
アリババグループ(BABA) | 186.69ドル | 191.75ドル | 86.01ドル |
バンク オブ アメリカ(BAC) | 27.64ドル | 27.98ドル | 20.25ドル |
サムスン電子 (005930) | 2,650,000ウォン | 2,876,000ウォン | 1,669,000ウォン |
ウォルマートストアーズ(WMT) | 96.77ドル | 100.13ドル | 65.28ドル |
ビザ(V) | 113.36ドル | 113.62ドル | 75.17ドル |
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
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世界の時価総額上位から考える外国株投資 |
外国株への投資を考えるにあたり、時価総額が大きい銘柄から選ぶというのも一つの考え方でしょう。
そこで今回は、世界の株式時価総額ランキングを作成し(図表2)、昨年10月3日に掲載した「「時価総額世界ランキング」から考える外国株式投資」に比べて、どのような変化があったかをチェックしています。
まず、国別の銘柄数ですが、米国が過半の18社を占め、欧州5社、中国5社、韓国1社、台湾1社となっています。昨年時点で29位にランクインしていたトヨタ自動車は番外となり、残念ながら日本企業はゼロとなってしまいました。これを見ると株式投資を日本株だけに限るのは不自然で、米国を中心に海外にも目を向ける必要があると改めて考えさせられるのではないでしょうか。
次に、上位5銘柄について見ると、順位に変化はありませんが、実は時価総額は過去1年2ヵ月で大幅に増加しています。アップル(AAPL)が62兆円→100兆円、アルファベット(GOOG)が55兆円→81兆円、マイクロソフト(MSFT)が45兆円→72兆円、アマゾン ドットコム(AMZN)が40兆円→64兆円、フェイスブック(FB)が37兆円→60兆円と、いずれも50%以上の増加という驚くべき結果となっています。
日本株のキャリアが長い方には、「大型株は株価が動かないからおもしろくない」と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、これを見るとそんなことはないとお分かりいただけるでしょう。
さらに、ランキングの変化について見てみましょう。表中16年9/30のランキングから3ランク以上アップした銘柄を赤字で、3ランク以上ダウンした銘柄を青字でハイライトしています。
【ランクアップした銘柄群】
〇中国のインターネット関連・・・テンセント(騰訊)(00700)、アリババグループ(BABA)
いずれの銘柄も市場予想を上回る成長を遂げたことを受けて株価は大幅に上昇してきました。17年7-9月期の増収率は、両社とも前年同期比61%増という高水準に達しています。
〇米中の大手銀行・・・JPモルガン チェース(JPM)、中国工商銀行(01398)、バンク オブ アメリカ(BAC)、中国建設銀行(00939)
米国の銀行は、トランプ大統領の誕生による政策期待から米国の長期金利が上昇したことに加え、リテール部門の増収や人件費削減による業績回復が株価上昇の要因と見られます。中国の銀行は、今年7月以降の堅調な経済指標を受けて中国経済への懸念が後退したことが、株価の上昇要因と見られます。
〇半導体関連・・・サムスン電子 (005930)、台湾セミコンダクター(取扱なし)、インテル(INTC)
半導体業界の売上は昨年半ばから前年比で増収に転じ、回復が続いています。スマートフォンでの搭載半導体の増加、ネット動画の普及によるデータセンターでのメモリーの需要増、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)など新しい技術による需要などが市場を牽引しています。通常の好不調の波を超えて成長する「スーパーサイクル」入りしている可能性が高まっており、引き続き好パフォーマンスが期待できると見られます。
〇エネルギー・・・ロイヤル・ダッチ・シェル(RDSB)、シェブロン(CVX)、ペトロチャイナ(00857)
OPEC(石油輸出国機構)が16年11月に協調減産に合意。原油価格の上昇を受けた業績の回復によって上昇しています。一方、エクソンモービルのランクダウンは、財務が強固で株価が配当利回りで支えられたため、原油価格回復による株価へのインパクトが限定的だったためと見られます。
その他個別では、ネットとリアルの融合によってアマゾンへの対抗措置強化が評価されているウォルマートストアーズ(WMT)、欧州法人の統合が順調に進むほか、シェア拡大が判明したビザ(V)のランクアップが目立っています。
【ランクダウンした銘柄群】
〇電気通信サービス・・・AT&T(T)、チャイナモバイル(00941)、ベライゾン コミュニケーションズ(VZ)
米国の長期金利が上昇したため、配当利回りの高さが注目されることの多いこのセクターには向かい風になったと見られます。また、米国ではデータ使い放題プランの広がりによる競争激化が業績を抑えました。
〇医薬品・バイオテクノロジー・・・ロシュ・ホールディング(取扱なし)、ファイザー(PFE)
このセクターも配当利回りが注目されるため、長期金利の上昇がマイナスに作用したと見られます。また、世界的に医薬品価格を抑制する動きにも影響を受けたと見られます。
個別で非常に大きなランクダウンとなったのが、ゼネラルエレクトリック(GE)です。同社の株価は昨年の30ドル台から18ドル台へ大きく値下がりしました。今年に入って業績の回復が市場の想定を下回って推移していましたが、主力事業の一つである電力部門が特に不振となり、四半期配当を半減させるとの発表が効きました。
ランクアップとなった銘柄から、最近の株価動向なども考慮して、アリババグループ(BABA)、バンク オブ アメリカ(BAC)、サムスン電子 (005930)、ウォルマートストアーズ(WMT)、ビザ A(V)を選んで、(3)で注目銘柄としてご紹介いたします。
図表2:世界の時価総額上位30銘柄

- 注:ブルームバーグワールドインデックスの構成銘柄(5,123銘柄)とアリババグループを対象としています。銘柄名の「*」は当社の取り扱いがないことを示します。2017/11/24時点のデータです。尚、16/10/3に掲載したランキングはアリババグループを除いたものですが、本レポートではアリババを含んだランキングを使っています。
- ※ブルームバーグデータよりSBI証券が作成
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業種別の時価総額上位銘柄 |
図表3は業種別の時価総額上位リストです。業種を絞って投資対象を検討する場合にご参考にしていただけるでしょう。
日本企業がランクインしているのは、「テクノロジー・ハードおよび機器」のキーエンス(6861)、「耐久消費財・アパレル」のソニー(6758)、「自動車・自動車部品」のトヨタ自動車(7203)、「商業・専門サービス」のリクルートホールディングス(6098)、「電気通信サービス」の日本電信電話(9432)、NTTドコモ(9437)に限られます。
その他の19業種では代表的な銘柄を保有しようとすると外国株に目を向ける必要があります。
図表3:業種別時価総額上位(24業種)

- 注:ブルームバーグワールドインデックスの構成銘柄(5,123銘柄)とアリババグループを対象としています。銘柄名の「*」は当社の取り扱いがないことを示します。2017/11/24時点のデータです。
- ※BloombergデータよりSBI証券が作成
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注目銘柄のご紹介 |
国/業種:中国/小売 | |||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(億人民元) |
(前年比) |
純利益(億人民元) |
(前年比) |
EPS(人民元) |
18.3予 |
2,448 |
55% |
858 |
112% |
33.60 |
19.3予 |
3,295 |
35% |
1,119 |
30% |
43.79 |
株価(11/27): 188.03ドル |
予想PER(18.3期):36.9倍 |
||||
|
国/業種:米国/銀行 | |||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(億ドル) |
(前年比) |
純利益(億ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
17.12予 |
891 |
6% |
198 |
16% |
1.82 |
18.12予 |
901 |
1% |
228 |
15% |
2.17 |
株価(11/27): 26.59ドル |
予想PER(18.12期):12.3倍 |
||||
|
国/業種:韓国/テクノロジー・ハードおよび機器 | |||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(10億ウォン) |
(前年比) |
純利益(10億ウォン) |
(前年比) |
EPS(ウォン) |
17.12予 |
241,195 |
19% |
41,664 |
124% |
297,121 |
18.12予 |
269,707 |
12% |
48,314 |
16% |
357,506 |
株価(11/27): 2,664,000ウォン |
予想PER(18.12期):7.5倍 |
||||
|
国/業種:米国/食品・生活必需品小売 | |||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(億ドル) |
(前年比) |
純利益(億ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
18.1予 |
4,985 |
3% |
133 |
-1% |
4.44 |
19.1予 |
5,120 |
3% |
137 |
3% |
4.69 |
株価(11/27): 96.62ドル |
予想PER(19.1期):20.6倍 |
||||
|
国/業種:米国/ソフトウェア・サービス | |||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(億ドル) |
(前年比) |
純利益(億ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
18.9予 |
201 |
10% |
95 |
15% |
4.07 |
19.9予 |
223 |
11% |
107 |
13% |
4.74 |
株価(11/27):112.38ドル |
予想PER(18.9期):27.6倍 |
||||
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- ※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。