“外部環境変化への耐性銘柄、アーム投資のポイント”
- 当ウィークリーの先週号で、2022年の金融引締め、および2023年のインフレ率減速と利上げ打ち止め期待といった相反する外部環境の下で、いずれの局面でも株価騰落率がプラス推移した銘柄に着目した。S&P100指数構成銘柄の内、2022年年間騰落率、および今年の年初来騰落率がともにプラスの銘柄の中から銘柄を幾つか取り上げた次第だ。これをS&P500指数構成銘柄に拡張し、9/13終値時点で昨年の年間騰落率および今年の年初来騰落率がともに10%超上昇銘柄をスクリーニングしたところ、26銘柄が該当した。
- その内、「油田サービス・設備」「探鉱・生産」「石油精製・販売」「石油・ガスパイプライン」といった石油関連銘柄が9銘柄を占めた。原油に関してサウジアラビアの自主減産延長やロシアの輸出削減の年末まで延長を受けて原油先物相場が足元で堅調に推移し、年初来騰落率を押し上げている。
- その他の業種では、バイオテクノロジー・製薬がイーライリリー(LLY)、リジェネロン・ファーマシューティカルズ(REGN)、バーテックス・ファーマシューティカルズ(VRTX)の3銘柄を擁する。アーサー・J・ギャラガー(AJG)やエベレスト・グループ(EG)といった保険ブローカー・再保険が2銘柄、カーディナルヘルス(CAH)やマケッソン(MCK)といったヘルスケア・サプライチェーン関連が2銘柄ある。加工食品のラム・ウェストン・ホールディングス(LW)、アルコール飲料のモルソン・クアーズ・ビバレッジ(TAP)も含め、業種としても景気変動に左右されにくい銘柄が名前を連ねていることが分かる。
- 年初来騰落率では上位を席巻している半導体関連の中からも自動運転に係る車載画像センサーで強いオン・セミコンダクター(ON)が該当している。半導体における車載向けの需要の堅実さの表れだろう。また、景気敏感業種の中でも、建設・鉱業機械のキャタピラー(CAT)やインフラ建設のクアンタ・サービシーズ(PWR)、電炉世界首位のニューコア(NUE)が含まれていることは、インフラ投資・老朽化対応が国民生活を守る意味で中長期かつ持続的な生活必需の需要へと性格を変えつつある面も大きいように思われる。
- ソフトバンクグループ傘下の英半導体設計アーム・ホールディングス(ARM)が9/14、ナスダックに新規上場。同社株への投資のポイントとして、主要取引先・協業先が相次いで「コーナーストーン投資家」として株式を保有する点が挙げられる。同社の影響力からすれば取引先が今後も横並びで株式売出しや募集に応じる可能性もあろう。更に、親会社が約9割を保有しており市場に出回る株式が少ない点が挙げられる。値動きが一方的かつ大きな変動となりやすい一方、割高を正当化しやすい面もあるだろう。(笹木)
- 9/20号では、ケマーズ(CC)、フレックス(FLEX)、オン・セミコンダクター(ON)、ファイザー(PFE)、リジェネロン・ファーマシューティカルズ(REGN)、バーテックス・ファーマシューティカルズ(VRTX)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄騰落率(9/15現在)
主要企業の決算発表予定
9月19日(火) | オートゾーン |
---|---|
9月20日(水) | フェデックス、ゼネラル・ミルズ |
9月21日(木) | ファクトセット・リサーチ・システムズ、ダーデン・レストランツ |
主要イベントの予定
9月19日(火) |
|
---|---|
9月20日(水) |
|
9月21日(木) |
|
9月22日(金) |
|
9月25日(月) |
|
- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
ケマーズ(CC)市場:NYSE ・・・2023/10/25に2023/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
|
フレックス(FLEX)市場:NASDAQ ・・・2023/10/26に2024/3期2Q(7-9月)の決算発表を予定
|
オン・セミコンダクター(ON)市場:NASDAQ ・・・2023/10/31に2023/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
|
ファイザー(PFE)市場:NYSE ・・・2023/10/31に2023/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
|
リジェネロン・ファーマシューティカルズ(REGN)市場:NASDAQ ・・・2023/11/3に2023/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
|
バーテックス・ファーマシューティカルズ(VRTX)市場:NASDAQ ・・・2023/10/27に2023/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
|
- (※)決算発表の予定は9/15現在であり、変更される可能性があります。