南アフリカ政策金利 |
発表時間 |
5/21(木)時間未定 |
前回値 |
5.75% |
事前予想 |
5.75% |
南アフリカ政策金利の引き上げは?
前回(3月)会合の振り返り
3月の南アフリカ準備銀行(SARB)理事会では、昨年7月の理事会で0.25%引き上げてから続いている年率5.75%の政策金利を据え置く決定をしました。不安定な経済が続いているにも関わらず、周辺からは次の金融政策の変更は利上げになるとの声も聞かれていましたが、原油価格の大幅下落を受けて物価上昇率が数年ぶりの低水準に落ち込んでいる点などを考えれば順当な決定のようでした。
3月の会合でクガニャゴ総裁は「下向きのCPIトレンドに反転が見られる」と1月の会合時に比べてややタカ派トーンに傾いた発言をしていたことも気になります。
前回発表時(3/26)の振り返り(南アフリカランド/円)
- 出所:総合分析チャート 30分足
今回の見通し
5月19〜21日の会合ですが、景気浮揚を優先させるのであれば、最近の指標結果は、会合期間中の20日に発表される4月の消費者物価指数が大幅に上昇しない限り、利上げの可能性など極めて低いと思わせる内容となっています。
ただ、昨年まで頻繁に起こっていた鉱山ストライキが落ち着いたことや海外からのインフラ投資が戻り始めていることと、高失業率や大幅な経常赤字などとの対比を考えると、先行きの見通しは依然として不透明ですが、先進国とは異質な政策判断があってもおかしくないことを頭に入れておく必要があり、今回も僅かながらも利上げの可能性の余地を残したまま迎えることになりそうです。
直近の値動き(南アフリカランド/円)
※出所:総合分析チャート 1時間足
先進国とは異質な政策判断〜金融緩和よりもインフレを懸念〜
南アフリカでは、経済が好調に推移していた2005年から2007年にかけては年率5%台の経済成長率を持続していましたが、2008年リーマン・ショック以降は1%〜3%(2009年はマイナス成長)と低迷が続いています。国際通貨基金(IMF)による2015年の成長率予想も1月時点では2.1%でしたが、4月になって2.0%に下方修正されました。電力を中心とするインフラの脆弱性が大きなネックとなっており、経済成長の上振れは期待し難いようです。
4月30日に発表された3月の貿易収支は、5億ZARの黒字と1月や2月の大幅赤字からは改善しましたが、過去2年間では黒字が長く継続した期間はなく、今後の推移が注目されます。5月4日に発表された4月のカギソ製造業PMIも45.4と予想を下回り、翌日に発表された4月のSACCI(南ア商工会議所)企業景況感も89.9と前月から僅かに改善されたものの、景気判断の節目となる100を下回ったままとなっています。こうした経済環境を考えれば、一般的な先進国の金融当局であれば金融緩和に傾くことになると思われますが、南アSARBは金融緩和による景気刺激策には消極的で、むしろ通貨安にも起因するインフレ率の上昇を抑える施策を講じることを優先する傾向にあるようです。
南アの特異性を考慮しても、上述した背景から政策金利は当面据え置かれる公算が高いように思われます。ただ、今後の貿易収支の更なる改善、6月18日に発表される第1・四半期経常収支赤字の大幅縮小が確認され、米FRBの金利正常化の時期が明示されることがあれば、それ以降の政策変更には注意が必要かも知れません。
ランド円の為替相場は政策金利、GDP、金やプラチナ価格の変動との関連性は薄く、世界景気の変動の影響を受けやすいとのレポートが広く出回っているにも関わらず、未だに資源価格が動いた時に南ア・ランドに注目が集まるようです。最近2か月間ほどは、ランド円が9.70〜10.20円ほどのレンジに落ち着いていることもあり、4月に起こった移民排斥運動などのようなランドにとってのネガティブ材料が現れたような後の下落を狙って買いエントリーしてみるのも良い頃かも知れません。ただし、基本は日々のスワップ・ポイント〈金利差〉の獲得を主眼にしてやや長めに保有することを心掛けるべきでしょう。
過去の値動き(南アフリカランド/円)
- 出所:ネットダニアー 日足