“23年1-3月期決算発表・序盤戦の振り返り”
- 2023年1-3月期の決算発表が続いている。これまで発表されたものを参考として、これから発表される類似の業種・タイプの決算発表を予測することで投資の好機を探ることができる余地もあるように思われる。
- 半導体関連銘柄については、受託製造世界最大手の台湾積体電路製造[TSMC](TSM)が23年度売上高見通しを引き下げたほかスマホやPC向けの大幅な落ち込みが続いている。そのような中でも韓国サムスン電子が半導体生産の縮小発表に伴い、年下半期のメモリーチップ回復期待が高まって以降は足元の悪材料に対して買い向かうスタンスが強まっている。中国に対する半導体製造装置の輸出規制に対しても、19日のラムリサーチ(LRCX)の決算発表上で「以前の想定よりも多くの製品を中国に輸出することができる」と述べるなど、懸念材料が払拭されつつある。中国への輸出規制による業績悪化の懸念は、サプライチェーン再構築による米国およびその同盟国への生産回帰により将来的に吸収され得るものとの見方も可能だろう。
- その他にも、足元の業績悪化よりもその先を見ようとする動きが相次いでいる。動画配信のネットフリックス(NFLX)は有料会員数の伸びが鈍化したしたものの、パスワード共有問題の解決策として有料で共有する選択肢の対象拡大が評価されつつある。医療機器・検査大手のアボット・ラボラトリーズ(ABT)も新型コロナ検査関連の減収への懸念よりも新型コロナ関連を除く収益の増加が評価されている。
- プロクター・アンド・ギャンブル(PG)の21日決算発表に見られるように、生活に密着した製品を扱う企業におけるコスト増を販売価格に転嫁する力も景気後退懸念が高まるなかで益々重要度を高めよう。
- 電気自動車(EV)のテスラ(TSLA)のように、市場リーダー自ら利益率を犠牲にして相次ぐ値下げを行うことでEV製造業界の利益が丸ごと削られるのではないかとの懸念も高まっている。テスラ終値は決算発表翌日に前日比9.7%下落。反面、テスラがEV市場の価格支配力を持ち、シェア拡大を通じて影響力を強める可能性を示した面もある。過去14日間の終値の上げ幅(前日比)の合計を、同じ期間の上げ幅の合計と下げ幅の合計を足した数字で割った割合である「RSI(相対力指数)14日間」を見ると、テスラ株は20日が33.29%、21日が35.30%と、売られ過ぎと判断される30%以下水準が近づいている。テスラ株のような変動性が高い銘柄については、RSIなどのテクニカル指標を用いて、「DirexionデイリーTSLA株ブル1.5倍ETF(TSLL)
」や「DirexionデイリーTSLA株ベア1倍ETF(TSLS)」といったETF売買も検討されよう。(笹木)
- 4/25号では、アボットラボラトリーズ(ABT) 、ASMLホールディング(ASML) 、ベントレー・システムズ(BSY) 、コムキャスト(CMCSA) 、iシェアーズ・グローバル・インフラETF(IGF) 、メドトロニック(MDT) を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
23年1-3月期決算発表・序盤戦の振り返り
主要企業の決算発表予定
4月25日(火) | センティーン、ダナハー、ペプシコ、ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)、ゼネラル・モーターズ(GM)、3M、GE HealthCare Technologies Inc、MSCI、NVR、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド、インベスコ、コーニング、シャーウィン・ウィリアムズ、ゼネラル・エレクトリック(GE)、ダウ、ノーザン・トラスト、バイオジェン、パッカー、ハリバートン、パルトグループ、ファイサーブ、マクドナルド、ムーディーズ、ラボラトリー・コープ・オブ・アメリカHldg、レイセオン・テクノロジーズ、ネクステラ・エナジー、ベライゾン・コミュニケーションズ、キンバリー・クラーク、チポトレ・メキシカン・グリル、アルファベット、イルミナ、エンフェーズ・エナジー、コスター・グループ、ジュニパーネットワークス、チャブ、テキサス・インスツルメンツ、ビザ、ホマイクロソフト、ユニバーサル・ヘルス・サービシズ |
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4月26日(水) | ヒューマナ、エイブリィ・デニソン、CMEグループ、TEコネクティビティ、アメリカン・タワー、アレジオン、アンフェノール、ウェスティングハウスエアブレーキ・テクノロジーズ、エンタジー、オーチス・ワールドワイド、オートマチック・データ・プロセシング(ADP)、オールド・ドミニオン・フレイト・ライン、サーモフィッシャーサイエンティフィック、ゼネラル・ダイナミクス、テレダイン・テクノロジーズ、ドーバー、ノーフォーク・サザン、ヒルトン・ワールドワイド・HD、フォーティブ、ヘス、ボーイング、ボストン・サイエンティフィック、マーケットアクセス・HD、マスコ、アーチ・キャピタル・グループ、アライン・テクノロジー、ロバート・ハーフ・インターナショナル、CHロビンソン・ワールドワイド、EQT、KLA、PTC、UDR、アイデックス、アバロンベイ・コミュニティーズ、アフラック、アメリカン・ウォーター・ワークス、イーベイ、ウエイスト・マネジメント、エドワーズライフサイエンス、オライリー・オートモーティブ、サービスナウ、タイラー・テクノロジーズ、テラダイン、パイオニア・ナチュラル・リソーシズ、ミッド・アメリカ・アパートメント・コミュニティーズ、メタ・プラットフォームズ、モリーナ・ヘルスケア、ユナイテッド・レンタルズ、レイモンド・ジェームズ・ファイナンシャル、ローリンズ |
4月27日(木) | リンデ、キャタピラー、A.O.スミス、CMSエナジー、DTEエナジー、IQVIAHD、KRCインテリム、LKQ、アストラゼネカ、アッヴィ、アメリカン航空グループ、アルトリア・グループ、イーライリリー、インターナショナル・ペーパー、インターパブリック・グループ、ウィリス・タワーズ・ワトソン、ウエスト・ファーマシューティカル・サービシズ、エクセル・エナジー、キャリア・グローバル、キューリグ・ドクターペッパー、クエスト・ダイアグノスティクス、コムキャスト、サウスウエスト航空、シリウスXMHD、センターポイント・エナジー、チャーチ・アンド・ドワイト、テキストロン、ドミノ・ピザ、トラクター・サプライ、ニューモント、ノースロップ・グラマン、ハーシー、バクスターインターナショナル、ハズブロ、ハネウェルインターナショナル、バレロ・エナジー、フィデリティナショナルインフォメーションサービシズ、ブリストル マイヤーズ スクイブ、ペンテア、マスターカード、メルク、ローパー・テクノロジーズ、ロックウェル・オートメーション、S&Pグローバル、サザン、WWグレンジャー、TモバイルUS、キャピタル・ワン・ファイナンシャル、ベリサイン、モンデリーズ・インターナショナル、ハートフォード・ファイナンシャル・サービシズ・グルー、L3ハリス・テクノロジーズ、イーストマン・ケミカル、Healthpeak Properties Inc、アーサー・ギャラガー、アクティビジョン・ブリザード、アマゾン・ドット・コム、アムジェン、インテル、ウェアーハウザー、ギリアド・サイエンシズ、シージェン、シンシナティ・ファイナンシャル、デクスコム、ファースト・ソーラー、ファーストエナジー、フェア・アイザック、プリンシパル・ファイナンシャル・グループ、モホーク・インダストリーズ、リパブリック・サービシズ、レスメト |
4月28日(金) | エーオン、エクソンモービル、コルゲート・パルモリーブ、シェブロン、チャーター・コミュニケーションズ、ニューウェル・ブランズ、ライオンデルバセル・インダストリース |
5月1日(月) | WECエナジー・グループ、オン・セミコンダクター、グローバル・ペイメンツ、ロウズ、フランクリン・リソーシズ、ストライカー、CFインダストリーズ・HD、FMC、MGMリゾーツ・インターナショナル、NXPセミコンダクターズ、SBAコミュニケーションズ、アリスタネットワークス、インビテーション・ホームズ、エベレスト・リー・グループ、バーテックス・ファーマシューティカルズ、ホロジック |
主要イベントの予定
4月25日(火) |
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4月26日(水) |
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4月27日(木) |
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4月28日(金) |
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5月1日(月) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
アボットラボラトリーズ(ABT)市場:NYSE・・・2023/7/20に2023/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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ASMLホールディング(ASML)市場:NASDAQ・・・2023/7/19に2023/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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ベントレー・システムズ(BSY)市場:NASDAQ・・・2023/5/9に2023/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
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コムキャスト(CMCSA)市場:NASDAQ・・・2023/4/27に2023/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
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iシェアーズ・グローバル・インフラETF(IGF)市場:NYSEArca・・・年2回分配金(6・12月)
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メドトロニック(MDT)市場:NYSE・・・2023/5/25に2023/4期4Q(2-4月)の決算発表を予定
(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
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- (※)決算発表の予定は4/21現在であり、変更される可能性があります。