前営業日トピックス
東京市場では、米雇用統計の発表を控えて積極的な売買が手控えられていたことから、全般的に限定的な動きとなった。その中で、日経平均株価が下落して始まり、下げ幅を拡大する動きとなったことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。午後に入り、株価が下げ幅を縮小する動きとなったことに合わせて、ドル円・クロス円も底固い動きとなったものの、上値はやや限定的だった。
米国市場では、序盤に発表された米雇用統計がまちまちの結果となったものの、結果を受けて米長期金利が上昇したことから、ドルは主要通貨に対しても堅調な動きとなり、対円では一時104.24まで上昇した。一方、米主要株価指数が序盤から堅調な動きとなったことから、クロス円も堅調な動きとなった。一方、英国とEUの通商協議に関して、バルニエEU主席交渉官が協議は一時中断としたことが嫌気され、ポンドは主要通貨に対して軟調な動きが続き、対円では序盤の高値140.71から139.79まで下落する動きとなった。
米株式市場では、米雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を下回ったものの、失業率や賃金が予想より強い内容となったことが好感され、主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。さらに、新型コロナウイルスのワクチン実用化への進展や、追加経済対策の与野党合意への期待感が高まったことも押し上げ要因となった。ダウ平均株価は、序盤から堅調な動きが続き、前日比248.74ドル高(+0.83%)まで上昇した。一方、ハイテク株中心のナスダックは87.05ポイント高(+0.70%)で終了した。なお、主要3指数はいずれも取引時間中、終値ベースの最高値を更新した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなり、下げ幅を拡大する動きとなり、一時前日比163円安まで下落したことから、クロス円は上値の重い動きとなった。ドル/円は、一時103.74まで下落したものの、前日の海外市場で付けた安値103.67が意識されて底固い動きとなった。
(2)米雇用統計の発表を控えて、全般的に様子見ムードが強まる中、午後に入り日経平均株価が下げ幅を縮小する動きとなったことや、米株価先物市場でダウ先物が堅調に推移したこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。さらに、米10年債利回りが上昇したことも加わり、ドル/円は104円台に戻したものの、104円台では上値の重い動きが続いた。
(3)米国市場では、序盤に発表された米雇用統計では、雇用者数の伸びが市場予想を大幅に下回る結果となったことを受けて、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、対円では一時103.83まで下落した。ただ、失業率や賃金が良好な結果となったことを受けて、米長期金利の指標となる10年債利回りが0.898%から0.984%まで上昇したことから、ドルは下げ一服後主要通貨に対して堅調な動きとなり、対円でも104.24まで上昇した。一方、米主要株価指数が序盤から堅調な動きとなったことから、クロス円は堅調な動きとなった。
(4)対ドルで軟調な動きが続いたこともあり、クロス円は終盤にかけて上値の重い動きとなった。一方、英国とEUの通商協議が大詰めを迎える中で、EUの当局者が協議は悪い方向に向かう可能性があると指摘したことや、バルニエEU主席交渉官が協議は一時中断としたことが嫌気され、ポンドは主要通貨に対して軟調な動きが続き、対円では序盤の高値140.71から139.79まで下落する動きとなった。また、米雇用統計と同時に発表されたカナダの雇用統計では、失業率、雇用者数の伸びがともに市場予想を大幅に上回る結果となったことから、カナダドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに原油価格の上昇も加わり、対ドルで2018年5月以来の高値となり、対円でも序盤の安値80.98から81.57まで上昇し、8/28以来の高値となった。
本日のトピックス
先週末の米雇用統計では、景気動向を敏感に示す非農業部門雇用者数が市場予想を大幅に下回る結果となり、新型コロナウイルスの感染再拡大の影響で改善ペースが鈍化したことが示された。一方、失業率は前月から0.2ポイント改善、平均時給も予想を上回る伸びとなったが、失業率は労働参加率の低下が影響しており、賃金は単純労働の雇用減少で必然的に高賃金の平均となったことで押し上げられており、楽観視できる内容ではなく、むしろ懸念要因とも考えられる。そのため、追加経済対策が急がれることから、与野党合意が早まるとの期待感が高まり、株価の押し上げにも寄与した。ここからは、追加経済対策に関連した報道や要人発言には敏感に反応する可能性も考えられる。ただ、本日の欧米市場では、主要な経済指標の発表がないことから、新規材料に乏しく限定的な動きも予想されている。