2017年は好調な酉年で取引を終えそう
来年2018年の干支は戌年、相場の格言をみると『未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ、戌(いぬ)笑い、亥(い)固まる、子(ね)は繁栄』と午(うま)尻下がりや丑(うし)つまずき・・などに比べると好調な一年が期待されます。
2016年の申年の日経平均株価の年間上昇幅は80円、12年前の2004年が812円高、2017年(酉年)はここまで3,800円程度上昇しており、2005年の4,622円高と同様、好調な酉年で取引を終えそうです。ちなみに、前回の戌年2006年は年間1,114円の上昇でしたが、来年2018年も格言通りに『笑う』明るい一年になるか注目です。
日経平均、米ドル円 日足 対比(1年間)
- ※出所:Quants Research Inc.
日経平均株価とドル円との相関関係が薄れつつあるようですが、株高・円高というより株高・円安傾向にあることはあまり変わっておりません。仮に地政学的リスクの高まりや政治的な混乱、さらに中国・上海株の急落などの影響から日経平均株価が大幅に下落するようなことになれば、円高が進み易い状況は否定できないかもしれません。
このまま年末を終えることになれば、今年のドル円は年初の118円60銭を高値に、9/7の107円32銭の上下11円28銭値幅で一年を終えそうです。これは昨年2016年の99円00銭から121円70銭の22円70銭値幅のおよそ半分となります。昨年は1月下旬の日銀によるマイナス金利導入、6月の英国のEU離脱の是非を問う国民投票、そして10月の米大統領選と幾つかのビッグイベントがあり、これらが相場を大きく変動させる要因となりました。
しかし、FRBの利上げは2016年12月の年1回であったのに対し、今年は3月、6月、12月と年3回実施したほか、10月からは保有する米国債や住宅ローン担保証券などを段階的に減らすバランスシートの縮小も開始しています。この10月からの1年間で3,000億ドルを縮小し、2018年10月からの1年間は5,000億ドルまで縮小額を拡大する予定です。
一方の日銀は、2016年9月から開始しているイールド・カーブ・コントロール(長短金利差操作付量的・質的緩和)を継続、日経平均株価が約26年ぶりの高水準を回復し、個人消費が改善の兆しを見せているにもかかわらず、引き続き緩和スタンスを維持しています。それでもドル円は110円台半ばから113円台半ばを中心にした小動きとなっており、低ボラティリティー定着化が特徴的な一年となりました。
一方、ビットコインが大幅な上昇を示すなど投機的な値動きが顕著化、さらにはAI、人工知能、フィンテックなどがより身近なものになりつつあります。
2018年の注目イベントは?
先週末、トランプ大統領は米議会上下両院それぞれが可決した税制改革案に署名し、正式に成立しました。同時に暫定予算案にも署名、政府機関の閉鎖も免れています。今年1月に発足したトランプ政権は支持率低迷の中、北朝鮮問題やロシア・ゲート疑惑、さらにはイスラエルの新たな首都としてエルサレムを認定したほか、環境問題でも米国の孤立化が目立った一年でした。
一方、NYダウが昨年末から約25%もの上昇となるなど、堅調なNY株式市場により個人消費や住宅市況に改善が見られたほか、失業率も歴史的低水準まで改善が進みました。こうした米国経済の好調が加速するのか、インフレ期待との関係も含め税制改革の影響が気になる2018年となりそうです。
2018/2/3にイエレンFRB議長の退任が決定しており、後任のパウエル新議長の手腕が注目されます。また3/18にはロシアの大統領選が実施されプーチン氏の大統領再就任が確実視されているだけに、その後の米露関係に進展があるのか注目です。4月には黒田日銀総裁も任期満了を迎え、続投か新たな総裁の誕生か、日銀の金融政策に影響を及ぼすか注目です。そして9月の自民党総裁選、秋には中国の三中全会、さらに11/8の米中間選挙などが予定されていますが、いずれも波乱要因になり得るだけに注目です。