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“半導体・ナスダック100からダウ平均銘柄への潮目変化も”
“半導体・ナスダック100からダウ平均銘柄への潮目変化も”
2024/3/28
提供:フィリップ証券株式会社
リサーチ部:笹木 和弘
23年12月「銘柄ピックアップ」振り返る〜半導体関連が他セクターを圧倒
- 主要半導体銘柄を含み、金融を除くナスダック上場時価総額上位100銘柄(所謂「GAFAM」など大手ハイテク銘柄含む)の時価総額加重平均であるナスダック100指数は、米国の景気敏感やディフェンシブ関連含む代表的30銘柄の平均株価であるNYダウ平均株価に対する比率が2000年3月以来の過去最高水準に達している。この傾向が短期的に強まる可能性も否定できないものの、割安銘柄シフトの観点ではNYダウ平均構成銘柄の中から投資対象先を探すのがオーソドックスだろう。
ターンアラウンド(経営再建)でウォルト・ディズニー(DIS)、インフラ・住宅投資でキャタピラー(CAT)、高いステータス性を備えたカードを擁するアメリカン・エキスプレス(AXP)を初め、歴史と伝統ある企業の優位性が高まる傾向が強まるかもしれない。
ダウ平均銘柄の優位性高まるか〜対ナスダック100で34年ぶり割安水準
- 米国上場の主要な半導体関連30銘柄で構成されるSOX(フィラデルフィア半導体)指数は、生成AI(人工知能)人気沸騰を受けて上昇が加速。米国の代表的株価指数のS&P500に対する倍率は今年3月以降、ITバブル時の2000年3月以来の水準に達した。主要半導体銘柄を含み、金融を除くナスダック上場時価総額上位100銘柄の時価総額加重平均であるナスダック100指数は、米国の景気敏感やディフェンシブ関連も含む代表的30銘柄の平均株価であるNYダウ平均株価に対する比率も同様に、2000年3月以来の水準に達した。
ITバブル時と比べて割高感は乏しいとしても、半導体関連への物色の偏りが極端に振れていることは否定できない。「ナスダック100ショート(売建て)/NYダウ平均ロング(買建て)」のポジションが有効だろうか。
米株の半導体集中度は過去最高〜半導体&マグニフィセント7相場は転機?
- アルゼンチン国家統計局が3/12発表の2月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比276%上昇と約33年ぶりの大幅上昇。保守派の市場原理主義者ミレイ大統領は歳出削減・財政健全化を優先。物価抑制目的の補助金を減らしたことで公共交通料金やエネルギー価格が高騰。
新興国ソブリン債の半分(推定8700億ドル)の債券がニューヨーク州法に基づいて発行されるなか、2月末、同州の裁判所がソブリン債(国債や政府機関債)の債務再編の扱いに係る制度変更を目指す法案が州議会に提出された。法案可決かどうかは不透明も、可決されれば新興国の債務が救済される代わりに、ファンドなど民間債権者にとって不測の大きな損失が発生する要因となる。次の金融危機の火種となる可能性もあろう。
新興国のソブリン債務再編問題〜ニューヨーク州議会で2月末法案再提出
- 5日「スーパーチューズデー」(11月の米大統領選挙に向けた候補者選びのヤマ場で、各州の予備選や党員集会が集中する火曜日)を経てトランプ前大統領が共和党指名を確実にした。米世論調査ではトランプ氏が現職バイデン大統領をリードしている状況が続き、米国株市場も「もしトラ(もしかしたらトランプ氏が大統領になったら)」を睨まざるを得ない。
急増する不法移民対策が米大統領選の最大争点になりつつあり、バルカン・マテリアルズ(VMC)やセメックス(CX)などは「国境の壁」建設が追い風となろう。NATO加盟国に対して国防費増額を強硬に迫る可能性が高く、ロッキード・マーチン(LMT)など防衛関連大手への恩恵も期待される。他方、大手ハイテク株の動向は米国株相場の懸念材料ではある。
スーパーチューズデー「もしトラ」〜不法移民対策「国境の壁」インフラ投資
- 生成AI(人工知能)の利用に係る機械/深層学習に必要な画像処理半導体(GPU)の市場をほぼ独占するエヌビディア(NVDA)、および世界のスマホ向け半導体設計市場を独占する英アーム・ホールディングス(ARM)は、半導体銘柄投資に欠かせない双璧だろう。両社の収益構造を見るとエヌビディアの24年1月期4Q(11-1月)はデータセンター事業の売上比率が83.3%と前四半期比23.5ポイント上昇。「一本足打法」に近付きつつある中で将来的に自前開発の可能性もあり得る大型ハイテク企業への販売比率の高さが主要な懸念点だろう。アームはスマホ市場の浮き沈みに左右されやすい点があるものの半導体チップ累積出荷数に応じたストック型、およびサブスクリプション型課金で手堅い面も際立つ。
エヌビディアとアームの収益構造〜攻めのエヌビディアと堅実なアーム
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