米6月雇用統計 (非農業部門雇用者数前月比/失業率 等) |
発表時間 |
7/2(木)21:30(日本時間) |
前回値 |
+28.0万人 / 5.5% |
事前予想 |
+23.0万人 / 5.4% |
利上げ時期を巡る思惑から、20万人台後半の結果が出るなら、“利上げ開始時期は9月”との見方も強まる可能性が考えられることや、前回発表時からドルが下げていることから・・・
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前回発表時(6/5)の主要通貨の動きをチャートで振り返る
米ドル/円
- ※出所:FX総合分析チャート 15分足
ユーロ/円
※出所:FX総合分析チャート 15分足
ユーロ/米ドル
※出所:FX総合分析チャート 15分足
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雇用統計直前予想レポート
6/5に発表された5月の米雇用統計では、失業率が5.5%となり、前月の5.4%から0.1ポイント上昇したものの、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数の伸びが+28.0万人となり、市場予想の22.5万人を大きく上回る結果となった。そして、4、5月と2ヵ月連続で雇用回復の目安とされる20万人の大台を上回ったことで、3月の雇用者数の急減は一時的で、労働市場の改善の勢いは増しているとの見方が広がった。また、労働参加率や賃金が上昇したことも好感され、ドルが主要通貨に対して上昇となり、ドル/円は124.66から125.85まで上昇し、2002年6月以来の高値をつける動きとなった。
図:米ドル/円 5分足
※出所:FX総合分析チャート
民間部門の雇用者数の伸びも+26.2万人と市場予想の22.0万人を上回る結果となり、小売り、一時雇用を含む企業向け専門職、教育・健康、観光・娯楽など幅広い業種で増加した。ただ、製造業は+0.7万人、政府部門が+1.8万人と小幅増に留まったほか、原油安などの影響から鉱業は-1.8万人となった。
そして、正社員として働きたいが、やむを得ずパートタイムで勤務している人や、仕事を探しても見つからないため求職活動を諦めている人なども含めた広義の失業率は、10.8%と横ばいで以前高水準となった。ただ、職に就けない期間が半年以上に及ぶ長期失業者は250.2万人と-2.3万人となり、失業者全体の28.6%(前月29.0%)と0.4ポイント低下した。
時間当たり賃金の伸びは、前月比で+0.3%(前回+0.1%)、前年比では+2.3%(+2.2%)と、4月から小幅上昇したものの、2013年9月以降から続くレンジ内の伸びに留まっている。
表:統計結果と今回の市場予想
|
6月市場予想 |
5月 |
4月 |
3月 |
2月 |
1月 |
12月 |
11月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
失業率(%) |
5.4 |
5.5 |
5.4 |
5.5 |
5.5 |
5.7 |
5.6 |
5.8 |
非農業部門雇用者数(万人) |
+23.0 |
28.0 |
22.1 |
11.9 |
26.6 |
20.1 |
32.9 |
42.3 |
民間部門雇用者数(万人) |
+22.5 |
26.2 |
20.6 |
11.7 |
26.1 |
20.2 |
31.9 |
41.4 |
製造業部門雇用者数(万人) |
+0.6 |
0.7 |
0.1 |
0.6 |
0.3 |
1.7 |
1.9 |
4.5 |
※出所:SBIリクイディティ・マーケット作成
※市場予想は6月27日現在の予想平均値
前回5月の統計結果を受けて、マーケットでは米国の利上げ期待が高まった。そして、サービス業が極めて強い伸びとなったことから、安定的に雇用者数の伸びが継続する可能性が考えられる。ただ、臨時(パートタイム)の雇用者数が堅調に推移するなど、勤務形態や賃金といった雇用の質が十分に改善しているとは言い難く、現状の景気回復ペースや利上げを鑑み、企業が賃金の上昇などに対して慎重になっていることが伺える。先のFOMCでも、雇用の伸びが加速していると指摘したものの、「弱さが幾分ある」とするなど、やや懸念を示したことは、まさに質の部分の伸びが遅れていることからだろう。
先日発表された1Q米GDPが1年ぶりのマイナス成長となったものの、予想よりマイナス幅が小さかったことや、個人消費が伸びていることから、マーケットでは、年内の利上げ期待が高まっている。そして、利上げ開始時期は9月なのか12月なのか、との思惑が交錯しており、引き続き雇用統計の結果に注目が集まっている。
前回の非農業部門雇用者数の結果(+28.0万人)や、その後のマーケットの雰囲気を考慮すれば、今回の市場予想(+23.0万人 6/27現在)は“やや慎重”ではないかと考えられる。引き続き、利上げ時期を巡る思惑から、20万人台後半の結果が出るなら、“利上げ開始時期は9月”との見方も強まる可能性が考えられることや、前回発表時からドルが下げていることから、前回並みの上昇も期待できるだろう。ただ、予想を下回る場合や、20万人台の大台割れには警戒が必要だろう。
米雇用統計 非農業部門雇用者数月次推移(米労働省発表)
- ※乖離=実績値-予想値
- ※左軸:実績値、予想値 右軸:乖離
- ※Market Win24のデータを元にSBI証券が作成