“メタ・プラットフォームズとアマゾン・ドット・コムに見る株価上昇要因”
- メタ・プラットフォームズ(META)株価が1日時間外での決算発表を受けて2日終値で前日比20.3%上昇。時価総額が1日で約30兆円相当額増加という異例の動きを示した。当ウィークリー2023年2月7日号「銘柄ピックアップ」でも、同社CEOが決算発表で「23年は効率化の年になる」と述べて2022年11月の社員約13%削減に加えてコスト削減に努める姿勢を示し、更に自社株買い枠大幅拡大など経営方針の大きな転換をすることについて言及した。売上高総費用比率の推移も、2022年10-12月期の80%から決算発表毎に低下して昨年10-12月期は59%となった。まさに「有言実行」だろう。
- 当ウィークリー2023年3月7日号では、セールスフォース(CRM)についてアクティビスト(物言う株主)からコスト削減圧力を受ける中で、21年に約3兆円相当でSlackを買収するなど長年成長重視方針だったが、収益性を最優先する方針への転換が奏功し始めたことに言及。調整後営業利益率も四半期毎に上昇基調を辿っており、次回決算発表(3/1予定)が注目される。
- アマゾン・ドット・コム(AMZN)株価もメタ・プラットフォームズと同様に1日時間外での決算発表を受けて2日終値が前日比7.9%上昇。時価総額が1日で約20兆円相当額が増加した。当ウィークリー2023年10月31日号「銘柄ピックアップ」でも、自前の物流網整備によって輸送費削減と日用品販売が増加しており、小売業にとって逆風となるインフレ下で着実に基盤を拡大している点、および2023年11月28号「エヌビディアとアマゾン・ドット・コムの躍進を支える企業」でも、自前の物流網整備について地域ごとに商品を保管して顧客に近い拠点から配送する仕組み、および百貨店チェーンのコールズ(KSS)をアマゾンのEコマース返品受付拠点としている点などを述べた。AI(人工知能)を活用した広告事業、定額サブスクリプションの伸びなどアマゾン躍進の要因は複数あるものの、祖業のEコマースの復活が大きい。全体の営業利益率も昨年10-12月期が7.8%と前年同期比5.9ポイント改善している。
- 「マグニフィセント・セブン」と言われる時価総額上位の主要米国株の中では、足元では電気自動車(EV)のテスラ(TSLA)株価が、値下げに伴う採算悪化に歯止めが掛からないことを背景に低迷している。テスラの株価上昇トレンド転換を見据える上では利益率改善に向けた目に見える経営の具体的変化が必要だろう。足元では、脱炭素から化石燃料への揺り戻しの恩恵を受けそうな伝統的な大手自動車メーカーを初めとした高配当利回り・低PERのバリュー銘柄、成長期待で過度に買われたところから大幅に株価下落後に業績・財務が改善してきたグロース銘柄などが注目されよう。(笹木)
- 2/6号では、フォード・モーター(F)、Fastly(FSLY)、ファイザー(PFE)、Pagaya Technologies(PGY)、テラドック・ヘルス(TDOC)、ワールプール(WHR)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄騰落率(2/2現在)
主要企業の決算発表予定
2月6日(火) | チポトレ・メキシカン・グリル、フォーティネット、アトモス・エナジー、Veralto Corp、コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ、アイデックス、アシュラント、シンシナティ・ファイナンシャル、UDR、ギリアド・サイエンシズ、エンフェーズ・エナジー、アムコア、ジャック・ヘンリー・アンド・アソシエーツ、オムニコム・グループ、エドワーズライフサイエンス、アムジェン、プルデンシャル・ファイナンシャル、VF、フォード・モーター、ザイレム、アメテック、カミンズ、ウォーターズ、GE HealthCare Technologies Inc、キャリア・グローバル、ジェイコブズ・ソリューションズ、リンデ、ウィリス・タワーズ・ワトソン、センティーン、イーライリリー、ガートナー、ファイサーブ、デュポン・ド・ヌムール |
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2月7日(水) | マケッソン、オライリー・オートモーティブ、ウォルト・ディズニー・カンパニー、エベレスト・グループ、ペイパル・ホールディングス、ペイコム・ソフトウエア、モノリシック・パワー・システムズ、ステリス、フリートコア・テクノロジーズ、ニューズ・コーポレーション、グローブライフ、エキファックス、ウィン・リゾーツ、オールステート、フォックス、ヤム・ブランズ、CVSヘルス、ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス、ブンゲ・グローバル、エマソン・エレクトリック、ウーバー・テクノロジーズ、CDW、セリディアンHCMホールディング |
2月8日(木) | モリーナ・ヘルスケア、エクスペディア・グループ、メトラー・トレド・インターナショナル、イルミナ、リージェンシー・センターズ、テイクツー・インタラクティブ・ソフトウエア、デクスコム、モホーク・インダストリーズ、ファーストエナジー、モトローラ・ソリューションズ、ベリサイン、ケラノバ、ラルフローレン、S&Pグローバル、マスコ、デューク・エナジー、ティー・ロウ・プライス・グループ、フィリップ・モリス・インターナショナル、ジンマー・バイオメット・ホールディングス、タペストリー、KRCインテリム、インターコンチネンタル・エクスチェンジ、コノコフィリップス、ボルグワーナー、バクスターインターナショナル、ハーシー、Kenvue Inc、インターパブリック・グループ、DTEエナジー、スナップオン、トランスダイム・グループ、アストラゼネカ |
2月9日(金) | ペプシコ、キャタレント |
2月12日(月) | プリンシパル・ファイナンシャル・グループ、アリスタネットワークス、ウエイスト・マネジメント、ケイデンス・デザイン・システムズ、トリンブル |
2月13日(火) | アカマイ・テクノロジーズ、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)、MGMリゾーツ・インターナショナル、ウェルタワー、インビテーション・ホームズ、ダビータ、エアビーアンドビー、ハウメット・エアロスペース、マリオット・インターナショナル(メリーランド)、インサイト、モルソン・クアーズ・ビバレッジ、ゾエティス、レイドス・ホールディングス、データドッグ、バイオジェン、グローバルファウンドリーズ、コカ・コーラ、エコラボ、ムーディーズ、ハズブロ |
主要イベントの予定
2月6日(火) |
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2月7日(水) |
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2月8日(木) |
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2月12日(月) |
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2月13日(火) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
フォード・モーター(F)市場:NYSE・・・2024/2/7に2023/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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Fastly(FSLY)市場:NYSE・・・2024/2/14に2023/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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ファイザー(PFE)市場:NYSE・・・2024/5/2に2024/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
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Pagaya Technologies(PGY)市場:NASDAQ・・・2024/2/21に2023/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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テラドック・ヘルス(TDOC)市場:NYSE・・2024/2/20に2023/12期4Q(10-12月)の決算発表予定
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ワールプール(WHR)市場:NYSE・・・2024/4/24に2024/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
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- (※)決算発表の予定は2/2現在であり、変更される可能性があります。