前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、序盤から軟調な動きとなった。米ダウ平均株価が高値から800ドル以上上げ幅を縮小したことが影響し、日経平均株価も序盤から軟調な動きとなり、ドル円・クロス円も上値の重い動きとなった。さらに、ドル需給のひっ迫が和らぎつつあるとの見方が広がっていることもドルの圧迫要因となった。
米国市場では、失業保険申請件数が歴史的な急増したことで、米国の景気後退局面入りが懸念され、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。また、パウエルFRB議長が追加緩和の可能性に言及したこともドルの圧迫要因となった。ドル/円は109.21まで下落し、3/19以来の安値となった。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から堅調な動きとなり、終盤には前日比1394ドル高まで上昇した。その後も高値圏を維持し、1351ドル高で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは413ポイント高で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。日経平均株価が序盤から下落し、一時前日比903円安まで下落したことを受け、ドル円・クロス円も一段の下げとなった。さらに、米10年債利回りが0.830%から0.784%まで低下したことも加わり、ドル/円は110.46まで下落した。
(2)ドルは下げ一服後、午後に米上院で2兆ドルの新型コロナ景気対策法案が可決されたとの報道を受け、底固い動きとなった。ただ、下院での採決がまだあることや、感染拡大が続いていることなどもあり、楽観的な見方にはなりにいくいとの見方もあり、上値は限定的だった。
(3)米国市場では、序盤に発表された米新規失業保険申請件数が歴史的な大幅増加となったことから、米国の景気後退局面入りや、今後の失業率の大幅悪化などが懸念され、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。また、パウエルFRB議長がTVインタビューで景気後退入りの可能性や、追加緩和の可能性に言及したこともドルの圧迫要因となった。ドル/円は109.21まで下落し、3/19以来の安値となった。さらに、ECBの債券購入プログラムの始動を受け、ドルは対ユーロでも3/17以来の安値となった。欧米の主要株価指数が大きく上昇したほか、主要通貨の対ドルでの上昇も加わり、ユーロ/円やポンド/円などのクロス円は堅調な動きとなった。
本日のトピックス
昨晩発表された米新規失業保険申請件数はリーマンショック時の66.5万件を大きく上回る328.3万件となり、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるための対策により、経済活動が鈍化したことでレイオフが急増したことが明らかとなった。結果を受けたマーケットの反応は限定的だったが、この結果が続くようなら、財政支援など何らかの対策が必要となる可能性も考えられる。
その中で、ダウ平均株価が3営業日続伸となるなど、投資家のリスク回避の動きがやや後退しており、資産の現金化に伴うドル買い需要が後退していることもドル圧迫要因となった。3/9の安値101.18から3/24高値の111.72までの上昇に対する調整と考えれば、目先107.69(38.2%押しのポイント)近辺までの下げを見込む向きもある。
特に、昨日の指標結果に加え、パウエルFRB議長がTVインタビューで景気後退局面入りに言及したこともあり、これから出てくる米経済指標の結果に注目が集まるだろう。冴えない結果や予想外の悪化となるようなら、米経済の鈍化懸念が現実的ととらえられる可能性もあるだろう。
本日は、3月のミシガン大学消費者信頼感指数の発表が予定されており、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で主要株価指数が大幅下落となる中でも、前回の速報値では楽観的な結果が維持された。ただ、ここにきて感染拡大の深刻度が増していることもあり、大きく下方修正される可能性も考えられる。一部では、予想を大きく下回るとの見方もあり、結果に注目したい。
一方、格付け会社のムーディーズは、本日南アフリカの格付けの見直しを発表する予定(定例の発表)となっている。財政問題を抱えている上に、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で主力である鉱物生産が鉱山の操業停止命令を受けてストップしており、一段の景気後退懸念が高まっている。さらに、新興国通貨の下落が続く中で、格下げが発表される場合には、ランドは主要通貨に対して下落する可能性も考えられる。また、他の新興国通貨にも影響することも考えられることから注目したい。海外マーケットのクローズ後の発表となるケースも多いことから、その場合には週明けの相場にも影響を与える可能性も考えられる。
3/27の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
3月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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90.0 | 95.9 |
前回の速報値は市場予想を上回ったものの、2019年10月以来の低水準となった。新型コロナウイルスの感染拡大を背景にした株価の下落が影響したものの、大幅な低下に至っておらず、やや楽観的な見方が維持されていることが示された。今回の確報値では、一段の下方修正が予想されており、予想通りの結果となれば2019年8月以来の低水準となるが、それ以上の低下となる場合、相場への影響もさらに大きくなると考えられる。 |