東京市場では、ウクライナにある欧州最大規模の原発がロシアの攻撃を受けたとの報道を受けて、投資家のリスク回避の動きが強まり、日経平均株価が一時前日比800円超下落したこともあり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。特に、地政学リスクからユーロはドルや円に対して下げ幅を拡大した。その後、原発周辺で放射能レベルの上昇はみられないと報道されたことや、実質的な五・十日で実需のドル買いが観測されたことも加わり、ドル円・クロス円は値を戻す動きも見られた。その後の欧州時間では、ウクライナ情勢の深刻化を背景に、欧州主要株価指数が下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。

米国市場では、序盤に発表された米雇用統計で、失業率や非農業部門雇用者数が予想より良好な結果となったことを受けて、ドルは主要通貨に対して上昇した。しかし、ロシアがウクライナにある欧州最大規模の原発を占拠したことから、欧州全体の安全保障が脅かされる事態となったことを受け投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は下落した。特に、ユーロは主要通貨に対して下落となり、対ドルで2020年5/25以来、対円で2020年12/1以来の安値を付けた。

米株式市場では、ロシア軍がウクライナ南部にある欧州最大級の原発を占拠したことを受けて、投資家のリスク回避の売りが優勢となった。さらに、原油価格などの高騰が続いており、インフレ加速への懸念が根強いことも圧迫要因となり、米主要株価指数は続落となった。ダウ平均株価は序盤から軟調な動きとなり、一時前日比540ドル安まで下落した。その後は下が幅を縮小したものの、179.86ドル安（-0.53％）で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、224.50ポイント安（-1.66％）で終了した。

※出所：FX総合分析チャート10分足

（1）東京市場では、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなったことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。さらに、ウクライナの原発をロシアが攻撃したとの報道を受けて、株価が下げ幅を拡大し、一時800円超下落するなど、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は急落した。特に、地政学リスクが意識されてユーロが下げ幅を拡大し、ユーロ/円は127.82から126.94まで下落して2021年2月以来の安値を付けた。またユーロドルも2020年5月以来の安値を更新した。

（2）その後、原発の安全は守られているとの報道を受けて、リスク回避の動きが和らぎ、ドル円・クロス円は下げ幅を縮小する動きとなった。しかし、ウクライナ情勢の悪化が続いていることから上値は限定的となった。欧州時間では、欧州主要株価指数は序盤から下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。

（3）米国市場では、序盤に発表された米雇用統計で失業率が2020年2月以来、2年ぶりの低水準まで改善したことや、非農業部門雇用者数が市場予想を上回る結果となり、雇用改善が示されたことから、ドルは主要通貨に対して上昇した。しかし、ロシアがウクライナにある欧州最大規模の原発を占拠したことから、投資家のリスク回避の動きが強まり、欧米の主要株価指数が大幅下落となったことから、ドル円・クロス円も下落となった。特に、地政学リスクを背景ユーロは主要通貨に対して下落となり、対ドルで2020年5/25以来、対円でも2020年12/1以来の安値を付けた。一方、資源価格の上昇などを背景に豪ドルは底固い動きとなり、対ドルで2021年11/10以来の高値を付けた。

東京時間では、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化するとの懸念を背景に、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。さらに、時間外取引で原油価格が急騰しており、世界的なインフレ加速懸念も圧迫要因となった。また、週明けの日経平均株価が序盤から700円超下落したこともドル円・クロス円の圧迫要因となっており、引き続き投資家のリスク回避の動きが続く可能性も考えられる。

本日の米国市場では、主要な経済指標の発表がないことから、限定的な動きが予想されているが、ウクライナ情勢に関する報道にドル円・クロス円は敏感に反応する可能性もあり、特にユーロはより敏感に反応する可能性が考えられることから、報道や要人発言には注目したい。