“リスクと悲観の巻き戻しで年末高へ〜視界良好か?”
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「2018年の再来」による年末に向けての株価下落の道筋を断ち切り、年末高への視界が良好になってきたのかもしれない。米FRB(連邦準備理事会)の利上げは、1日発表の米FOMC(連邦公開市場委員会)における政策金利据え置きに加え、10月のISM製造業および非製造業景況指数の低下、および3日発表の10月の米雇用統計を中心とした一連の労働市場の失速データによって終了したとの見方が広まった。今までであれば、すぐにまた強い経済指標が出て市場の見方が覆されていたなか、今回はどうやら状況が異なりそうだ。その理由は以下の2点である。
- 第1に、米国株市場の重しとなっていた米長期金利に関し、CFTC(米商品先物取引委員会)統計による米長期国債先物の投機筋ポジションの売り越し枚数が80万枚超の歴史的高水準からの大規模な買戻しが見込まれることだ。それでも、ウクライナやイスラエルへの軍事支援を含む財政赤字の拡大が長期金利上昇の要因となるのではないかとの見方に対しては、大統領選挙年の2024年に向けて米財務省による国債買戻しプログラムの実施の可能性が高いことが反論として挙げられよう。イエレン財務長官が昨年10月頃、大口顧客が市場から手を引いていることに対し、「米国債市場に充分な流動性が失われたことについて懸念している」と述べ、財務省は流動性が特に不足した長期国債を買い戻す「バイバック」も検討していると報じられていた。
- 第2に、10月下旬に年初来で最も弱気に傾いた機関投資家のリスク選好度の反転上昇が見込まれることだ。全米アクティブ投資マネージャーズ協会(NAAIM)の会員から報告された株式のエクスポージャーを示す数値を週次で集計した「NAAIM指数」は年初から10月末までの平均が64.00となる中で、10/25に年初来最低水準の24.82まで低下していた。米国債の買戻しによるリスク選好度合いの回復との相乗効果によりNAAIM指数の反転上昇が想定を超える可能性も出て来よう。
- それでは、中東のイスラエルとイスラム組織ハマスの紛争拡大に係る地政学リスクはどう考えればよいのだろうか? ロシアのウクライナ侵攻の際も、金融市場は勃発から1ヵ月は大きく揺れた後には冷静さを取り戻した。そもそも、歴史を遡ること第2次世界大戦時も、ダウ工業株30種平均は日米の太平洋戦争勃発の1941年12月の翌年4月に底を打って反転し、終戦の1945年8月頃までで約8割ほど一貫して上昇した。戦争は総合的に見れば軍需のプラスがリスクのマイナスを大きく上回る傾向にあるということだろう。(笹木)
- 11/7号ではアップル(AAPL)、マリオット・インターナショナル(MAR)、ニューコア(NUE)、パランティア・テクノロジーズ(PLTR) 、クアルコム(QCOM)、インベスコNASDAQ 100 ETF(QQQM)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄騰落率(11/3現在)
主要企業の決算発表予定
11月7日(火) | エクストラ・スペース・ストレージ、イーベイ、デボン・エナジー、ギリアド・サイエンシズ、オキシデンタル・ペトロリアム、アカマイ・テクノロジーズ、ビアトリス、モザイク、ダビータ、ルーシッド・グループ、ジャック・ヘンリー・アンド・アソシエーツ、ステリス、アクソン・エンタープライズ、ジンマー・バイオメット・ホールディングス、エクスペディターズInt'lオブワシントン、ウォーターズ、DRホートン、エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ、ジェン・デジタル、エバジー、データドッグ、エマソン・エレクトリック、フィデリティナショナルインフォメーションサービシズ、グローバルファウンドリーズ |
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11月8日(水) | アメレン、テイクツー・インタラクティブ・ソフトウエア、コルテバ、MGMリゾーツ・インターナショナル、フリートコア・テクノロジーズ、アトモス・エナジー、ウォルト・ディズニー・カンパニー、フェア・アイザック、ラルフローレン、ケラノバ、バイオジェン、ワーナーブラザース・ディスカバリー、チャールズリバー・ラボラトリーズIntl |
11月9日(木) | メトラー・トレド・インターナショナル、ザ・トレードデスク、イルミナ、ホロジック、ニューズ・コーポレーション、ベクトン・ディッキンソン、ウエストロック、タペストリー、トランスダイム・グループ、アストラゼネカ |
11月13日(月) | タイソン・フーズ |
主要イベントの予定
11月7日(火) |
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11月8日(水) |
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11月9日(木) |
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11月10日(金) |
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11月11・12日(土・日) |
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11月13日(月) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
アップル(AAPL)市場:NASDAQ・・・2024/2/2に2024/9期1Q(10-12月)の決算発表を予定
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マリオット・インターナショナル(MAR)市場:NASDAQ・・・2024/2/14に2023/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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ニューコア(NUE)市場:NYSE・・・2024/1/26に2023/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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パランティア・テクノロジーズ(PLTR)市場:NYSE・・・2024/2/13に2023/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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クアルコム(QCOM)市場:NASDAQ・・・2024/2/2に2023/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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インベスコNASDAQ100ETF(QQQM)市場:NASADQ・・・分配金:年4回(3・6・9・12月)
(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
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- (※)決算発表の予定は11/3現在であり、変更される可能性があります。