“ショートスクイーズによる波乱をどう捉えるか?”
- SNSサイト「レディット」上で互いに情報交換をしていた個人投資家等による投機的な買い上がりにより、一部の個別銘柄の価格が急騰。株価が割高とみて空売りを仕掛けていた大手ヘッジファンドのポジションを強制的に買戻し決済する「ショートスクイーズ」が発生し、ヘッジファンドのメルビン・キャピタルは1月末で運用資産が昨年末比50%以上減少したと伝えられた。これにより、ヘッジファンドが損失を埋めるため保有する主力株・優良株を換金売りしたとの観測が広がった。一時的にそれらの個別株の取引が一時停止されたことに対し、米証券取引委員会(SEC)が調査すると発表したなか、ロビンフッドが29日に取引規制を再緩和し、一部の個別株の投機的な買い上がりの状況は未だ続いている。市場はヘッジファンドによる損失穴埋めのための換金売りを引き続き警戒するとみられる。
- 米国株相場は昨年3月の急落局面からの底打ち後、今年1月まで一貫して上昇。米国株式市場全体の時価総額を名目GDPで割って算出する「バフェット指数」が2000年3月のITバブル時のピークである183%を上回り、過去最高の200%近くまで上昇するなど株価の割高感が指摘されるなか、ショートスクイーズに伴う市場の波乱に対し、米国株市場をどのように捉えるべきだろうか。
- まず、当ウィークリー2021年1月13日号で述べたとおり、株式相場では1月の収益率が他の月よりも高くなりやすい「1月効果」という季節性のアノマリー(経験則)が注目される。日本でも広く知られる相場格言である「節分天井、彼岸底」も同様のアノマリーを表している。中国の経済活動が旧正月(春節)により停滞しやすい時期でもあり、株価が短期的に上昇から下落に転じやすい時期と言えよう。次に、1/29発表の12月コアPCE価格指数が前年同月比1.5%上昇と伸びが加速し、10年物インフレ指数連動債(TIPS)利回りが同日に2.089%まで上昇するなど期待インフレ率の上昇が顕在化するなか、FRBが名目長期金利を低位に据え置く政策を維持することで、ドル安とともに株価の下支えが期待されよう。
- 米先物取引所CMEは「地球温暖化や人口増により世界人口の3分の2が2025年までに水不足に陥る」との見方を示している。国連食糧農業機関によると、畜産業は人為的に排出される温暖化ガスの約15%を占め、牛肉1kgの生産に約2万リットルの水が必要とされ、豚肉1kgで約6,000リットル、鶏肉1kgで約4,500リットルが必要と言われている。そのような環境下、植物から肉を作る「フードテック」を手掛けるビヨンド・ミート(BYND)などへの成長期待は加速しよう。(笹木)
- 2/2号では、アップル(AAPL)、ビヨンド・ミート(BYND)、フェイスブック(FB)、インテュイット(INTU)、マイクロソフト(MSFT)、リオ・ティント(RIO)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(1/29現在)
主要企業の決算発表予定
2月2日(火) | アトモス・エナジー、チャブ、フォーチュン・ブランズ・ホーム&セキュリティ、ステリス、アルファベット、パーキンエルマー、アマゾン・ドット・コム、Amcor PLC、マッチ・グループ、グローブライフ、エレクトロニック・アーツ、アムジェン、チポトレ・メキシカン・グリル、フランクリン・リソーシズ、エクソンモービル、マケッソン、シリウスXMホールディングス、コノコフィリップス、HCAヘルスケア、ファイザー、アイデックスラボラトリーズ、イートン、ブロードリッジ・ファイナンシャル・ソリューションズ、エマソン・エレクトリック、ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)、ウォーターズ、シスコ、キャタレント、マラソン・ペトロリアム |
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2月3日(水) | アイデックス、ミッド・アメリカ・アパートメント・コミュニティーズ、メットライフ、クアルコム、リンカーン・ナショナル、KLA、ペイパル・ホールディングス、コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ、アフラック、アバロンベイ・コミュニティーズ、イーベイ、オールステート、アライン・テクノロジー、コルボ、WWグレンジャー、ハウメット・エアロスペース、エイブリィ・デニソン、ヒューマナ、チェックポイント・ソフトウエア・テクノロジーズ、アプティブ、バイオジェン、ボストン・サイエンティフィック、アッヴィ |
2月4日(木) | Corteva Inc、フォーティネット、NOV、プルデンシャル・ファイナンシャル、ノートンライフロック、アクティビジョン・ブリザード、メトラー・トレド・インターナショナル、マイクロチップ・テクノロジー、フリートコア・テクノロジーズ、フォーティブ、モトローラ・ソリューションズ、ギリアド・サイエンシズ、エセックス・プロパティー・トラスト、ニューズ・コーポレーション、ペロトン・インタラクティブ、ハートフォード・ファイナンシャル・サービシズG、ユナム・グループ、DXCテクノロジー、フォード・モーター、TモバイルUS、ラルフローレン、フィリップ・モリス・インターナショナル、WECエナジー・グループ、ザイレム、シグナ、インターコンチネンタル・エクスチェンジ、ボール、バクスターインターナショナル、アメリソースバーゲン、ハーシー、ヤム・ブランズ、オールド・ドミニオン・フレイト・ライン、エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ、メルク、インターナショナル・ペーパー、ブリストル マイヤーズ スクイブ、アメテック、CMSエナジー、スナップオン、タペストリー、クエスト・ダイアグノスティクス、ベクトン・ディッキンソン、アレクシオン・ファーマシューティカルズ、パーカー・ハネフィン、カミンズ、クロロックス |
2月5日(金) | イリノイ・ツール・ワークス、ジンマー・バイオメット・ホールディングス、エスティローダー、カーディナルヘルス、トレイン・テクノロジーズ、Cboe・グローバル・マーケッツ、Linde PLC、Aon PLC、リジェネロン・ファーマシューティカルズ |
2月8日(月) | レゲット・アンド・プラット、エベレスト・リー・グループ、テイクツー・インタラクティブ・ソフトウエア、ジャック・ヘンリー・アンド・アソシエーツ、グローバル・ペイメンツ、ハズブロ、ロウズ |
主要イベントの予定
2月2日(火) |
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2月3日(水) |
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2月4日(木) |
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2月5日(金) |
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2月8日(月) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
アップル(AAPL)市場:NASDAQ ・・・2021/4/30に2021/9期2Q(1-3月)の決算発表を予定
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ビヨンド・ミート(BYND)市場:NASDAQ ・・・2021/2/26に2020/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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フェイスブック(FB)市場:NASDAQ ・・・2021/4/29に2021/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
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インテュイット(INTU)市場:NASDAQ ・・・2021/2/23に2021/7期2Q(2020/11-2021/1)の決算発表を予定
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マイクロソフト(MSFT)市場:NASDAQ ・・・2021/4/29に2021/6期3Q(1-3月期)の決算発表を予定
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リオ・ティント(RIO)市場:NYSE(ADR) ・・・2021/2/17に2020/12期2H(7-12月)の決算発表を予定
(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
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- (※)決算発表の予定は1/29現在であり、変更される可能性があります。