“大統領選サイクルの3年目秋を振り返る”
- 米国株市場には、大統領選挙のサイクル(4年周期)との間に相関関係があるという「アノマリー」(理論的根拠があるわけではないが経験則上よく当たるとされる考え方)の存在が指摘される。選挙に伴い支持率を意識した政策が出されることなどが影響し、米中間選挙の年が相対的に安く、その年を押し目として大統領選挙の年に向かって上昇するとされる。
- 21世紀以降の大統領選サイクル3年目の株価推移を各年初営業日の終値を100とした相対指数で見ると、4年前の2019年が最も好調だった。同年の相対指数は6月末が117.20、7月末が120.35、8月末が116.51である。今年も6月末が116.37、7月末が120.00、8月末が117.87と、ほぼ4年前をトレースしている。2019年の時は、9月末が118.89、10月末が121.01、11月末が125.13、12月末が128.71と年末まで堅調に推移した。2003年も、2000年3月をピークとするIT(ドットコム)バブル崩壊の株価下落からの底入れ反転から間もなくだったこともあり、好調な年だった。
- 他方、サブプライム・ローン債権に係る「パリバ・ショック」の2007年、米国債格下げの2011年、「チャイナ・ショック」の2015年は総じて夏〜秋以降に相場が崩れている。相対指数で見ると、2007年は8月末が102.90、12月末が103.65。2011年は8月末が95.36、12月末が98.88。2015年は8月末が95.82、12月末が99.30だ。米議会の分断に伴う米国債格下げ、中国経済の不動産不況深刻化といったリスクは現在でも市場で認識されており、それらの顕在化によって市場が崩れる可能性もあり得る。また、サブプライム・ローン債権に替わって、現在は商業不動産ローン債権のリスクが存在している。
- それでも、リスクの顕在化に対する初動として売りが先行しつつも、時間の経過とともに買戻しが優勢となりやすいのがここ最近の米国株市場の特徴でもある。特に、トランプ前政権時の米中貿易摩擦以降、そのような傾向が強まっているように見受けられる。政策対応が可能な範囲であればリスクの存在は将来の買戻し要因として消化されやすい面もあるだろう。
- 大統領選挙サイクル3年目秋は、一般的にアノマリーとして言われるほど確率的に米国株市場が強いわけではないという事実認識は必要だろう。今年も年末にかけて6-8月と同様に4年前と同様の軌道を描くのか、あるいは2007年、11年、15年のように躓くのか、どちらの可能性もあり得るとすべきだろう。そうだとすれば、銘柄選択も保守的な見方に傾くのが妥当かもしれない。ディフェンシブ性が強く不況時でもも需要が見込まれるかどうか、あるいは相対的人気薄の好業績・財務銘柄に目を向けることも必要かもしれない。(笹木)
- 9/5号では、アボットラボラトリーズ(ABT)、アプティブ(APTV)、バイオエヌテック(BNTX)、ケメド(CHE)、チューイ(CHWY)、スノーフレーク(SNOW)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄騰落率(9/1現在)
主要企業の決算発表予定
9月5日(火) | ゼットスケーラー |
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9月8日(金) | クローガー |
主要イベントの予定
9月5日(火) |
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9月6日(水) |
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9月7日(木) |
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9月8日(金) |
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9月9-10日(土・日) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
アボットラボラトリーズ(ABT) 市場:NYSE・・・2023/10/19に2023/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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アプティブ(APTV) 市場:NYSE・・・2023/11/03に2023/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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バイオエヌテック(BNTX) 市場:NASDAQ・・・2023/11/6に2023/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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ケメド(CHE) 市場:NYSE・・・2023/10/31に2023/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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チューイ(CHWY) 市場:NYSE・・・2023/12/8に2024/1期3Q(8-10月)の決算発表を予定
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スノーフレーク(SNOW) 市場:NYSE・・・2023/11/30に2024/1期3Q(8-10月)の決算発表を予定
(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
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- (※)決算発表の予定は9/1現在であり、変更される可能性があります。