米7月雇用統計 (非農業部門雇用者数前月比/失業率 等) |
発表時間 |
8/1(金)21:30(日本時間) |
前回値 |
+28.8万人 / 6.1% |
事前予想 |
+23.0万人 / 6.1% |
7月3日に発表された6月の米雇用統計では、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数が+28.8万人となり、市場予想の+21.5万人を大きく上回る大幅な伸びとなった。そして、過去5ヵ月間の平均が+24.8万人となり、安定した伸びが継続していることが示された。また、失業率は、前月から0.2ポイント低下の6.1%に改善し、2008年9月以来、5年9ヵ月ぶりの低水準となったことも好感され・・・
動画で雇用統計を確認!
前回発表時(7/3)の主要通貨の動きをチャートで振り返る
米ドル/円
- ※出所:FX総合分析チャート 15分足
ユーロ/円
※出所:FX総合分析チャート 15分足
豪ドル/円
※出所:FX総合分析チャート 15分足
ファンダメンタル分析とは?ニュースで聞くような経済指標を読んで相場を分析すること。特に重要な指標をいくつかご紹介! |
動画で雇用統計を確認!
雇用統計直前予想レポート
7月3日に発表された6月の米雇用統計では、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数が+28.8万人となり、市場予想の+21.5万人を大きく上回る大幅な伸びとなった。そして、過去5ヵ月間の平均が+24.8万人となり、安定した伸びが継続していることが示された。また、失業率は、前月から0.2ポイント低下の6.1%に改善し、2008年9月以来、5年9ヵ月ぶりの低水準となったことも好感され、ドル/円は102円台まで上昇する動きとなった【図1参照】。そして、ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均も、雇用改善の持続に伴う景気の先行き期待感から買い優勢となり、史上初めて17000ドルの大台を突破する動きとなった。
図:米ドル/円 5分足
※出所:総合分析チャート
6月の民間部門の雇用者数は+26.2万人、サービス部門は+23.6万人。業種別では、一時雇用を含む企業向け専門職の伸びが目立ち、小売りや観光・娯楽、教育・健康も好調だった。製造業は+1.6万人、建設は+0.6万人、政府雇用は+2.6万人となった。そして、4月の非農業部門雇用者数は、+28.2万人から+30.4万人に、5月は21.7万人から22.4万人にそれぞれ上方修正された。
職に就けない期間が半年以上に及ぶ長期失業者は、-29.3万人の308.1万人となり、失業者全体の32.8%(前月34.6%)を占めた。また、失業期間が5週未満は減少する一方、5-14週、15-26週はいずれも増加した。この結果から、失業率の低下は、長期失業率の低下によるものであり、短期失業率はほとんど低下していないことが推察できる。そして、平均賃金は依然として弱い伸びが続いており、インフレを加速させるほどの影響は少ないと考えられる。また、労働参加率は62.8%と3ヵ月連続の横ばいとなり、1978年以来の低水準が続いていることも気になるポイントである。
表:統計結果と今回の市場予想
|
7月市場予想 |
6月 |
5月 |
4月 |
3月 |
2月 |
1月 |
12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
失業率(%) |
6.1 |
6.1 |
6.3 |
6.3 |
6.7 |
6.7 |
6.6 |
6.7 |
非農業部門雇用者数(万人) |
23.0 |
28.8 |
22.4 |
30.4 |
20.3 |
22.2 |
14.4 |
8.4 |
民間部門雇用者数(万人) |
23.0 |
26.2 |
22.4 |
27.8 |
20.0 |
20.1 |
16.6 |
8.6 |
製造業部門雇用者数(万人) |
1.5 |
1.6 |
1.1 |
0.9 |
0.4 |
2.0 |
0.8 |
0.7 |
※出所:SBIリクイディティ・マーケット作成
※市場予想は7月29日現在の予想平均値
各部門の雇用者数の伸びは、前回の結果ほどではないものの、引き続き堅調な伸びが予想されている。注目される非農業部門雇用者数は、ここまで5ヵ月連続で20万人の大台を越える結果となっており、今回も20万人以上の伸びが予想されている。予想通りの堅調な結果となれば、さらに米経済に対する期待感が高まる可能性が考えられる。ただ、20万人を上回る場合でも、前月の結果と比較した場合、数字によっては6月時(5月の指標発表)のように、やや乱高下となる可能性も想定しておきたい。また、20万人を超える結果が続いていることから、今回20万人以上の結果となっても驚きは少ないだろう(前回も結果の割には上昇がやや物足りなかった)。むしろ、20万人を下回る場合のネガティブ・サプライズには注意したい。
マーケットの注目は『米国の利上げの時期』であり、それを見極めるためにQE3(残350億ドルの毎月の資産購入)の縮小ペースに注目が集まっている。FRB議長は、7月の議会証言で、「労働市場が予想より速いペースで回復を続ければ想定より早く利上げをする可能性がある」と発言したが、以前から賃金の伸びに対する懸念を示しており、賃金インフレが落ち着いている(賃金の弱い伸びが続く)間は、超低金利政策を長期間維持する姿勢を継続する可能性もあるだろう。このことから、雇用統計の賃金指数に対する注目度も高まっている。
米雇用統計 非農業部門雇用者数月次推移(米労働省発表)
- ※乖離=実績値-予想値
- ※左軸:実績値、予想値 右軸:乖離
- ※Market Win24のデータを元にSBI証券が作成