“ダウ平均株価の戻り目処、その構成銘柄の堅調な推移”
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11月3日のFOMC(連邦公開市場委員会)声明発表とパウエルFRB議長記者会見、および8日の米国議会中間選挙の投開票を目前に控え、米国株が戻り基調を強めている。その中でも米国を代表する30銘柄の平均株価を指数化した「ダウ工業株30種平均株価」(ダウ平均)が堅調だ。ダウ平均の28日終値は年初来騰落率が▲9.6%と、9月末時点の▲21.0%から縮小。同じく28日終値の年初来騰落率では、米国上場企業のうち流動性のある大型株から選定された約500銘柄の時価総額の加重平均指数である「S&P500株価指数」が▲18.2%、ハイテク株中心のナスダック総合指数のうち時価総額上位100銘柄で構成される時価総額加重平均型指数の「ナスダック100」が▲29.3%と、2022年におけるダウ平均の相対的優位性が示されている。
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28日終値におけるダウ平均構成銘柄の年初来騰落率を見ると、プラスとなっているのは10銘柄。上位順に挙げると、①石油とガスの世界的需要の高まりと米国油田からの生産量増加が利益を押し上げたシェブロン(CVX)が+53.4%。②主力のがん治療薬をはじめ新型コロナ経口治療薬が好調のメルク(MRK)が+31.5%。③主力のリウマチや骨粗しょう症、乾癬治療薬が好調のアムジェン(AMGN)が+21.7%。④料率引上げにより損害保険料収入が堅調に伸びているトラベラーズ(TRV)が+16.3%。⑤8月成立のインフレ抑制法(歳出歳入法)で公的医療保険の運営者として処方薬の薬価引き下げの交渉当事者となりそうなユナイテッドヘルス・グループ(UNH)が+9.8%。⑥世界的に旺盛な建機需要、低い在庫水準、価格引上げが利益を押し上げたキャタピラー(CAT)が+6.1%。⑦企業の基幹業務で使うメインフレームの売り上げが業績を牽引するIBM(IBM)が+3.6%。⑧3Q(7-9月)に平均で12%の値上げを実現したコカコーラ(KO)が+2.6%。⑨値上げの奏功に加え、増配が好感されたマクドナルド(MCD)が+2.4%。⑩主力の抗がん剤拡大を受けた医薬品事業の堅調な推移とともに、スピンオフなど事業再編の方針を示したジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)が+2.2%である。
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医薬品・バイオ、公的保険といったヘルスケア関連が上位に来ている。インフレ抑制のための金融引締め後に景気減速・後退局面に移行する「逆業績相場」では、業績が景気に左右されにくいディフェンシブ銘柄が相対的にパフォーマンス優位となる傾向があることと符合している。目先のダウ平均株価の戻り上昇の目処としては、1月に付けた年初来高値の3万6952ドルから9月に付けた年初来安値の2万8715ドルまでの下落幅に対する半値戻しの3万2833ドル、または61.8%戻しとなる3万3805ドル近辺が挙げられよう。(笹木)
- 11/1号では、アムジェン(AMGN)、iシェアーズ・バイオテクノロジーETF(IBB)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、メルク(MRK)、トラベラーズ(TRV)、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(WBA)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄の騰落率(10/28現在)
主要企業の決算発表予定
11月1日(火) | デボン・エナジー、FMC、マケッソン、シーザーズ・エンターテインメント、エレクトロニック・アーツ、アシュラント、ペイコム・ソフトウエア、マッチグループ、ベリスク・アナリティクス、エクストラ・スペース・ストレージ、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、エジソン・インターナショナル、ONEOK、パブリック・ストレージ、エアビーアンドビー、アムコア、プルデンシャル・ファイナンシャル、クロロックス、モンデリーズ・インターナショナル、フランクリン・リソーシズ、フォックス、WECエナジー・グループ、マラソン・ペトロリアム、エコラボ、センターポイント・エナジー、ファイザー、ニューモント、インサイト、バイオテクネ、アイデックスラボラトリーズ、アビオメッド、レイドス・ホールディングス、ウェスティングハウスエアブレーキ・テクノロジーズ、アメテック、シリウスXMホールディングス、モルソン・クアーズ・ビバレッジ、シスコ、ヘンリー・シャイン、シールド・エアー、ウォーターズ、ガートナー、キャタレント、イートン、イーライリリー、ゼブラ・テクノロジーズ、フィリップス66、ザイレム |
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11月2日(水) | CFインダストリーズ・HD、ホスト・ホテル・アンド・リゾート、マラソン・オイル、リンカーン・ナショナル、PTC、コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ、イーベイ、セリディアンHCM・HD゙、アンシス、APA、オールステート、エクイニクス、フォーティネット、MGMリゾーツ・インターナショナル、ルーメン・テクノロジーズ、アルベマール、エバーソース・エナジー、インガソール・ランド、エッツィ、クアルコム、フリートコア・テクノロジーズ、ブッキング・HD、コルボ、ヒューマナ、エスティローダー、ヤム・ブランズ、CVSヘルス、パラマウント・グローバル、トレイン・テクノロジーズ、チャールズリバー・ラボラトリーズIntl、マーチン・マリエッタ・マテリアルズ、TEコネクティビティ、エマソン・エレクトリック、バルカン・マテリアルズ、トリンブル、ブロードリッジ・ファイナンシャル・ソリューションズ、ジェネラック・HD、ロックウェル・オートメーション、CDW、CHロビンソン・ワールドワイド、エンタジー、ジンマー・バイオメット・HD |
11月3日(木) | スターバックス、アトラシアン、アメレン、ペイパル・HD、アムジェン、イルミナ、セラニーズ、コルテバ、リージェンシー・センターズ、メットライフ、マイクロチップ・テクノロジー、EOGリソーシズ、スカイワークス・ソリューションズ、ワーナーブラザース・ディスカバリー、ベンタス、コテラ・エナジー、モトローラ・ソリューションズ、エクスペディア・グループ、ライブ・ネーション・エンタテインメント、メルカドリブレ、モンスター・ビバレッジ、DXCテクノロジー、ケロッグ、インターコンチネンタル・エクスチェンジ、アメリソースバーゲン、ゾエティス、コノコフィリップス、フィデリティナショナルインフォメーションサービシズ、EPAMシステムズ、ボール、ハンティントン・インガルス・インダストリーズ、モデルナ、センプラ・エナジー、タルガ・リソーシズ、データドッグ、アプティブ、エクセロン、エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ、リジェネロン・ファーマシューティカルズ、メトラー・トレド・インターナショナル、カミンズ、ピナクル・ウエスト・キャピタル、クアンタ・サービシーズ、オルガノン、アイアンマウンテン、ジョンソンコントロールズインターナショナル、ロイヤル・カリビアン・クルーズ、マリオット・インターナショナル(メリーランド)、シグナ |
11月4日(金) | デューク・エナジー、Cboe・グローバル・マーケッツ、カーディナルヘルス、ハーシー、ドミニオン・エナジー、PPL、AES、エバジー |
11月7日(月) | ダイヤモンドバック・エナジー、テイクツー・インタラクティブ・ソフトウエア、アクティビジョン・ブリザード、アライアント・エナジー、モザイク、ソーラーエッジテクノロジー、インターナショナル・フレーバー&フレグランス、Welltower Inc、ナイソース、ビアトリス |
主要イベントの予定
11月1日(火) |
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11月2日(水) |
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11月3日(木) |
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11月4日(金) |
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11月5・6日(土・日) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
アムジェン(AMGN)市場:NASDAQ・・・2022/11/3に2022/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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iシェアーズ・バイオテクノロジーETF(IBB)市場:NASDAQ・・・年4回分配金(3・6・9・12月)
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ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)市場:NYSE・・・2023/1/24に2022/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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メルク(MRK)市場:NYSE・・・2023/2/2に2022/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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トラベラーズ(TRV)市場:NYSE・・・2023/1/20に2022/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(WBA)市場:NASDAQ・・・2023/1/6に2023/8期1Q(9-11月)の決算発表予定
(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
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- (※)決算発表の予定は10/28現在であり、変更される可能性があります。