前営業日トピックス
東京市場では、ウクライナ情勢を巡る緊張を背景にリスク回避の円買いが先行した。さらに、上昇して始まった日経平均株価が下落に転じたことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。午後に入り、日経平均株価が一時前日比350円超まで下げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。ただ、その後の欧州時間では、反落して始まった欧州主要株価指数がロシア軍の一部がウクライナ国境付近から撤収したとの報道を受け、NYダウ先物とともに反発に転じたことが好感され、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された1月の米生産者物価指数が市場予想を上回り、米長期金利が上昇したことを受けてドルは主要通貨に対して上昇した。一方、ロシア大統領が米国、NATO(北大西洋条約機構)と交渉の用意があるとしたことや、国境付近から部隊の一部撤収を発表したことから、ウクライナ情勢の緊張緩和期待が高まり、米主要株価が大幅上昇したことから、クロス円も堅調な動きとなった。しかし、バイデン米大統領が、ロシアによるウクライナへの攻撃の可能性に言及したことから、米主要株価指数が上げ幅を一時縮小したものの、堅調地合いが続いたことからドル円・クロス円も底堅い動きとなった。
米株式市場では、ロシアがウクライナ国境近くのロシア軍の一部撤収を発表したこと受けて、緊張緩和への期待感から投資家のリスク回避姿勢が和らぎ、主要株価指数は序盤から堅調な動きとなり、4営業日ぶりに反発となった。ダウ平均株価は、序盤から堅調な動きとなり、一時前日比481ドル高まで上昇した。終盤まで高値圏を維持し、422.67ドル高(+1.22%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、348.84ポイント高(+2.53%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、ウクライナ情勢への警戒感が引き続き意識され、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。さらに、オープン直後に前日比125円高まで上昇した日経平均株価が下落に転じ、145円安まで下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。さらに、五・十日で仲値公示にかけて実需のドル売りが観測されたこともドルの圧迫要因となった。
(2)その後、ドル円・クロス円は底固い動きが見られたものの、日経平均株価が下げ幅を拡大し、一時前日比354円安まで下落したことから、ドル/円も一段の下落となる場面もあったが、下値は限定的だった。その後、欧州時間に入り、ロシア軍の一部撤収報道を好感し、欧州主要株価指数が米株価先物とともに大幅に反発したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.971%から2.045%まで上昇したこともドル/円の押し上げ要因となった。
(3)米国市場では、序盤に発表された1月の米生産者物価指数が市場予想を上回る結果となり、米長期金利が上昇したことを受けてドルは主要通貨に対して上昇した。ドル/円は、日米金利差拡大が意識され、115.57から115.87まで上昇した。一方、プーチン大統領が米国、NATO(北大西洋条約機構)と交渉の用意があるとしたことや、国境付近から部隊の一部撤収を発表したことから、ウクライナ情勢の緊張緩和期待が高まり、米主要株価指数が大幅上昇したことから、クロス円も堅調な動きとなった。
(4)バイデン米大統領が、ロシアによるウクライナへの攻撃の可能性に言及したことを受けて、米主要株価指数が上げ幅を一時縮小したものの、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
本日のトピックス
ウクライナ情勢では、プーチン大統領が米国、NATO(北大西洋条約機構)と交渉の用意があるとしたことや、国境付近で演習を実施していた一部の部隊の撤退を発表したこともあり、リスク回避の動きが和らぎ、欧米の主要株価指数が上昇となった。海外市場の動きを受けて、日経平均株価も序盤から500円超上昇するなど堅調な動きとなった。
ただ、一方でバイデン米大統領は、ロシアによるウクライナへの攻撃の可能性に言及したことや、撤退が確認されていないとするなど、引き続き警戒感を示しており、水面下での駆け引きが続いていることが伺える。マーケットでは、報道や要人発言に敏感に反応する動きが続いていることから、引き続き関連する報道などには注意したい。
米国時間では、米国の小売売上高、鉱工業生産の発表が予定されており、ともに前回のマイナスからの改善が予想されていることから、結果を受けたマーケットの反応に注目したい。
2/16の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
1月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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2.0% | -1.9% |
前回は予想以上にマイナス幅が拡大し、2021年2月以来の大幅なマイナスとなり、感染拡大やインフレ高進が消費を圧迫したことが示された。13カテゴリー中10カテゴリーが減少となった。今回は、前月から大幅な上昇が予想されており、予想通りの結果なら、2021年3月以来の高い伸びとなる。 | ||||
23:15 | 米国 |
1月鉱工業生産(前月比)
鉱工業生産は、鉱工業関連の生産動向を指数化したものであり、2002年を100として数値が算出され前月比で発表される。GDPに占める鉱工業部門の割合が約20%程度であることから重要な経済指標である。
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0.4% | -0.1% |
前回は市場予想を下回り、2ヵ月連続の低下となり、3ヵ月ぶりにマイナスに落ち込んだ。感染拡大を背景に、資材や労働力不足が影響し、特に製造業の生産指数がマイナスに落ち込んだことが影響した。今回はプラス改善が予想されており、改善の兆しが見られるのか注目したい。 | ||||
0:00 | 米国 |
2月NAHB住宅市場指数
NAHB住宅市場指数は、全米住宅建築業者協会(NAHB)が加盟業者を対象にした一戸建て住宅の販売状況調査を基にした指数。50が判断の基準となり、50を下回ると住宅建設業者の多くが現況を「悪い」とみていることを示すことから、住宅市場の先行指標となる。
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83 | 83 |
前回は市場予想を下回り、昨年2月以来の高水準となった12月の結果から低下した。材料価格の上昇や在庫不足が影響しているものの、過去5年間の平均である70.4を依然として上回っている。今回は、前月から横ばいが予想されているものの、今後のローン金利の上昇観測から、購入を急ぐ動きが出るとの指摘もあり、結果が注目されている。 |