米FOMCの結果と今後の展望
発表時間 |
9/18(水) |
27:00(日本時間) |
【2013年9月17‐18日、米FOMC結果と今後の展望】
9月17〜18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、市場の大半が資産買い入れの縮小を見込んでいた中で、「月額850億ドルの資産を買い入れる量的緩和を当面継続する」という予想外の方針を表明しました。最近では、縮小への着手の有無についての議論は大きく減少し、資産買い入れ金額の減額規模だけが議論の対象となっていただけに、市場にとってこの決定はかなりの驚きとなりました。
発表されたFOMC声明から今回の決定に影響したと思われるわかりやすい3点を抜き出してみると、
(1)雇用市場の状況は、ここ数ヵ月間に一段の改善を示しているが、失業率はなお高水準にある。
(2)家計支出と企業設備投資は増加し、住宅セクターは力強い。ただ住宅貸付金利が上昇し、財政政策が経済成長を抑えている。
(3)インフレは中長期的な目標を下回っている。インフレ期待も安定。
これらのポイントだけでは今回の決定に至った背景を見出し難いのですが、バーナンキ議長の委員会後の会見内容や質疑応答にその理由の一部が見え隠れしていたようです。
まず、雇用については、前回「来年半ばまでの失業率7.0%が目安」と発言したものの、今回は「魔法の数字はない」として、事実上7.0%の失業率目安を撤回しています。7.3%まで改善してきた結果を評価しながらも引き続き容認できる水準を上回っているとして、今後の足踏みや後退をかなり懸念しているようです。また、住宅セクターについては、やはり最近発表されている住宅関連の経済指標結果がまだらになっている点を委員会メンバーの多くが気にしているようです。当然、過度の金利上昇となれば住宅セクターへの悪影響を与えることも今回の見送りの大きな理由の一つのはずです。委員会メンバーに「インフレ圧力はない」との認識を共有する一方で、デフレに対する懸念はかなり大きいようです。インフレ率が目標を下回り続ける場合、利上げに消極的になる必要があるとも述べています。
今回の決定を受けて、多くのアナリストがバーナンキ議長の「この日の決定は予防的な措置だった」との会見冒頭の言葉を素直に受け止め、年内最後の12月のFOMCでの資産買い入れの縮小着手との判断に修正しているようです。ただ、前回までに議長本人が緩和縮小のサインを出していた状況下で「量的緩和縮小にあらかじめ決まった時期はない。特別な経済指標の数値目標もない」との発言変化を単純に聞き流してよいのかは疑問です。年内の緩和縮小の可能性があることを示唆しながらも、「最近の経済指標等が資産買い入れの縮小を正当化できない」とも述べているように、最近下振れを見せている経済指標の弱さも委員会の決定をさらに慎重にさせたようです。来年1月に任期満了となる議長の後任人事も不確定要素の一つになっているでしょう。今回の緩和縮小の着手にはバーナンキ議長自らのヒントがあったこともさることながら、市場が過度に緩和政策からの脱却に期待感を持ち過ぎたことも事実です。市場がこうした流れに傾き易いことへの予防措置も含まれているのかも知れません。
市場は今回の資産買い入れの継続の決定を概ね歓迎、とりわけ足元の株式市場や新興国市場にとっては好材料となりそうです。また今後の外国為替市場については、量的緩和の縮小着手が12月のFOMCにずれ込んだとの予断は持たずに、引き続き米国の住宅関連、雇用関連を中心にした経済指標結果を注意深く見守っていくことが重要になりそうです。
FOMCとは
日本でいう日銀の金融政策決定会合に相当する委員会のことで、現在の景況判断と公開市場操作(政策金利の上げ下げや為替レートの誘導目標)の方針が発表され、アメリカの株式市場や為替レート、引いては世界の金融マーケットに大きな影響を与えます。基本的に6週間ごとの火曜日、年に8回開催されます。
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9/18(水)27:00(日本時間) |
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