前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から400円超上昇したことを受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。しかし、午後に入り、モデルナのCEOが新型コロナウイルス変異株のオミクロン株に既存ワクチンの効果弱いと警告したとの報道や、オミクロン株の日本人初の感染者が確認されたとの報道を受けて、日経平均株価が前日比460円超下落するなど、リスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は一段の下落となり、ドル/円は一時112.95まで下落した。欧州市場でも主要株価指数が下落、さらに米株価先物も下落したことから、ドル円・クロス円は一段の下落となった。
米国市場では、世界的な株価下落を背景に、投資家のリスク回避の動きが続くなど、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。さらに米長期金利が低下したことも加わり、ドル売り・円買いが強まり、ドル/円は一時112.53まで下落し、10/11以来の安値となった。その後、パウエルFRB議長が米上院金融委員会で想定外のタカ派的な発言をしたことを受けて、米長期金利が急騰したことでドルも主要通貨に対して急上昇となり、ドル/円は113.70まで急反発となった。その後は、米主要株価指数が大幅下落となったことが影響してクロス円が下落した動きに連れて、ドル/円も上値の重い動きが続いた。
米株式市場では、新型コロナウイルスの変異株オミクロン株の感染拡大に対する懸念を背景に、主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。さらに、パウエルFRB議長が、次回のFOMCでテーパリングの加速を議論すると発言したことを受けて、米長期金利が急騰したことも圧迫材料となった。ダウ平均株価は、一時前日比711ドル安まで下落したものの、その後は下げ幅を縮小したが652.22ドル安(-1.86%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、245.14ポイント安(-1.55%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場の流れを受けて、ドル円・クロス円は序盤から底固い動きとなった。その後、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前日比434円高まで上昇したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなり、ドル/円は一時113.89まで上昇した。ただ、海外時間に付けた113.96には届かなかった。上昇一服後は、米長期金利が低下したこともあり、上値の重い動きとなった。
(2)午後に入り、モデルナのCEOが変異株のオミクロンに既存ワクチンの効果は弱いと警告したとの報道を受けて、日経平均株価が462円安まで下落するなど投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は一段の下落となり、ドル/円は112.98まで下落した。さらに、日本の政府関係者がオミクロン株の日本での初の感染者を確認との報道も圧迫要因となった。
(3)アジア市場に次いで欧州市場でも主要株価指数が大幅下落となったことから、投資家のリスク回避の動きが続くなど、米国市場でも序盤からドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。さらに米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.410%まで低下し、9月以来の低水準となったことも加わり、ドル売り・円買いが強まり、ドル/円は一時112.53まで下落し、10/11以来の安値となった。
(4)パウエルFRB議長が米上院金融委員会で、「継続的なインフレ高進の脅威は強まったとし、テーパリング終了前倒しの是非を協議するのは適切」との見方を示すなど、想定外のタカ派的発言との見方が広がり、10年債利回りが急騰したことから、ドルも主要通貨に対して急反発となり、ドル/円は113.70まで急騰した。しかし、その後は米主要株価指数が大幅下落となったことが影響してクロス円が下落した動きに連れて、ドル/円も上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
前日の東京市場では、日本で初めて新型コロナウイルス変異株のオミクロン株の感染者が確認されたことなどから、リスク回避の動きが強まり、ドル/円は一時113円台を割り込む動きとなった。その後の米国市場でも主要株価指数が大幅下落となったことから、ドル円・クロス円は一段の下落となった。しかし、FRB議長の発言を受けて米長期金利が急上昇するなど、その後はドル買いが優勢となった。
FRBは、これまでインフレは一時的との見方を示していたが、FRB議長が「継続的なインフレ高進の脅威が強まった」との見方を示し、さらに「テーパリング終了前倒しの是非を協議するのは適切」としたことが影響した。想定外のタカ派的発言を受けて、利上げ時期が前倒しされるとの期待感も高まり、12月のFOMCが注目されることになった。このことから、ドルは底固い動きが続く可能性も考えられる。
本日の欧州市場では、欧州やドイツなど主要国の11月製造業PMIの発表が予定されているが、確報値であることから、速報値や市場予想から乖離がなければ反応は限定的と見られている。一方、米国市場では、11月のADP雇用統計、11月のISM製造業景況指数の発表が予定されており、週末の米雇用統計の発表を控えて、結果が注目されている。
12/1の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:15 | 米国 |
11月ADP雇用統計
ADP雇用統計は、民間の給与計算代行サービス会社であるADP(Automatic Data Processing)社のデータを用いて、マクロエコノミック・アドバイザーズ社が発表している雇用統計。2200万人の支払い給与の動向に基づき算出、通常米国雇用統計が発表される2営業日前に発表されるため、米国雇用統計の結果を予想する上でよく参考にされる。
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52.5万人 | 57.1万人 |
前回は市場予想を上回り、2ヵ月連続の伸びで6月以来の高水準となった。過去最高水準にある求人件数を背景に、労働市場の改善が進んでいることが示され、特にサービス部門の雇用増加が目立った。今回は、前回から伸び幅の縮小が予想されているが、改善傾向は維持されると見られている。 | ||||
0:00 | 米国 |
11月ISM製造業景況指数
ISM製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の製造業の景況感指数であり、製造業の購買・供給管理責任者に対するアンケートを集計した指数。50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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61.1 | 60.8 |
前回は市場予想を上回ったものの、5月以来の高水準となった9月の結果からは低下した。サプライチェーンの混乱が引き続き製造業を圧迫していることが示されたが、依然として高水準が維持された。今回は、前月から上昇が予想されており、製造業の改善が進んでいることが示されると見られている。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は高値からの下落が続き、一時一目均衡表の雲上限ラインを下抜ける場面もあった。しかし、終値ベースでは値を戻すなど、底固い動きとなった。ここから雲上限を下値に底固い動きが続くのか、雲の中に完全に入り込んで軟調な動きとなるのか注目される。
底固い動きとなり、一目均衡表の基準線(本日114.030)を再び上抜ける動きとなれば一段の上昇も考えられる。しかし、雲の中に入り込み、雲下限を下抜ける場合には、一目均衡表で三役逆転の弱気シグナルとなることから、さらに下落となる可能性も考えられる。