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Instagram(インスタグラム)とは一味違う!?「デジタル・スクラップブック」のピンタレストが上場(4/18(木)予定)

2019/4/11
投資情報部 榮 聡

当社では上場初日4/18(木)から取扱いの予定です!!

〇IPOの注目点
(1)写真共有サイトの「Instagram」と一見似ているが、ユーザーの利用目的が異なっている。
(2)「Instagram」との違いが広告主にとって評価できるポイントが多い。
(3)同じSNSでも「Facebook」(サービスとしての)に比べて規制リスクが小さい。

図表1:IPOの概要

企業名(コード)

ピンタレスト(PINS)

上場市場

NYSE

公表日

19年3/22(金)

上場日(予定)

19年4/18(木)

公募価格(ドル)

15.0〜17.0ドル

募集・売出し株数(百万株)

75.0

公募規模(百万ドル)

1,275

時価総額概算(億ドル)

90.0

  • 注:公募規模は、「募集・売り出し株数×公募価格のレンジ上限」で計算しています。時価総額概算は「IPO後の発行済株式数(オーバーアロットメントを含まない)×公募価格レンジ上限」で計算しています。
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
  • ※SBI証券では米国株式のIPOの申込み等の受付は行っておりません。当社では上場後に取扱銘柄へ追加を予定しております。

〇企業概要
2008年に会長兼CEOのベン・シルバーマン(36歳)、チーフデザイン&クリエイティブオフィサーのエバン・シャープ(36歳)ほかが創業したネットサービス企業です。WEBサイト上の画像を集めてブックマークできるWEBサービスを提供しています。

〇事業内容
「ピンタレスト」のサービスは、ネット上のWEBサイトやピンタレスト上にある画像から、自分の興味があるものをボードに整理できる(ピン止めする)画像収集サービス(「デジタル・スクラップブック」)を提供しています。

ボードは、「好きな服」「行きたいところ」「絶景」など、自身でカテゴリーを作ることができます。集めた画像にはその画像を含むサイトもひも付けられるため、「ブックマーク(Visual Bookmarking Tool)」とも言えるサービスです。

具体的な使い方は、図表2のようになります。

(1)検索した画像や映像は「アイデア」(これを含むサイトの主題)を代表するものとして扱われ、「ピン」と呼ばれます。タップすることで情報を得られます。
(2)気になるものは、設定したテーマのボードに「保存(ピン止め)」できます。
(3)写真をタップすることで写真を含むサイトに移動して情報を得ることができます。
(4)同じ写真を「保存」した人をフォローして、「アイデア」を深めることができます。

〇インスタグラム(Instagram)とどう違う?
同社のアプリを開くと一面に写真が並んでいるため、フェイスブック社の「インスタグラム」と似ているように見えます。しかし、興味の対象を写真に代表させて周囲の人に知ってもらえるサービスで、自分に関わる写真をアップして交流する「インスタグラム」とは利用目的が違うと言えます。

Instagramは自身が食べた食事や購入した服、行った場所など過去の行動を投稿するのに対し、ピンタレストは憧れているブランドの画像、行ってみたい場所や作ってみたい料理の写真などをピンするサービスです。

「写真を投稿する」という意味では同じですが、過去を投稿するのか、これから体験する未来を投稿するのか、の部分で大きく異なっていると言えるでしょう。

また、登録に当たっては、メールアドレス、男女の別、言語、国籍のみで登録することができ、また、自身の興味を進んで公表するサービスであることから、「Facebook」で起きているような個人情報取り扱いに関する問題が事業に影響するリスクは小さいと考えられます。

〇広告主にとってのピンタレスト
広告主にとって魅力のあるサイトと考えられます。

・インスピレーションを得るためのサイト・・・ピンタレストは、「旅行の行き先を決める」「部屋の模様替えを考えている」など何か今後の行動を考えている人がインスピレーションを得るために利用することが多いと言われています。企業の広告も消費者にインスピレーションを与えるためのものであり、広告を掲載するための良好な場と言えるでしょう。

・女性比率が高い・・・ピンタレストの利用者は米国のインターネットユーザーの43%に達し、女性の利用者の比率が高く18歳から64歳女性の約8割をカバーするとされます。世帯の購入品の決定権をもつことが多い主婦層に強いことは、広告主にとって魅力的です。

・外部サイトへの誘導に向いたサービス・・・インスタグラムでは、画像のテキスト部分にURLを入力して投稿しても、外部リンクとしては機能しません。しかし、ピンタレストでは、ピンした画像に対して外部リンクが付いています。インスタグラムよりも外部サイトへの誘導に向いているサービスで、広告主からは評価されやすいでしょう。

・拡散効果がある・・・ツイッターの「リツイート」のように、他者の投稿を拡散する「リピン(Repin)」という機能があり、これは広告主にとっては魅力的な機能と考えられます。一方、インスタグラムには、アプリ内で他者の投稿をシェアする機能がありません。

〇業績動向
同社の売上は、他のSNSと同様に広告収入から成ります。米国のユーザー数は頭打ちとなっていますが、ユーザー当たり売上の増加によって売上が増加しています(図表3、図表4)。

ユーザー当たりの売上はフェイスブックでも上昇が続いており、比較的新しいメディアである「SNS」の広告効果が認められて、広告の出稿が増えたり、広告の単価が上昇していることによると見られます。

ユーザー数は海外が米国を大きく上回っていますが、海外売上の比率は6%に過ぎず、収益化はこれからです。ユーザー当たりの売上は米国が3.16ドルに対して、海外は0.09ドルにとどまっています。

売上の拡大とともに赤字額は順調に縮小しており、黒字への転換は間近と見られます(図表5)。

〇類似会社比較
類似会社として米国のSNS、フェイスブック(FB)ツイッター(TWTR)スナップ(SNAP)の3社があげられます。

ピンタレストはまだ黒字化していないため、PSR(株価売上高倍率)の比較が参考になると考えられますが、これによるとフェイスブックの8.9倍、ツイッターの8.8倍に対して、ピンタレストは11.9倍とIPO価格は高い設定となっています(図表6)。

フェイスブックとツイッターは一般によく知られたサービスを運営して既に黒字化しています。一方、ピンタレストの認知度は両社ほどでなく拡大の余地が大きいと見られ、また、海外の収益化がまだ進んでいないことから、高いPSRは正当化されると見られます。

同社サイトは広告主にとって魅力的であり、広告収入は順調に拡大しています。赤字額も事業の発展段階からみて妥当な範囲にとどまっており、売上拡大とともに黒字化が十分期待できる水準と考えられます。

一方、スナップについては、サイトへのアクセスを広告収入に転換するところで苦戦しており、また、収益性が非常に低く、現状では類似会社としてあまり参考にならないと考えられます。

図表2:「ピンタレスト」はどのように使われているか(画面の例)

  • ※会社資料をもとにSBI証券が作成

図表3:月間ユーザー数

  • ※会社資料をもとにSBI証券が作成

図表4:米国のユーザー当たり売上

  • ※会社資料をもとにSBI証券が作成

図表5:業績動向

16年12月期

17年12月期

18年12月期

売上(百万ドル)

298

473

756

営業利益(百万ドル)

-188

-138

-74

純利益(百万ドル)

-182

-130

-63

調整後EBITDA(百万ドル)

-132

-93

-39

  • ※会社資料をもとにSBI証券が作成

図表6:類似会社比較

銘柄名(コード)

株価
(4/8)
(ドル)

予想
PER
(倍)

実績
PSR
(倍)

直近期
売上高
(百万ドル)

直近期
純利益
(百万ドル)

直近期
純利益率
(%)

時価総額
(億ドル)

ピンタレスト(PINS)

* 17.00

-

11.9

756

-63

-8.3

* 90

フェイスブック A(FB)

174.93

19.9

8.9

55,838

22,111

39.6

4,992

ツイッター(TWTR)

34.86

40.5

8.8

3,042

360

11.8

267

スナップ A(SNAP)

12.27

-

13.7

1,180

-1,256

-106.4

162

  • 注:ピンタレストの株価は、公募価格のレンジ上限を、時価総額は「IPO後の発行済株式数(オーバーアロットメントを含まない)×公募価格レンジ上限」を使用しています。PSRは株価売上高倍率で、時価総額を年間売上高で割ったものです。ツイッターの純利益は、繰延税金資産の評価益8.5億ドルを差し引いた調整後の値によります。
  • ※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

免責事項・注意事項

  • 本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。
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