前営業日トピックス
東京市場では、イタリアの政治的混乱の先行き不透明感が影響した海外市場の流れを引き継ぎ、序盤から軟調な動きとなった。その後は、日経平均株価が堅調な動きとなったことや、米長期金利の上昇も加わり、ドル買い・円売りが優勢となった。ただ、目新しい材料もなく、米雇用統計を週末に控えていることもあり、やや上値の重い動きとなった。
米国市場では、トランプ米政権が鉄鋼・アルミニウム関税の発動を発表したことから、貿易摩擦への懸念が強まり、相対的に安全な通貨とされる円を買う動きが優勢となった。また、米長期金利が低下したことも影響した。その後は、低下した米長期金利が急反発したことや、イタリアの政治的懸念が和らいだことを受けて、ドル/円・クロス円は堅調な動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)イタリア政局の先行き不透明感は依然ぬぐえないとの見方もあり、序盤ややや上値の重い動きとなった。また、国内輸入企業による円買いも入り、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
(2)仲値公示にかけては、実需のドル買いが入り、値を戻す場面もあったが、仲値公示通過後は上値の重い動きとなった。ただ、日経平均株価が堅調な動きとなったことや、米長期金利の上昇が続いたことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(3)トランプ米政権が、EU、カナダ、メキシコに対する鉄鋼・アルミニウム関税の発動を発表したが、欧州、メキシコから報復の意向が伝えられたことから、貿易摩擦への懸念が強まり、相対的に安全な通貨とされる円を買う動きが優勢となった。なお、米経済指標の結果に対する反応は限定的だった。
(4)下げ一巡後は、イタリアのポピュリスト2政党が連立政権の閣僚人事で合意に達したことで、イタリアの政情不安は緩和に向かうとの見方が広がったことや、米長期金利が上昇したことから円が売られ、終盤にかけてドル円・クロス円は底固い動きとなった。
本日のトピックス
午前中は、日銀の国債買入れの減額を受けて思惑が交錯したことから、やや乱高下する場面もあった。そして、イタリアの政治的懸念がやや後退したものの、米政権が鉄鋼・アルミニウム関税を発動したことによる貿易摩擦への懸念を背景に、思惑が交錯する展開も考えられる。ただ、マーケットでは、今後の展開を見極めたいとの見方や、米国の雇用統計の発表も控えていることから、積極的には動き難いとの見方もあり、レンジ内の動きが続く可能性が考えられる。
米雇用統計では、依然として非農業部門雇用者数の結果が市場予想を上回るのかどうかでファーストアクションの方向性が決まり、その後は賃金の伸びが良好かどうかで方向性が決まるという展開が続いているが、本日も同じような展開が考えられる。ドル/円は、米朝会談の中止通告などもあり、111円台乗せ後から下落に転じており、ようやく一服した動きとなっている。マーケットでは、米朝首脳会談実施の可能性が高まっていることや、ほぼ半値押しまで調整となったこともあり、ここからの押し上げを期待する向きもある。
6/1の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
21:30 | 米国 |
5月非農業部門雇用者数
非農業部門に属する事業者の給与支払い帳簿をもとに集計された雇用者数。農業以外の産業で働く雇用者であり、経営者や自営業者は含まれない。
|
19.0万人 | 16.4万人 |
前回は、市場予想を下回る結果となったものの、3月からは伸び幅が拡大した。過去2年間の平均が+19万人であり、今回の市場予想も+19万人である。ただ、完全雇用との見方がある中では、雇用者数の伸びに対する反応は以前のような強さは無いものの、予想を上回るのか下回るかで初動の動きが左右されることから注目したい。 | ||||
21:30 | 米国 |
5月平均時給(前年比) |
2.6% | 2.6% |
前回は、市場予想を下回る結果となり、3月から伸び幅が低下した。今回は、前回と変わらない伸び幅だが、過去2年間の平均が2.6%であることから、予想通りの結果ならややインパクトに欠けるだろ言う。むしろ、改善が遅れていることから、早期に3%近い伸びが必要となる。 | ||||
23:00 | 米国 |
5月ISM製造業景況指数
ISM製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の製造業の景況感指数であり、製造業の購買・供給管理責任者に対するアンケートを集計した指数。50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
|
58.2 | 57.3 |
前回は、市場予想を上回る低下となり、2017年7月以来の低水準となった。生産、雇用が共に3ポイント以上の低下となったことが影響した。今回は、2ヵ月連続で低下となった反動で前回からの改善が予想されている。前回低下の要因となった生産(4ヵ月連続低下)、雇用(2ヵ月連続の低下)がどこまで改善しているのか注目したい。 |