前営業日トピックス
東京市場では、序盤に発表された日銀短観が市場予想を下回ったものの、マーケットの反応は限定的だった。しかし、米長期金利の先高観や日経平均株価の上昇に加え、実需の月初や期初のドル買い・円売りフローも流入し、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。その後は、新規材料に乏しい中、小動きの展開が続いたものの、ドル円は2017年11月以来の114円台乗せとなる場面もあった。
米国市場では、米国とカナダのNAFTA(北米自由貿易協定)再交渉が合意したことを材料に、米株価が大幅に上昇となったことが好感され、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。一方、英国のEU離脱問題が進展するとの期待感を背景に、ポンドは主要通貨に対して急上昇となった。これを受けて、ユーロもドルや円に対して堅調な動きとなる場面もあったが、イタリアの予算案を巡る不透明感を背景に、その後は上値の重い動きが続いた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)序盤の日銀短観が市場予想を下回ったものの、反応は限定的だった。そして、実需のドル買いフローが流入したことや、日経平均株価が堅調な動きとなったことを受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(2)原油高や米長期金利への上昇を受けて、ドル円は底固い動きとなったが、中国市場や豪州市場が休場だったことから、限定的な動きが続いた。一方、カナダと米国がNAFTA(北米自由貿易協定)の枠組みで合意を受けて、カナダドルは上昇となり、対ドルで5/31以来、対円で2/2以来の高値を付けた。その後、米長期債利回りの上昇を受けて、ドル買い・円売りが強まる場面もあった。
(3)米国とカナダのNAFTA(北米自由貿易協定)再交渉が合意したことで、米国経済に追い風になるとの思惑を背景に、米株価が上昇となったことが好感され、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。特に、ドル円は一時114.06円まで上昇し、2017年11月以来の高値を付けた。一方、英国のEU離脱問題で、難航が予想されていたアイルランド国境問題を巡る妥協策を英首相が準備しているとの報道を受けて、交渉が進展するとの期待感を背景に、ポンドは主要通貨に対して急上昇となった。
(4)株価が終盤に上げ幅を縮小したこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ドル円は、114円台では上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
ドル円は、114円台では上値の重い動きが続いており、前日の東京市場から狭いレンジ内の動きが続いている。これが114円台に向けての足場固めとなれば、114円台中盤に向けた動きも期待できるが、114円台では上値が重いとの見方が強まるようなら、一旦利益確定の動きが出る可能性もあり、レンジをどちら側に抜けるのかが注目される。
米国市場では、米国の主要な経済指標の発表がないものの、パウエルFRB議長の講演や、クオールズFRB副議長の議会証言が予定されており、発言の内容に注目したい。特に、先週のFOMCでは、声明文から『緩和的』との文言が削除されたものの、パウエル議長は会見で「政策はなおも緩和的」としたことから、金融政策に関する発言に注目が集まっている。
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ドル円は、堅調な動きが続いており、上値の重要なポイントであった113.17を上抜けたことから一段の上昇となっている。現状では、114円台ではやや上値の重い動きが続いているが、ここから一段の上昇となるのか、一旦調整となるのか注目したい。
相場の方向性を示すとされる一目均衡表の基準線は、114.06を上回れば現状の横ばいから上昇となるが、上回らない場合には、12日まで横ばいが続く。そして、113.17を上抜けたことから、当面は上値目標の計算値である114.84を目指す可能性が考えられる。また、失速した場合でも、113.17を下回らないようなら、再び上向きに転換する可能性も残るだろう。
上値のポイント
(1)114.06(重要レジスタンス)(2)114.50(レジスタンス)(3)114.84(N計算値)
下値のポイント
(1)113.68(前日安値)(2)113.31(サポート)(3)113.05(一目転換線)